【特別企画】ケースでスマホをワイヤレス充電も
完成度◎+独自機能満載! ついに日本上陸、完全ワイヤレスイヤホン「PaMu Slide」レビュー
完全ワイヤレスイヤホンの技術も徐々に完成されてきて、接続の安定性など基本的な性能は多くの製品が十分に満たすようになってきた。
だったらどの製品を選んでもよいのかというと、そんなことはない。どんな形や音が自分の耳や感性に合うかはその人ごとだし、機能や使い勝手も様々。それぞれの製品の特徴を理解して、自分にいちばんフィットする製品を見つけ出したい。
例えば今回紹介するPadmate「PaMu Slide」。今時の完全ワイヤレスイヤホンとして隙のない高い完成度に加え、装着感、機能そして音調に独自性を備えているモデルだ。
■見たことあるけど一味違う! 装着感にこだわったデザイン
PaMu Slideは、もともと海外のクラウドファンディング「INDIEGOGO」で、日本円にして約6億3,000万円という、イヤホン分野では最高クラスの支援金を集めた完全ワイヤレスイヤホンだ。日本でも8月31日から「Makuake」にてクラウドファンディングを開始したが、開始したその日のうちに目標金額を達成、その後12日間で支援額は1,000万円にのぼった。クラウドファンディング自体は10月14日まで続き、終了後は一般販売もされる予定となっている。
PaMu Slideの、完全ワイヤレスイヤホンとして基本的な部分の完成度の高さは後ほど確認するとして、まずはこの製品を選ぶ決め手になりうる独自性から紹介していこう。
独自性のひとつめは、装着感へのこだわり。マイク部分をスティック形状に伸ばすというデザイン自体は珍しくないが、そのスティック部分も耳の凹凸に合わせた引っ掛かりとなることで装着の安定感を高めている。耳のくぼみに触れることになる本体の半分ほどは薄いシリコンキャップで覆われており、グリップも確保。試しにイヤーピースを外して装着してみても耳にしっかりと固定され、本体だけで十分な装着安定性を確保できていることが分かった。
加えて、イヤーピース周りでも装着感をさらに高めてきているのだから万全だ。楕円形状で耳へのフィットを向上させてある上に、耳への挿入の深さが異なるふたつのタイプが付属。前述のように装着の安定性は本体だけでも十分に確保されているので、こちらは固定力よりも耳に入れたときの違和感がより少ない、装着感重視で選ぶのもありかもしれない。
なおこのイヤーピース、楕円なだけではなく上下非対称なところにもこだわりを感じられる。着脱の際には向きを間違わないように確認しよう。
■いざという時心強い、“ワイヤレス充電器になる”ケース
独自性のふたつめは、ケースがワイヤレス充電対応なことだ。こう言われると普通は「ケース“を”ワイヤレス充電できる」という意味と思うだろうが、この製品の場合は違う。なんと、「ケース“で”ワイヤレス充電できる」のだ。
つまりこのケースは、ワイヤレス対応モバイルバッテリーとしてスマホなどを充電できるということ。ケースのボタンを2度押しして、ケース裏側にQi対応スマホを乗せれば充電開始だ。
もちろん、通常のモバイルバッテリーに比べればバッテリー容量は少ないのだが、スマホのバッテリーを使いすぎてしまった、いざというときの切り札としては十分に心強い。スマホがワイヤレス充電に対応してさえいれば、手元にケーブルが無くても充電できる。
参考までにだが、実際に満充電のPaMu Slideケースから、バッテリー残量約25%で低電力モードに設定したiPhone Xにワイヤレス充電を開始したところ、約1時間20分後にPaMu Slideケース側のバッテリーが空となり、iPhone Xのバッテリーは約60%まで回復した。
■完全ワイヤレスとしての基本性能は最新世代水準
続いて、完全ワイヤレスイヤホンとしての基本性能部分を、バッテリーまわりから順に見ていこう。イヤホン本体のみでの連続再生は約10時間。それをケースで約5回フルチャージできるので、合計再生時間は約60時間となる。ケースの充電端子はUSB-C。イヤホン本体もケースもバッテリー切れの状態から10分の充電で1時間以上の再生が可能な急速充電にも対応。このあたりも、現在の完全ワイヤレスイヤホンの中でもトップクラスであり文句なし。
また、ケースの蓋はスライド式となっており、片手での開け閉めも楽々。イヤホンはケース内にマグネットでぴたっと固定される。カラーバリエーションごとに蓋部分の仕上げの質感が異なるのも洒落たポイントだ。
バッテリーまわりの強さにも貢献していると思われるのが、現在最新の完全ワイヤレスイヤホン用Bluetoothチップセット、クアルコム「QCC3020」の採用。このチップは接続安定性の面でも高い評価を得ており、本機はそのチップとLDSアンテナ技術の組み合わせによって接続安定性をさらに高めてある。
他、汗や小雨程度なら問題ないIPX6耐水仕様、デュアルマイク・ノイズリダクション技術によるクリアなステレオ通話、音声アシスタントの呼び出しを含めた基本的な操作を行えるタッチコントロールなど、完全ワイヤレスイヤホンで必要と思われる機能や使い勝手は不足なく備える。強いて他のイヤホンと異なるところをあげるとすれば、音量調整の1段1段あたりの幅が大きいこと、楽曲のスキップは曲送りだけとなっているあたりだ。
■柔らかくも芯のある、「コンフォータブル」な音色
では最後に、振動板の薄さわずか6ミクロンというダイナミック型ドライバーから生み出される、そのサウンドをチェックしていこう。
印象を一言で表すならば、「コンフォータブル」に尽きる。とにかく快適で心地よい、ソフトな音色だが、ポイントとなるのがソフトな中にある“しっかり感”。この感覚を例えるなら、低反発枕のよう。一口に低反発枕といっても、安物はただ柔らかいだけで頭の座りが悪く、実は快適ではない。対して上質な低反発枕なら頭が沈み込む柔らかさと、その中で頭を支える“しっかり感”が両立する快適さがある。PaMu Slideの音色はまさに後者通じる柔らかさで、聴き手を包み込みながらもしっかり支える芯を備えているのだ。
Robert Glasper Experiment「Human」のようなクラブ系の重低音、あるいはDaft Punk「Get Lucky」のようにグルーヴィなリズムとの相性は特に素晴らしい。ベースやバスドラムはボリューミーで大柄肉厚に描き出されるが、ボワンボヨンと緩く広がってしまうことはない。一定の抑えはしっかりと効かせ、リズムをぐいっと進める推進力もある。ドラムスはアタック感も確保しつつの、胴の響きのふくよかさも秀逸。
中高域側は本当に素直で上質なソフトさだ。ボーカルは肉声的な厚みが豊か。そのおかげで、早見沙織さんの声の広がりのよさや星野源さんの声の優しさといった、シンガーそれぞれの中低域の持ち味もよりはっきりと届いてくる。
空間的な広がりの描き方もソフトタッチ。余白を生かした見晴らしのよい広がり感とは違い、それぞれの音がふわっと広がりよい感じに重なって馴染むことで、空間全体も柔らかに心地よく広がるといった様子だ。
Padmate「PaMu Slide」は、丸みを帯びておおらかなルックスの通り、使い心地、機能、そして音にいたるまで優しく仕上げられた完全ワイヤレスイヤホンだ。あらゆる面での快適さにこだわりたい。そんな音楽ファンはぜひチェックしてみてほしい。
(高橋 敦)
企画協力:ロア・インターナショナル
だったらどの製品を選んでもよいのかというと、そんなことはない。どんな形や音が自分の耳や感性に合うかはその人ごとだし、機能や使い勝手も様々。それぞれの製品の特徴を理解して、自分にいちばんフィットする製品を見つけ出したい。
例えば今回紹介するPadmate「PaMu Slide」。今時の完全ワイヤレスイヤホンとして隙のない高い完成度に加え、装着感、機能そして音調に独自性を備えているモデルだ。
■見たことあるけど一味違う! 装着感にこだわったデザイン
PaMu Slideは、もともと海外のクラウドファンディング「INDIEGOGO」で、日本円にして約6億3,000万円という、イヤホン分野では最高クラスの支援金を集めた完全ワイヤレスイヤホンだ。日本でも8月31日から「Makuake」にてクラウドファンディングを開始したが、開始したその日のうちに目標金額を達成、その後12日間で支援額は1,000万円にのぼった。クラウドファンディング自体は10月14日まで続き、終了後は一般販売もされる予定となっている。
PaMu Slideの、完全ワイヤレスイヤホンとして基本的な部分の完成度の高さは後ほど確認するとして、まずはこの製品を選ぶ決め手になりうる独自性から紹介していこう。
独自性のひとつめは、装着感へのこだわり。マイク部分をスティック形状に伸ばすというデザイン自体は珍しくないが、そのスティック部分も耳の凹凸に合わせた引っ掛かりとなることで装着の安定感を高めている。耳のくぼみに触れることになる本体の半分ほどは薄いシリコンキャップで覆われており、グリップも確保。試しにイヤーピースを外して装着してみても耳にしっかりと固定され、本体だけで十分な装着安定性を確保できていることが分かった。
加えて、イヤーピース周りでも装着感をさらに高めてきているのだから万全だ。楕円形状で耳へのフィットを向上させてある上に、耳への挿入の深さが異なるふたつのタイプが付属。前述のように装着の安定性は本体だけでも十分に確保されているので、こちらは固定力よりも耳に入れたときの違和感がより少ない、装着感重視で選ぶのもありかもしれない。
なおこのイヤーピース、楕円なだけではなく上下非対称なところにもこだわりを感じられる。着脱の際には向きを間違わないように確認しよう。
■いざという時心強い、“ワイヤレス充電器になる”ケース
独自性のふたつめは、ケースがワイヤレス充電対応なことだ。こう言われると普通は「ケース“を”ワイヤレス充電できる」という意味と思うだろうが、この製品の場合は違う。なんと、「ケース“で”ワイヤレス充電できる」のだ。
つまりこのケースは、ワイヤレス対応モバイルバッテリーとしてスマホなどを充電できるということ。ケースのボタンを2度押しして、ケース裏側にQi対応スマホを乗せれば充電開始だ。
もちろん、通常のモバイルバッテリーに比べればバッテリー容量は少ないのだが、スマホのバッテリーを使いすぎてしまった、いざというときの切り札としては十分に心強い。スマホがワイヤレス充電に対応してさえいれば、手元にケーブルが無くても充電できる。
参考までにだが、実際に満充電のPaMu Slideケースから、バッテリー残量約25%で低電力モードに設定したiPhone Xにワイヤレス充電を開始したところ、約1時間20分後にPaMu Slideケース側のバッテリーが空となり、iPhone Xのバッテリーは約60%まで回復した。
■完全ワイヤレスとしての基本性能は最新世代水準
続いて、完全ワイヤレスイヤホンとしての基本性能部分を、バッテリーまわりから順に見ていこう。イヤホン本体のみでの連続再生は約10時間。それをケースで約5回フルチャージできるので、合計再生時間は約60時間となる。ケースの充電端子はUSB-C。イヤホン本体もケースもバッテリー切れの状態から10分の充電で1時間以上の再生が可能な急速充電にも対応。このあたりも、現在の完全ワイヤレスイヤホンの中でもトップクラスであり文句なし。
また、ケースの蓋はスライド式となっており、片手での開け閉めも楽々。イヤホンはケース内にマグネットでぴたっと固定される。カラーバリエーションごとに蓋部分の仕上げの質感が異なるのも洒落たポイントだ。
バッテリーまわりの強さにも貢献していると思われるのが、現在最新の完全ワイヤレスイヤホン用Bluetoothチップセット、クアルコム「QCC3020」の採用。このチップは接続安定性の面でも高い評価を得ており、本機はそのチップとLDSアンテナ技術の組み合わせによって接続安定性をさらに高めてある。
他、汗や小雨程度なら問題ないIPX6耐水仕様、デュアルマイク・ノイズリダクション技術によるクリアなステレオ通話、音声アシスタントの呼び出しを含めた基本的な操作を行えるタッチコントロールなど、完全ワイヤレスイヤホンで必要と思われる機能や使い勝手は不足なく備える。強いて他のイヤホンと異なるところをあげるとすれば、音量調整の1段1段あたりの幅が大きいこと、楽曲のスキップは曲送りだけとなっているあたりだ。
■柔らかくも芯のある、「コンフォータブル」な音色
では最後に、振動板の薄さわずか6ミクロンというダイナミック型ドライバーから生み出される、そのサウンドをチェックしていこう。
印象を一言で表すならば、「コンフォータブル」に尽きる。とにかく快適で心地よい、ソフトな音色だが、ポイントとなるのがソフトな中にある“しっかり感”。この感覚を例えるなら、低反発枕のよう。一口に低反発枕といっても、安物はただ柔らかいだけで頭の座りが悪く、実は快適ではない。対して上質な低反発枕なら頭が沈み込む柔らかさと、その中で頭を支える“しっかり感”が両立する快適さがある。PaMu Slideの音色はまさに後者通じる柔らかさで、聴き手を包み込みながらもしっかり支える芯を備えているのだ。
Robert Glasper Experiment「Human」のようなクラブ系の重低音、あるいはDaft Punk「Get Lucky」のようにグルーヴィなリズムとの相性は特に素晴らしい。ベースやバスドラムはボリューミーで大柄肉厚に描き出されるが、ボワンボヨンと緩く広がってしまうことはない。一定の抑えはしっかりと効かせ、リズムをぐいっと進める推進力もある。ドラムスはアタック感も確保しつつの、胴の響きのふくよかさも秀逸。
中高域側は本当に素直で上質なソフトさだ。ボーカルは肉声的な厚みが豊か。そのおかげで、早見沙織さんの声の広がりのよさや星野源さんの声の優しさといった、シンガーそれぞれの中低域の持ち味もよりはっきりと届いてくる。
空間的な広がりの描き方もソフトタッチ。余白を生かした見晴らしのよい広がり感とは違い、それぞれの音がふわっと広がりよい感じに重なって馴染むことで、空間全体も柔らかに心地よく広がるといった様子だ。
Padmate「PaMu Slide」は、丸みを帯びておおらかなルックスの通り、使い心地、機能、そして音にいたるまで優しく仕上げられた完全ワイヤレスイヤホンだ。あらゆる面での快適さにこだわりたい。そんな音楽ファンはぜひチェックしてみてほしい。
(高橋 敦)
企画協力:ロア・インターナショナル