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フラグシップとなるセパレートAVアンプ

マランツが考える究極のAV再生が完成。7chパワー「MM8077」を、AVプリ「AV8805」と純正コンビで聴く

公開日 2018/11/30 06:00 小原 由夫
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アガサ・クリスティの有名小説「オリエント急行殺人事件」。2度目の映画化は、主人公である探偵ポアロ役のケネス・ブラナーがメガホンを取った力作だ。

試聴室の様子。試聴はMM8077を2台使用し、計13chで再生を行った

そのChapter.13、車外の雪上で女性に尋問するシーンでは、抜群のS/Nに支えられ、2人の声のイントネーションやニュアンスが実に細やかに再現されていた。その対話の後ろでは、脱線した列車の復旧作業に当たる工員たちが発する音が暗騒音として聞こえるのだが、セリフに重なるその描写が実に立体的なのである。

最短化されたシグナルパス、さらにはシャーシのグラウンド電位を低く、なおかつ安定に保つ銅メッキシャーシなど、MM8077は静謐な動作環境を得たことによってダイナミックレンジとエネルギー感が一層際立つのだろう。もちろんそこには、AV8805に内蔵されたマランツオリジナルのアンプモジュール「HDAM」によるフルディスクリートアンプがもたらす克明な描写力もあってのこと。実にクリアーでボディ感のあるセリフが堪能できた。

MM8077の内部

■ダイレクトに感じられるライブの臨場感

音楽ソフトではどうだろう。ノラ・ジョーンズがロンドンの老舗クラブにトリオ編成で臨んだ「ノラ・ジョーンズ・ライブ・アット・ロニー・スコッツ」では、<フリップ・サイド>を観賞した。リズム隊が繰り出す心地よいグルーヴ感に乗って、ノラのヴォーカルは明瞭に再現された。そのノリのよさったらない。ピアノはトランジェントよく響き、AV8805のスルーレートの高さがそこから感じ取れる。

AV8805は、一般的に集積回路が使われる部分にもディスクリート回路が用いられ、アンプの精度と安定性が重視されている。これはとりも直さず、アンプとしてのリアリティ追求の姿勢に他ならない。客席の反応もダイレクトに感じられるライブならではの臨場感は、信号の純度を追求したセパレート型ならではの表現力といっていいだろう。

AV8805はシャーシにも大胆にメスが入れられている。天板は鳴きの少ない3分割タイプとなり、前後に渡されたビーム(梁)によって、剛性が飛躍的に高まっている。こうした物理的な改善点が、再生時の動的なS/Nを支えていることは間違いない。

AV8805は、前後に渡された2本のビーム(梁)により、剛性が向上している

次ページ音の生々しさに思わずハッとした

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