KEF、FOCALなども登場の後半戦をお届け
ペア10万円以下スピーカー一斉テスト(後編) ベストバイ決定! B&WやJBLなどの実力機が登場
<試聴モデル9>
B&W「607」 90,000円(税抜)
【主なスペック】 外形寸法:165W×300H×207Dmm、質量:4.7kg、ユニット:25mmダブル・ドーム・トゥイーター/130mmコンティニュアム・コーン、カラー:ホワイト/ブラック、再生周波数帯域:40Hz-28kHz、能率(2.83V/1m):84dB、インピーダンス:8Ω、推奨アンプ出力:30-100W、端子:バイワイヤリング、バナナプラグ対応
■音楽ソースが持っている情報を徹底的に描き出す
B&Wは、世界でも最大手のスピーカーメーカーだ。世界中のトップレベルのレコーディングスタジオでリファレンスに用いられるなど、まさにマスマーケティング・スピーカーメーカーのトップブランドとして、業界を牽引する大きな影響力を持った存在だ。同社は、フラッグシップモデルの刷新と共に、その技術をトップダウン式に普及モデルへと組み込んでラインナップを更新するという製品展開を採る。
この600シリーズはエントリーシリーズの最新バージョンであり、B&Wが44年という長い年月採用してきたケブラー・コーンに代わる替わる存在、コンティニュアム・コーンを搭載することが最大の特徴だ。607は、シリーズ中で最もコンパクトなモデルとなる。
一聴して圧倒されるのは、ずば抜けた解像度の高さと、全ての帯域に亘るスピーディーな応答性だ。このクオリティはクラス随一のものと言っても過言ではない。厳格なモニター的描写性を持ち、小型サイズなこともあり、音色バランス的に高域方向に力感を持っている。楽器の音像は3次元的に描写され、位置関係が明解だ。
音像の重なりや、音像ごとに持っている微妙なアンビエンス成分なども、明瞭に描き分ける。コンティニュアム・コーンが担当する低域は、音が出終わった後の音の切れがよく、派手ではないが着実かつ端正で、決して滲むことがないタイトなサウンドだ。とにかく高域から低域まで音の切れ味が鋭く、音楽ソースが持っている情報を徹底的に描き出すのである。
【相性のよかった音楽ジャンルとそのポイント】
対応範囲はジャンルレスだが、とりわけハイレゾのクラシックソースを再生したときの情報量の多さが驚異的。スケール感こそスピーカーサイズなりではあるが、とにかくリアリティが高い。
<試聴モデル10>
DYNAUDIO「Emit M10」 ¥OPEN(予想実売価格90,000円前後)
【主なスペック】 外形寸法:170W×292H×240Dmm、質量:5.6kg、ユニット:28mmソフトドーム・トゥイーター/140mm MSP(ケイ酸マグネシウム・ポリマー)製ミッド/バスドライバー、カラー:サテンブラック/サテンホワイト、再生周波数帯域:50Hz-23kHz、能率:86dB、インピーダンス:6Ω、最大入力:150W、端子:バナナプラグ対応
■一つ一つの所作が丁寧な質感で甦る立体的なサウンド
DYNAUDIO(ディナウディオ)は、デンマークのスピーカーブランドで、プロフェッショナル用途のモニタースピーカーから、カーオーディオのほか、スピーカーメーカーへのユニット提供も手がけるメーカーだ。
同社のスピーカーシステムは、グレードこそ違えど、どのラインナップも、優れたソフトドーム・トゥイーターと、独自開発のMSP(ケイ酸マグネシウム・ポリマー)製コーン・ウーファーで構成されることが特徴的だ。それ故に、モデルの新旧を問わず、揺るぎないサウンドキャラクターが貫かれている。Emitは、そんな同社のエントリーシリーズとなる。
エントリーシリーズながら、同社ならではの、スムーズで透明感の高いサウンドを味わうことができる。音楽ソースに忠実な音色バランスと高い解像度を持ちつつも、それらが主張しすぎることなく、あくまでナチュラルかつ穏やかに音楽を楽しませてくれるのだ。一つ一つの所作が丁寧な質感で甦り、立体的なサウンドが展開する。
微妙な強弱やヴィブラートによる音程変化なども細やかに聴き取ることが出来るが、それらの演奏に力みがなく、決して神経質な音にならないため、至って自然な心地よい開放感でもって音楽を楽しむことが出来る。低域再生は、ほどよい量感と適切な弾力を持ち、伸びやかな余韻が実に快適だ。外観デザインも音と同様に、シンプルかつ洗練されていながらも、それが主張し過ぎないため、飽きの来ない優れた意匠と言える。
【相性のよかった音楽ジャンルとそのポイント】
何と言っても、女性ヴォーカルは格別だ。瑞々しくナチュラルな音色で歌声が再現され、非常に心地よい音楽を楽しむことが出来る。同様に、音数の少ないアコースティックソースにもピッタリだった。
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