【特別企画】NETGEAR “優先ポート” 設定を検証
オーディオ用にゲーミングスイッチハブを使ってみたら、音質が向上した!
ネットオーディオ用に開発された高級品ではなく、もともと存在する手頃なネットワーク製品のなかにも、使い方次第で音質向上がのぞめるものはないだろうか? 今回、もともとオンラインゲームユーザーのために生まれたネットギアのゲーミングスイッチングハブ「Nighthawk Pro Gaming SX10」の“優先ポート設定”に土方久明氏が着目。同社の10ギガビット転送対応の高性能ReadyNASとSX10を組み合わせ、ポートの優先設定の有無で聴き比べをしてみた。
■常時交通整理しているハブに優先経路を設定する
ハブやルーター、NASなどのネットワーク環境を高品位かつ安定性高く整備することは、ネットオーディオを楽しむのに不可欠な要素。最近は高音質化を売りにした製品も多い。それらは強固なボディで振動を抑制し、電源ノイズや電磁波ノイズの侵入を防止する上、自身からのノイズも発生させない「EMC(電磁的両立性)」性能を持つ。NASは、上記に加え音質に優れたハードディスクやSSDを選んで音質向上を図っている。
そのような中、筆者は、ネットギア社の製品に注目していた。同社は無線/有線ルーター、ネットワークハブ、NASなどネットワーク機器事業を中心とした米国企業。最新鋭の高速Wi‐Fi規格「Wi‐Fi6(11ax)」や10ギガビットの転送速度に対応するネットワークハブおよびNASといったアグレッシブな製品展開で知られる。
今回テストするのは、スイッチングハブの「Nighthawk Pro Gaming SX10」と10ギガの転送速度(ギガビットの10倍の速度)に対応したNAS「ReadyNAS 626X」である。
Nighthawk Pro Gaming SX10はオンラインゲーム(e‐Sports)向けに作られた、スイッチングハブ。高剛性な亜鉛合金製シャーシの採用、徹底的な低遅延設計思想を持ち、さらに通信を優先するポート(LANケーブルを挿す穴)を設定できる特徴を持つ。
ネットワークハブは通信の集約だけではなく、適切な宛先の判断と転送も行うため、同時処理できるデータ量に上限がある。
複数のパソコンやIoT対応の家電製品がハブに接続され、同時に通信した場合、ハブのデータ処理速度が低下してそれが音質に悪影響をもたらす可能性もあるのだ。
ならば、NASとプレーヤー間のポートやルーターとネットワークプレーヤーの間を優先するようにポートを指定して、ネットワーク再生時やストリーミングサービスの音声信号を優先して伝送してみたらどうだろう。
筆者は、反応速度=高品質なネットワーク環境が求められるSX10の設計思想は、オーディオの高音質化思想に共通するものがあると考えた。
また、本機はスイッチングハブを複数の仮想的なネットワークに分割する「VLAN」機能や、複数の物理ポートをひとつの論理ポートとして使用する「LAG」(リンクアグリゲーション)機能を備える。詳細は省くが、どの機能もトラフィック(負荷)の低減や安定性などのネットワーク品質を高めることが可能だ。つまり、SX10を使用することで一歩進んだネットワークのストレート&ダイレクト思想の恩恵を取り入れられる可能性が高い。
同社ReadyNASは、「NetAudio」誌33号でも取り上げられた通り、数多くのデータ保護機能を備えている。筆者宅は家族全員がNASに動画データ等を溜め込んで利用しているので、理論値10ギガの転送スピードを持つReadyNAS 626Xを用い、同時並行使用時の安定性を上げたい意図があった。
SX10のポートには、ルーター、ミュージックサーバー「カクテルオーディオX50Pro」、NAS「ネットギアReadyNAS 626X」をはじめ、家庭内にあるパソコンやWi‐Fiアクセスポイントなどを接続したハブからのケーブルも接続した。
SX10はWEBブラウザ経由で管理画面にアクセスし、各ポートごとに通信の優先度を8段階から選択、さらにダウンロードとアップロードの通信速度上限も指定できる。
■ノイズフロアが一段下がり空間再現性がグッと上がる!
まずはルーター、X50Pro、NASの優先度をそれぞれ「Normal(P2)」にしてネットワーク再生とストリーミング再生を行ったが、聴感上のノイズフロアは低く、再生品質は悪くない。SX10は素の状態でも音が良い。
次に3ポートの優先度を「high(P7)」に上げる。この状態で、あらためて試聴する。テスト時に家族がインターネット等を利用してネットワークトラフィックが大きかったこともあるが、優先度の設定は高い音質向上効果がある。ノイズフロアがもう一段下がり、ひとつひとつの音の立体感やサウンドステージの表現など空間再現性が上がるのだ。
また、同時刻に家族がNASの626Xに保存していた4K動画をネットワーク経由で試聴していたが、画面がカクつくこともなく、ネットワーク再生の音も途切れない。10ギガビット対応のNASの能力を思い知った。
ゲーミングスイッチングハブが音質向上アイテムとして使えること、そしてNASを含めた10ギガのネットワーク構築、つまりネットワーク品質を多角的に高める有効性を実感した試聴だった。
Specifications
【Nighthawk Pro Gaming SX10 GS810EMX-100JPS】●10ギガビット/マルチギガビットポート:2●ギガビットポート数:8●ポートLED:オン/オフ可能●VLAN:64●質量:1.515 kg●サイズ:268W×203D×93Hmm●ハードウェア保証期間:3年間●取り扱い:ネットギアジャパン合同会社
※本記事は「NetAudio」Vol.35 所収記事を転載したものです
(協力:ネットギアジャパン)
■常時交通整理しているハブに優先経路を設定する
ハブやルーター、NASなどのネットワーク環境を高品位かつ安定性高く整備することは、ネットオーディオを楽しむのに不可欠な要素。最近は高音質化を売りにした製品も多い。それらは強固なボディで振動を抑制し、電源ノイズや電磁波ノイズの侵入を防止する上、自身からのノイズも発生させない「EMC(電磁的両立性)」性能を持つ。NASは、上記に加え音質に優れたハードディスクやSSDを選んで音質向上を図っている。
そのような中、筆者は、ネットギア社の製品に注目していた。同社は無線/有線ルーター、ネットワークハブ、NASなどネットワーク機器事業を中心とした米国企業。最新鋭の高速Wi‐Fi規格「Wi‐Fi6(11ax)」や10ギガビットの転送速度に対応するネットワークハブおよびNASといったアグレッシブな製品展開で知られる。
今回テストするのは、スイッチングハブの「Nighthawk Pro Gaming SX10」と10ギガの転送速度(ギガビットの10倍の速度)に対応したNAS「ReadyNAS 626X」である。
Nighthawk Pro Gaming SX10はオンラインゲーム(e‐Sports)向けに作られた、スイッチングハブ。高剛性な亜鉛合金製シャーシの採用、徹底的な低遅延設計思想を持ち、さらに通信を優先するポート(LANケーブルを挿す穴)を設定できる特徴を持つ。
ネットワークハブは通信の集約だけではなく、適切な宛先の判断と転送も行うため、同時処理できるデータ量に上限がある。
複数のパソコンやIoT対応の家電製品がハブに接続され、同時に通信した場合、ハブのデータ処理速度が低下してそれが音質に悪影響をもたらす可能性もあるのだ。
ならば、NASとプレーヤー間のポートやルーターとネットワークプレーヤーの間を優先するようにポートを指定して、ネットワーク再生時やストリーミングサービスの音声信号を優先して伝送してみたらどうだろう。
筆者は、反応速度=高品質なネットワーク環境が求められるSX10の設計思想は、オーディオの高音質化思想に共通するものがあると考えた。
また、本機はスイッチングハブを複数の仮想的なネットワークに分割する「VLAN」機能や、複数の物理ポートをひとつの論理ポートとして使用する「LAG」(リンクアグリゲーション)機能を備える。詳細は省くが、どの機能もトラフィック(負荷)の低減や安定性などのネットワーク品質を高めることが可能だ。つまり、SX10を使用することで一歩進んだネットワークのストレート&ダイレクト思想の恩恵を取り入れられる可能性が高い。
同社ReadyNASは、「NetAudio」誌33号でも取り上げられた通り、数多くのデータ保護機能を備えている。筆者宅は家族全員がNASに動画データ等を溜め込んで利用しているので、理論値10ギガの転送スピードを持つReadyNAS 626Xを用い、同時並行使用時の安定性を上げたい意図があった。
SX10のポートには、ルーター、ミュージックサーバー「カクテルオーディオX50Pro」、NAS「ネットギアReadyNAS 626X」をはじめ、家庭内にあるパソコンやWi‐Fiアクセスポイントなどを接続したハブからのケーブルも接続した。
SX10はWEBブラウザ経由で管理画面にアクセスし、各ポートごとに通信の優先度を8段階から選択、さらにダウンロードとアップロードの通信速度上限も指定できる。
■ノイズフロアが一段下がり空間再現性がグッと上がる!
まずはルーター、X50Pro、NASの優先度をそれぞれ「Normal(P2)」にしてネットワーク再生とストリーミング再生を行ったが、聴感上のノイズフロアは低く、再生品質は悪くない。SX10は素の状態でも音が良い。
次に3ポートの優先度を「high(P7)」に上げる。この状態で、あらためて試聴する。テスト時に家族がインターネット等を利用してネットワークトラフィックが大きかったこともあるが、優先度の設定は高い音質向上効果がある。ノイズフロアがもう一段下がり、ひとつひとつの音の立体感やサウンドステージの表現など空間再現性が上がるのだ。
また、同時刻に家族がNASの626Xに保存していた4K動画をネットワーク経由で試聴していたが、画面がカクつくこともなく、ネットワーク再生の音も途切れない。10ギガビット対応のNASの能力を思い知った。
ゲーミングスイッチングハブが音質向上アイテムとして使えること、そしてNASを含めた10ギガのネットワーク構築、つまりネットワーク品質を多角的に高める有効性を実感した試聴だった。
Specifications
【Nighthawk Pro Gaming SX10 GS810EMX-100JPS】●10ギガビット/マルチギガビットポート:2●ギガビットポート数:8●ポートLED:オン/オフ可能●VLAN:64●質量:1.515 kg●サイズ:268W×203D×93Hmm●ハードウェア保証期間:3年間●取り扱い:ネットギアジャパン合同会社
※本記事は「NetAudio」Vol.35 所収記事を転載したものです
(協力:ネットギアジャパン)