2倍の駆動力を実現する“パラレルBTL”も試した
大ヒット機が “正常進化” 超えた飛躍、 マランツの手頃・小型な本格オーディオ「M-CR612」レビュー
■さらに磨きをかけた音質。パラレルBTLで駆動力が2倍に
M-CR611でも徹底した作り込みが為されていたが、M-CR612ではさらに徹底した音質向上対策が施された。マランツは近年、フラグシップの「PM-10」やそれに次ぐ「PM-12」など上位のプリメインアンプでクラスD方式を採用しているが、注目したいのは、ここで培われた技術がM-CR612にも投入されていることだ。
デジタルアンプのデバイス自体は従来から継承しており、実用最大出力は60W+60Wと同様。入力から出力まで全ステージをデジタル処理するフルデジタル構成である点も同様で、平たく言えばデジタル入力されるハイレゾファイルやストリーミング音源、CDなどは、途中でアナログ変換されることなく、アンプまでストレートにデジタル処理されるということだ。こうした仕様は、より鮮度の高いサウンドに寄与する。
本機における新しい音質対策として、クラスD方式のパワーアンプ部におけるPWMプロセッサー用の電源を刷新。専用電源とすることでさらなるローノイズ化を実現した。また、メイン基板およびネットワーク基板では、異なるタイプの負低ESR/ESL導電性高分子電解コンデンサーを、各所に最適なものを検討して配置した。30万円クラスのSACDプレーヤー「SA-12」と同じ位相低雑音クロックを採用したことも、音質向上に大きく寄与するはずだ。
コスト度外視とも思えるパーツを豊富に投入できるのは、パーツの購買力がある総合オーディオメーカーならではのアドバンテージと言える。また、前モデルの大ヒットで生産計画にゆとりが生まれた(大量生産によるコスト・アドバンテージが発生した)であろうことも、この豪華な仕様を実現できる理由だろう。
そして、本機のハイライトといっても過言ではないのが、新搭載された「パラレルBTL」だ。本機には4ch分のアンプ出力が搭載されているが、パラレルBTLではスピーカーケーブル1組を用いた通常接続で、4ch分のアンプをフルに使ってスピーカーを駆動できるのだ(技術的な詳細はニュース記事を参照)。これにより、通常駆動時と比べて約2倍のスピーカー駆動力を実現できるのである。
従来モデルでは、バイアンプ駆動で4chアンプをフル活用できるのは、バイワイヤリング対応のスピーカーを使うユーザーに限られていた。対してM-CR612では、シングルワイヤ仕様のスピーカーでも、4chアンプを使ったより強力な駆動が行えるようになったわけだ。
このようにM-CR612は、前モデルから「小型・多機能・高音質」を継承しながら、さらなる音質と最新のユーザビリティを身にまとったのである。
■筆者の自宅で試聴を実施。オーディオ製品として上品な装い
試聴は自宅のリスニングルームで行った。今回はサウンドはもちろん、本機が実際どのように生活空間に溶け込んでくれるのかも確認したかったので、まずは自宅のいくつかのスペースに設置して試してみた。その後、2階の試聴室で本格的な試聴テストを行った。
M-CR611でも徹底した作り込みが為されていたが、M-CR612ではさらに徹底した音質向上対策が施された。マランツは近年、フラグシップの「PM-10」やそれに次ぐ「PM-12」など上位のプリメインアンプでクラスD方式を採用しているが、注目したいのは、ここで培われた技術がM-CR612にも投入されていることだ。
デジタルアンプのデバイス自体は従来から継承しており、実用最大出力は60W+60Wと同様。入力から出力まで全ステージをデジタル処理するフルデジタル構成である点も同様で、平たく言えばデジタル入力されるハイレゾファイルやストリーミング音源、CDなどは、途中でアナログ変換されることなく、アンプまでストレートにデジタル処理されるということだ。こうした仕様は、より鮮度の高いサウンドに寄与する。
本機における新しい音質対策として、クラスD方式のパワーアンプ部におけるPWMプロセッサー用の電源を刷新。専用電源とすることでさらなるローノイズ化を実現した。また、メイン基板およびネットワーク基板では、異なるタイプの負低ESR/ESL導電性高分子電解コンデンサーを、各所に最適なものを検討して配置した。30万円クラスのSACDプレーヤー「SA-12」と同じ位相低雑音クロックを採用したことも、音質向上に大きく寄与するはずだ。
コスト度外視とも思えるパーツを豊富に投入できるのは、パーツの購買力がある総合オーディオメーカーならではのアドバンテージと言える。また、前モデルの大ヒットで生産計画にゆとりが生まれた(大量生産によるコスト・アドバンテージが発生した)であろうことも、この豪華な仕様を実現できる理由だろう。
そして、本機のハイライトといっても過言ではないのが、新搭載された「パラレルBTL」だ。本機には4ch分のアンプ出力が搭載されているが、パラレルBTLではスピーカーケーブル1組を用いた通常接続で、4ch分のアンプをフルに使ってスピーカーを駆動できるのだ(技術的な詳細はニュース記事を参照)。これにより、通常駆動時と比べて約2倍のスピーカー駆動力を実現できるのである。
従来モデルでは、バイアンプ駆動で4chアンプをフル活用できるのは、バイワイヤリング対応のスピーカーを使うユーザーに限られていた。対してM-CR612では、シングルワイヤ仕様のスピーカーでも、4chアンプを使ったより強力な駆動が行えるようになったわけだ。
このようにM-CR612は、前モデルから「小型・多機能・高音質」を継承しながら、さらなる音質と最新のユーザビリティを身にまとったのである。
■筆者の自宅で試聴を実施。オーディオ製品として上品な装い
試聴は自宅のリスニングルームで行った。今回はサウンドはもちろん、本機が実際どのように生活空間に溶け込んでくれるのかも確認したかったので、まずは自宅のいくつかのスペースに設置して試してみた。その後、2階の試聴室で本格的な試聴テストを行った。