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一粒で三度美味しい! 迫力とリアリティを両立したイヤホンXROUND「AERO」は本気でハイコスパだ
全体のサウンドチューニングは、各帯域ごとに残響音(=リバーブの時間速度)を緻密にコントロールしながら追い込んできた。結果として、どんな音源を再生した場合にも “リアリティ” として効いてくる、正確でリアルな立体定位と自然な音の粒立ちが引き出せるという。
また、AEROには2種類のイヤーピースが付属する。両方ともにシリコン素材をメインとしているが、傘と軸の部分の素材の厚み、柔らかさを変えて “音の違い” を生み出している。センターの軸がオレンジ色のイヤーピースが「AEROスペシャル」。特に低音域のエネルギー感を引き立たせるという。
ノズルを含め全体がダークグレーのイヤーピースは、「ボーカル強化」タイプとして中高域にフォーカスを定めている。そしてワイドな音場の再現力も意識した。ふたつのイヤーピースを指で押しつぶして硬さを比較してみると、AEROスペシャルイヤーピースの方が軸がわずかに硬く、指先に強めの跳ね返りを感じる。
ただ、どちらのイヤーピースも硬すぎることはなく装着感はとても心地よい。本機を借りて、4月末に出かけた海外出張の際に飛行機の中で使ってみたが、パッシブなノイズキャンセリング性能も驚くほどに高かった。長時間身に着けていても耳が痛くならない。アクティブ・ノイズキャンセリング・ヘッドホンは苦手という方に、飛行機による長旅にも心地よく使える高遮音性イヤホンとしておすすめしたい。
■メリハリの効いた力強いサウンド、2種のイヤーピースの効果も絶大
さて、それではAEROのサウンドを聴いてみよう。はじめにSHANLINGのハイレゾプレーヤー「M0」と組み合わせてハイレゾを聴いた。曲は宇多田ヒカルの「First Love」。イヤーピースは最初にボーカル強化タイプを選んだ。
声の艶っぽさが自然が引き立つ。少し中域がキラキラとしていて、最初は少し派手めにも感じられたが、輪郭の描き込み、余韻の広がり方は素直で聴き疲れしない。音場の見晴らしがよく、ふくよかで濃厚な余韻に包まれる。ボーカルとコーラスが心地よくほぐれて、滑らかなハーモニーの層が重なり溶けていくリッチなリスニング感を楽しみたい。
イヤーピースをオレンジ色のAEROスペシャルに変えてみる。ドラムスのキックやベースの輪郭が太くなって、沈み込みも深みが増した。バンドの演奏がしっかりと地面に足が付く。「ボーカル重視」のイヤーピースでは切れ味が鋭くクールな印象を受けた歌声が、AEROスペシャルに交換するとクリーミーで温かみが加わってくる。しっとりとしていて、人肌の温かさが伝わってくる。静かなロックのバラード、ジャズボーカルをじっくりと聴き込みたくなってくる。
音楽プレーヤーをiPhoneに換えて、スマホとの組み合わせをチェックした。接続にはLightning/3.5mオーディオポートアダプターを使用。曲はSpotifyで配信されているOxTの「UNION」を聴いた。アニメ『SSSS.GRIDMAN』のオープニング主題歌で、ノリのいいアップテンポなJ-POPだ。
立ち上がりの鋭い低音は筋肉質でスピード感が豊か。エレキベースのグルーブが勢いよく駆け抜ける。イヤーピースにAEROスペシャルを選択するとベースのアウトラインが少し太め描かれて、この楽曲にマッチした。中低域がスムーズにつながって、音楽に自然な一体感が生まれる。
ボーカル強化タイプのイヤーピースに付け換えると、音楽がほどよく解れて風通しが良くなった。ボーカルは爽やかさが強調され、ピアノやエレキの音がピリッと引き締まった。音像の定位感も向上する。このクールな感じも悪くない。
それにしてもAEROはスマホと組み合わせてみても、メリハリの効いた力強いサウンドをガンガン鳴らしてくれるイヤホンだ。イヤーピースの遮音性も高いので、アウトドアで使う時にもスマホのボリュームを上げすぎなくても心地よいバランスで音楽の全体像をつかまえることができた。