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【特別企画】注目DAPと組み合わせて実力チェック

Campfire Audioの“新星”を速攻レビュー! 「IO」「POLARIS II」「ANDROMEDA」三者三様の魅力を実感

公開日 2019/06/21 17:00 草野晃輔
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低域がパワフルだと音がもっさり聴こえがちだ。その点本機は、低域でも解像度が高く、明瞭で音の立ち上がりが早い。そのため、アップテンポなロックやEDMを聴くと疾走感が心地よい。Yesのアルバム『Fragile』の「Roundabout」は、うねるベースがドラムやシンセサイザー、ギターといったリズムを構成する楽器たちを牽引。思わず縦ノリしたくなるほどの疾走感あるサウンドを楽しめた。

「HiBy R6Pro」と組み合わせて試聴。POLARIS IIではパワフルな低域が特長で、厚みがありながらも明瞭で立ち上がりも早い

驚きはオーケストラやジャズでも低域がしっかり活かされていたこと。『FINAL FANTASY ORCHESTRAL ALBUM』の「FINAL FANTASY T〜XIV バトルメドレー2012」では、オープニングの「プレリュード」でスタートし、歴代ファイナルファンタジーのバトル曲がメドレーで演奏される。ゆったりした曲調からテンポの激しい曲までさまざまあるが、低域によってサウンドの厚みが増し迫力満点。広い音場空間と相まって、大編成の醍醐味を味わうことができた。

パワフルなのにしっとりとした上質サウンドが持ち味の「ANDROMEDA」

最後に試したのは「ANDROMEDA」。2016年に発売され、Campfire Audioの評価と人気を決定づけた名機「ANDROMEDA」をベースにした第2世代機となる。製品名はアンドロメダ銀河が由来だ。

Campfire Audioの大人気モデル「ANDROMEDA」をマイナーチェンジ

モスグリーンの筐体はアルミニウム製。ドライバーはバランスド・アーマチュア型5基で、構成は低域用が2基、中域用は1基、高域用が2基となる。音導管を使わない独自の音響設計技術「Tuned Acoustic Expansion Chamber」(T.A.E.C)も採用する。

従来機との違いは、こちらも上述の2機種と同じく、耐久性に優れるMMCX端子の搭載とリケーブルの「New Smokey Jacket Silver Plated Litz Cable」への変更。キャリングケースも半円形タイプを付属、こちらは深いグリーンカラーとなっている。なお、サウンドチューニングは従来のANDROMEDAと同様だという。

ANDOROMEDAと組み合わせたDAPは、7月に発売が予定されているAstell&Kernの新しいフラッグシップモデル「A&ultima SP2000 Stainless Steel」だ。旭化成エレクトロニクス製のハイエンドDACチップ「AK4499EQ」をデュアルで搭載。同時にオペアンプとアナログアンプ部の設計をイチから見直すなどして、外部アンプを使わずに高出力に対応させている。ここでも試聴曲はハイレゾ音源を中心とした。

7月発売予定のAstell&Kern 新フラグシップDAP「A&ultima SP2000」をいち早く使って試聴!

どんな音を聴かせてくれるのか、ワクワクしながらドナルド・フェイゲンの「I.G.Y. (What a Beautiful World)」を再生する。サウンドは中高域の表現力に長け、IOと同じ傾向を持っているが、高解像度と滑らかさを高い次元で両立させたためか、音の潤いと太さが別次元。ノイズレベルが低いこともあり、暗闇でスポットライトを浴びているように音に存在感がある。

イントロのシンセサイザーは、音がキラキラと輝きつつしっとりと上質。ギターやボーカルも一聴すると派手に感じられるが、聴いていくうちにそれが、瑞々しいサウンドだと気付く。低域は太く力強い。それは、バランスド・アーマチュア型ドライバーのみで奏でられているとはにわかには信じがたいレベルだ。

それでも、チューニングの妙か、過度に目立つことはなく決して楽曲のバランスを損なわない。筆者は従来機でもこの曲を聴いており、そのサウンドと比べると、音の彫りが深くなったように感じた。直接聴き比べたわけではないので、明確な判断とはいえないが、ケーブルの違いもわずかだがサウンドに影響しているようだ。

高解像度と滑らかさを圧倒的高次元で両立させ、スポットライトを浴びたような存在感あるサウンドを鳴らす

続いて、ビル・エヴァンスのアルバム『Waltz for Debby』から、「Waltz for Debby (Take 2)」を聴く。ピアノの表現力が素晴らしく、繊細な演奏はより繊細に、激しいタッチはより激しく再生する。ドラムやベースの音もリアルなライブを聴いているように生々しく、演奏者がそこにいるかのようだ。

このアルバムは、1961年にヴィレッジ・ヴァンガードで行われたライブを収録した作品で、高級オーディオシステムのスピーカーで聴くと空間の広さや観客の存在まで感じられる。本機はイヤホンのため、スピーカーで聴くような奥行きとは言わないものの、これに近いレベルで演奏している空間や観客の存在感が分かった。これほどリアルなWaltz for Debbyをイヤホンで聴けるということに感激を覚えた。

他にもロックやEDM、オーケストラなどを聴いたが、いずれも潤いに満ちた上質かつ表現力溢れるサウンドで楽曲の魅力を引き立ててくれる。ANDROMEDAは幅広いジャンルの音楽を楽しむのに、打って付けのモデルといえそうだ。



中高域の表現力が豊かな「IO」、ここに低域を加え描写力を高めた「POLARIS II」、低域から高域まで潤いのある上質なサウンドの「ANDROMEDA」と、Campfire Audioのニューモデルは三者三様の個性を味わわせてくれた。この違いは、ぜひあなたの耳で直接確かめていただきたい。きっと、その虜になるだろう。

(特別企画 協力:ミックスウェーブ)

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