IMAX、ドルビーシネマ、2D/3Dどれが良い?
「アベンジャーズ/エンドゲーム」観るならここがベスト! 7バージョン観たマニアが指南(前編)
■実はScreenXは、宇宙に弱い
今回「エンドゲーム」に「2D・ScreenX」(3面スクリーン上映)がないのも、全編IMAX撮影であることに起因する。
ScreenXとは、通常の正面スクリーンに加えて左右に広がる3面マルチスクリーンで、270度の映像に包まれる上映方式である。現在、国内には東京都、石川県、山口県、福岡県の4ヵ所ある(通常料金+500円〜+700円)。詳細レポートはこちら。
ScreenXは、基準となる正面映像がシネスコでなければならない。そのうえで左右の映像を専用の3面カメラで同時収録するか、デジタルVFX制作で補う。なのでIMAX撮影を前提としている本作でのScreenXは考えにくいというわけだ。
また実はScreenXは、”宇宙に弱い”。
3面スクリーンは、正面映像・右映像・左映像を複数のプロジェクターで上映しているが、左右映像の重なり部分(のりしろ)はプロジェクターの光が重なり、白く光ってしまう。
実際に筆者も、MCU作品の「ブラックパンサー」(2018)のオープニング、地球に隕石が飛来する宇宙のシーンで、のりしろ部分の映像が白く消えるという現象も経験している。こういったこともあり、漆黒の宇宙のシーンや暗い映像が続く「エンドゲーム」でのScreenXフォーマットは避けた可能性もある。
一応、ScreenXの魅力を紹介しておくと、ScreenX専用3レンズカメラで定点撮影したコンサートライブの迫力は、実際のホールにいるかのような感覚に包まれ、この上ない至福の一時だ。
大ヒットした「ボヘミアン・ラプソディー」(2018)も、実はScreenX用の左右映像がある。ウェンブリー・スタジアムでのライブ・エイドのシーンは、IMAXでも観ることができないワイドな体験が得られる。
■IMAX版は見えない部分が見える。フレーミングは自然で開放的
(1)IMAX3D字幕版
まずは「エンドゲーム」が純正IMAXなので、TOHOシネマズ新宿の「3D・IMAX」(字幕)版を解説したい。
もともとIMAXは撮影フィルムサイズを大きく使うシステム(70mmフィルムを水平使用)を由来としているため、通常の映画館より大きく、正方形に近いスクリーンを使う。
しかし一般的に「IMAX=大画面」という印象があるかもしれないが、それは必ずしも正しくない。
同じIMAXでも映画館によってサイズはまちまちである。また近年のシネコンは、独自の巨大スクリーン(TCXやULTIRAなど)を備えており、サイズを単純比較されないようにするためか、スペックを非公開としている場合が多い。もちろん箱(映画館)と座席数、視聴距離によって、視聴サイズの感じ方は違うのだが、実は相対的に小さい「ざんねんIMAX」もある。
誰もツッコまないが、同系列劇場でIMAXとTCXのスクリーンがある場合、IMAXの+500〜+600円の追加料金に見合わない画面サイズ差、ということもある(どことは言わない)。