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【特別企画】豊かな情報量と絶妙なバランス力

AVIOT「TE-BD21f」は“前人未到”、完全ワイヤレスイヤホン屈指のサウンドを聴く

公開日 2019/10/18 06:05 レビュー:野村ケンジ/海上忍/折原一也
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ハイエンド有線イヤホンの領域に迫る、圧倒的な情報量と余裕の表現力(文:折原一也)

完全ワイヤレスイヤホンとして規格外ともいえる、ハイブリッド・トリプルドライバーを搭載して登場したTE-BD21f。AVIOTは「TE-D01d」「TE-D01g」とハイコスパ完全ワイヤレスの名手だが、このTE-BD21fは2万円切りの価格で業界内でも前例のない領域に挑んでいる。

その実力はどれほどのものか。今回、AndroidスマートフォンによるaptX接続で聴き込んでみた。

ケースの蓋はスライド式。イヤホン収納部にはマグネット内蔵で落とすリスクも抑えられる

宇多田ヒカルの「あなた」では、若干ハスキーさを伴う歌声を通り良く再生。それだけでなく、そこから余韻のように響く情までも感じられる。専用設計のBAドライバーが生み出す、情報量豊かな音楽の世界が広がっている。

ピアノの演奏は倍音まで見透せるほど。バスドラムは演奏が目に浮かぶように、鮮明に音が拡散していく。低音の沈み込みも深さだけでなく、楽器と構成まで見透せる情報量を持っている。これはハイブリッドドライバーだからこそ実現できた余裕の表現力といえよう。

ハイブリッド・トリプルドライバーがゆえの余裕あるサウンドが光る

RADWIMPS「前前前世 (movie ver.)」を聴くと、冒頭からエレキギターのリフの滑らかさを高い分解能で描き出す。一方で、シンバルの金属音は、ワイヤレスイヤホンでは滅多に聴けないであろう、圧倒的なキレと繊細さを両立していて、高域描写の実力を示した。

帯域バランスとしてはミッドハイにエネルギー密度があるが、男性ボーカルとバンド演奏とのサウンドは対等だ。意図的に輪郭の立ち上がりでクリアさを作るタイプではない。モニター系を彷彿とさせる圧倒的な情報量で、音数全ての情報を出し切り、リスナーは音源本来の音楽性を聴き取れることができる、そんなバランスなのだ。

今までのワイヤレスイヤホンではまず聴こえない音が聴こえるし、どちらかというとモニター系の情報量志向といえる。「有線イヤホンのハイエンドのみに許された高音質に踏み込んでいる」、TE-BD21fのサウンドはそんな評価が順当だろう。


(特別企画 協力:バリュートレード)

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