【特別企画】「パーソナルEQ」などアプリ機能も充実
音も機能も“スポーツのため”の完全ワイヤレスイヤホン、Jaybird「VISTA」レビュー
■音質面も大きくアップデート。EQ機能でユーザー最適化も
VISTAの極めて大きなアップデートが音質の向上だ。僕がリファレンスにしている宇多田ヒカルの「あなた」では、歌声にライブのような情感があり、臨場感あるサウンドを実感する。低音は量感があり、強めのアタックを伴うタイプ。サカナクションの「忘れられないの」では、音の刻みに躍動感があり、ギターは立体感のある鳴りを聴かせてくれる。ボーカルもクリアで、強めの音圧感で刻むベースも心地良い。
映画ラ・ラ・ランドのサウンドトラックより「アナザー・デイ・オブ・サン」を聴くと、ピアノの音の質感をしっかりと表し、ジャズのライブ感、没入感が得られる。ウッドベースの低音の刻みは、かなりの量感志向で響かせる。屋外でボリュームを抑えて音楽を聴いていても、楽曲の楽しみが伝わるサウンドチューニングだ。
素の状態で十分に高音質なVISTAだが、さらに、Jaybird製のイヤホン向けスマホアプリ「JayBird App」による音質チューニングも活用したい。以前から「フラット(デフォルトの状態)」や「シグネチャー」、「TIMOTY OLSON(同名のウルトラマラソンのランナー提供のプリセット)」などの多彩なチューニングのほか、個人の耳にサウンドを最適化する「パーソナルEQ」機能も搭載されているのだ。
「パーソナルEQ」の使い方は簡単。アプリを立ち上げてVISTAが認識されている状態で、音楽のプリセットから「パーソナルEQ」をタップすると、ユーザーの聴力をテストする機能がスタートする。上下に動かすと音量が変化するスライダーが表示されるので、自分の聴き取れる音量になったら「次へ」をタップして進んでいく。
副低音/低音範囲/低中音域/中音域/高中音域/プレゼンス&ブリリアントと、6つの帯域に対するテスト音が再生され、スライダーを動かしてどの位置まで聴こえるかを設定。これらの測定は、注意深く進めても1、2分程度で完了できるだろう。
実際に「パーソナルEQ」で自分用にチューニングした設定で、さきほど紹介した楽曲を改めて聴いてみる。宇多田ヒカルの「あなた」は、歌声がしっかり頭内定位してより近く感じられ、ライブ志向のサウンドはフラット志向に落ち着いた。コーラスや楽器の音の見通しも向上し、低音は強めながらその中にある情報までも見通せるようになった。
サカナクションの「忘れられないの」では、全体的に均等に鳴らすトーンながら、楽器の音の臨場感が増し、音の広がりはより素直に拡散していく。「アナザー・デイ・オブ・サン」のピアノは軽やかかつ優しく響き、それぞれの楽器も自然な分離感を保っている。
サウンドには好みがあって当然だが、聴力測定によって設定される「パーソナルEQ」は正しいサウンドの基準となるだろう。なお、「パーソナルEQ」の設定内容はVISTA本体に保存されるので、アプリで選択しておけば別のデバイスと接続しても同じチューニングのまま音楽を聴くことができる。
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