【特別企画】人気DAP4モデルやケーブルとの相性は?
テクニクス最上位イヤホン「EAH-TZ700」の実力を引き出す! DAPやケーブルと組み合わせテスト
新生テクニクス初のイヤホン「EAH-TZ700」は、フリーエッジや磁性流体を取り入れ、ダイナミック型ドライバー構造をイチから見直した「プレシジョンモーションドライバー」を積んだ高級モデルとして、発表以来注目されている。その構造的特徴や基本的なサウンドについては前編でレビューを行ったが、後編ではEAH-TZ700と様々なDAPとの組み合わせ、リケーブルでの音質変化について迫ってみたい。
EAH-TZ700は10mmプレシジョンモーションドライバーを1基用いるシングルウェイ方式であり、インピーダンスは19Ωという低い値に設定されていることも含め、スマートフォン直挿しでも難なく駆動できる仕様であることが利点となっている。ゆえにDAPとの相性という点から見ても、音質傾向での好みはあるかもしれないが、エントリークラスのモデルからハイエンド機まで、駆動力の点で問題となることはないだろう。
■純正とリケーブルとで音質比較。ケーブルごとの個性を素直に引き出す
最初に試してみたのは、同梱されている純正ケーブルとサードパーティー製のリケーブルとの音質傾向の違いについてである。
ハイコンプライアンスなフリーエッジの効果もあり、微細な音に対しても反応が良いプレシジョンモーションドライバーがもたらしたメリットの一つが、DAPなど上流の接続機器やケーブルの持つ特徴をダイレクトに反映できる点だ。
開発陣もこのドライバーが完成に近づくにつれ、入力ケーブルの素性によって音質が大きく変化することを早い段階で認識しており、最終的に、癖がなく、情報量も十分に伝送できるPCUHDとOFCを用いたハイブリッド素材を導入したという。
純正ケーブルのクオリティも一定の水準を超える品位の高いものだが、リケーブルの個性も上手に使い、自分だけのサウンドチューニングにまとめてゆく過程は、マニアならではの楽しみでもある。
リケーブルの比較にはORB「Clear force MMCX Ver.2」及び、サエク「SHC-220」を用意。それぞれ純正ケーブルとどのように違うのか、前編のレビューでも用いたAstell&Kern「A&ultima SP1000M」を使い、バランス駆動で検証してみた。
ORBのリケーブル製品の中心的モデルであるClear force MMCX Ver.2(使用したのは「Clear force MMCX Balanced Ver.2」)は自社工場にて手作業で作り上げられており、ハンダ付けもクラフトマイスターによって丹念に実施。伝送ロスを抑え、ノイズ対策にも配慮した仕様となっている。
純正ケーブルに対して、中低域のふくよかさを抑え、音像の引き締めを高めるシャープな傾向だ。音場はクリアでローエンドは弾力良くまとめている。オーケストラの管弦楽器はスッキリと爽やかに描くが、楽器単体は細身であり、響きは若干硬質だ。ボーカルの輪郭もシャキッとして鮮やかである。全般的にモニター調のドライな質感といえよう。
一方、サエクのSHC-220(使用したのは「SHC-B220FS」)は、導体にPC-Triple Cを用いたフラグシップモデルであり、中心に単線、周辺部に極細線を用いた二重構造を取り入れている。銅箔シールドやシルク介在、発泡ポリエチレンによる絶縁体など、細部にわたりピュアオーディオ向けケーブルと同様の高音質設計を用いている点が特長だ。
音離れ良く上品な艶感を持ったサウンドで、オーケストラの管弦楽器もきめ細かく描き、音場のS/Nも良い。低域は伸び良く階調も細かく追随するが、適度な引き締めもあり、クリアに空間をまとめ上げる。純正ケーブルよりもディティールの描き方が滑らかで、余韻の潤い感が増す印象だ。ボーカルも分離良く、丁寧で落ち着いた描写となる。
純正ケーブルでも十分に性能が高く、音質もバランス指向で聴きやすいが、リケーブルによってさらに表現の深みが増す。むしろEAH-TZ700がケーブルの個性を素直に引き出している印象で、リケーブル製品のクオリティチェックにも最適な描写力を備えているともいえる。
そして今回の主題ともいえるDAPとの組み合わせ試聴であるが、用意したのはリーズナブルな価格ながらハイエンド機にも迫る性能と機能性の豊かさを両立しているFiiO「M11 Pro」、初段増幅部に配置した半導体/真空管を切り替えて使用できるユニークなハイエンドモデルCayin「N8」、AKMの最新DACチップである電流出力型の「AK4499EQ」を世界で初搭載したAstell&Kernのフラグシップ機「A&ultima SP2000」、そして独自のデジタルアンプS-Master HXを積むソニーのフラッグシップ機「NW-WM1Z」の4モデルだ。
EAH-TZ700は10mmプレシジョンモーションドライバーを1基用いるシングルウェイ方式であり、インピーダンスは19Ωという低い値に設定されていることも含め、スマートフォン直挿しでも難なく駆動できる仕様であることが利点となっている。ゆえにDAPとの相性という点から見ても、音質傾向での好みはあるかもしれないが、エントリークラスのモデルからハイエンド機まで、駆動力の点で問題となることはないだろう。
■純正とリケーブルとで音質比較。ケーブルごとの個性を素直に引き出す
最初に試してみたのは、同梱されている純正ケーブルとサードパーティー製のリケーブルとの音質傾向の違いについてである。
ハイコンプライアンスなフリーエッジの効果もあり、微細な音に対しても反応が良いプレシジョンモーションドライバーがもたらしたメリットの一つが、DAPなど上流の接続機器やケーブルの持つ特徴をダイレクトに反映できる点だ。
開発陣もこのドライバーが完成に近づくにつれ、入力ケーブルの素性によって音質が大きく変化することを早い段階で認識しており、最終的に、癖がなく、情報量も十分に伝送できるPCUHDとOFCを用いたハイブリッド素材を導入したという。
純正ケーブルのクオリティも一定の水準を超える品位の高いものだが、リケーブルの個性も上手に使い、自分だけのサウンドチューニングにまとめてゆく過程は、マニアならではの楽しみでもある。
リケーブルの比較にはORB「Clear force MMCX Ver.2」及び、サエク「SHC-220」を用意。それぞれ純正ケーブルとどのように違うのか、前編のレビューでも用いたAstell&Kern「A&ultima SP1000M」を使い、バランス駆動で検証してみた。
ORBのリケーブル製品の中心的モデルであるClear force MMCX Ver.2(使用したのは「Clear force MMCX Balanced Ver.2」)は自社工場にて手作業で作り上げられており、ハンダ付けもクラフトマイスターによって丹念に実施。伝送ロスを抑え、ノイズ対策にも配慮した仕様となっている。
純正ケーブルに対して、中低域のふくよかさを抑え、音像の引き締めを高めるシャープな傾向だ。音場はクリアでローエンドは弾力良くまとめている。オーケストラの管弦楽器はスッキリと爽やかに描くが、楽器単体は細身であり、響きは若干硬質だ。ボーカルの輪郭もシャキッとして鮮やかである。全般的にモニター調のドライな質感といえよう。
一方、サエクのSHC-220(使用したのは「SHC-B220FS」)は、導体にPC-Triple Cを用いたフラグシップモデルであり、中心に単線、周辺部に極細線を用いた二重構造を取り入れている。銅箔シールドやシルク介在、発泡ポリエチレンによる絶縁体など、細部にわたりピュアオーディオ向けケーブルと同様の高音質設計を用いている点が特長だ。
音離れ良く上品な艶感を持ったサウンドで、オーケストラの管弦楽器もきめ細かく描き、音場のS/Nも良い。低域は伸び良く階調も細かく追随するが、適度な引き締めもあり、クリアに空間をまとめ上げる。純正ケーブルよりもディティールの描き方が滑らかで、余韻の潤い感が増す印象だ。ボーカルも分離良く、丁寧で落ち着いた描写となる。
純正ケーブルでも十分に性能が高く、音質もバランス指向で聴きやすいが、リケーブルによってさらに表現の深みが増す。むしろEAH-TZ700がケーブルの個性を素直に引き出している印象で、リケーブル製品のクオリティチェックにも最適な描写力を備えているともいえる。
そして今回の主題ともいえるDAPとの組み合わせ試聴であるが、用意したのはリーズナブルな価格ながらハイエンド機にも迫る性能と機能性の豊かさを両立しているFiiO「M11 Pro」、初段増幅部に配置した半導体/真空管を切り替えて使用できるユニークなハイエンドモデルCayin「N8」、AKMの最新DACチップである電流出力型の「AK4499EQ」を世界で初搭載したAstell&Kernのフラグシップ機「A&ultima SP2000」、そして独自のデジタルアンプS-Master HXを積むソニーのフラッグシップ機「NW-WM1Z」の4モデルだ。
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