高フレームレート化や広画角化などその他機能も強化
夜間でも鮮明に記録できる注目ドライブレコーダー。ケンウッド「DRV-650/W650」を試す
■夜間でも鮮明に記録できる注目機種
夜間での撮影能力を高めたナイトモード搭載のドライブレコーダー「DRV-650」「DRV-W650」(以下:650シリーズ)がケンウッドから展開されている。大ヒットモデル「DRV-630」「DRV-W630」の後継モデルで、ともにソニー製の高感度CMOSセンサー「STARVIS(スタービス)」を新たに搭載したことが大きな特徴となる。ここではWi-Fi機能に対応したDRV-W650のテストレポートをお届けしたい。
最近は何かとリアカメラを組み合わせた「2カメラ型」ばかりが注目されるが、アクシデントは進行方向で発生するのが大半。その意味では前方を捉える能力を高めたドライブレコーダーを選ぶことも大切とも言える。そんな中で650シリーズは、この基本機能を徹底的に高めたドライブレコーダーとして登場した注目の機種でもあるのだ。
では何がそんなに注目なのか。スペック的にはまずセンサーに「STARVIS」を搭載したことが挙げられる。このセンサーは裏面照射型の形態を採るCMOSの一つで、限られた面積で効率よく受光できることを特徴とする。家庭用ビデオカメラやコンパクトデジタルカメラ等、センサーを大きくするのが難しい機種に多く使われてきたセンサー技術だ。この技術を車載用として耐久性を高めて開発されたのがSTARVISで、夜間を撮影する機会が多いドライブレコーダーにとっては、まさに打ってつけのセンサーとなったわけだ。
実は昨年辺りからこのSTARVISをセンサーに採用するドライブレコーダーが相次いでおり、夜間でも鮮明に記録するにはこのセンサーなしには語れない、そんな勢いなのだ。ただ、その映像は全般に輪郭のシャープネスを強めた傾向にあり、「映像」として見るには不自然な印象を受けるのも確かだ。その意味では、映像としての質を求めるというよりも、周囲の状況を鮮明に捉えるドライブレコーダーとしての性格にはマッチしているセンサーとも言えるのだ。
実はテストしたW650の映像も同様の傾向は否めない。映像としての自然さでは従来機の「DRV-630」「DRV-W630」の方が勝っていた。しかし、夜間での撮影能力としての実力差は明らかで、ヘッドライトが当たっていない部分でも鮮明に映し出す。レンズをF値1.8とすることで光学系の明るさも確保し、相対的に白浮きも少なくてノイズもかなり抑えられている。この実力は画質云々を言っている場合じゃない、そんなことを実感させるほどの違いがあるのだ。とはいえ、今後はセンサーを使いこなすことで画質レベルアップを期待したいところではある。
そうした中、650シリーズでは他にも魅力的な機能が数多く搭載されている。その一つが記録する映像のフレームレートを高めることで、映像で発生する被写体ブレを徹底的に抑え込むことに成功している。ドライブレコーダーの映像を見ればすぐにわかるのだが、被写体が手前に近づけば近づくほどレンズで捉えるその相対速度は速くなりブレやすくなる。つまり、本来なら鮮明に映るべき被写体がブレブレで、状況によってはナンバープレートも読み取れないことさえあったのだ。
W650ではフレームレートを55fpsにまで高めたことでこの問題は一気に解決。ギリギリまで近づいた車両のナンバーが鮮明に読み取ることができており、これなら静止画として切り出すにもメリットは大きい。これまでこの機能は一部ドライブレコーダーで採用されていたが、販売台数が多いケンウッドがこれを採用したことにより、STARVISの採用に続くドライブレコーダーの標準スペックとなるかもしれない。ただ、この機能の注意点としては従来の2倍のデータで記録することになり、その分だけメモリー領域を多く使うことは承知しておきたい。
組み合わせたレンズの画角も大きく広がった。水平117度・垂直60度・対角142度の広視野角を実現しており、55fpsの高フレームと合わせ、サイドからの動きも鮮明に捉えられる能力を身につけたのだ。この撮影能力により、本機はケンウッドのドライブレコーダー中、ナンバーワンの位置にあると断言していいと思う。特にW650は無線LANに対応しており、動画をスマートフォンに転送できるといった機能も備える。PCを使わなくても重要なシーンはスマートフォン上に保存できるようになり、SNSでの動画や静止画を共有可能になるメリットは大きい。Wi-Fi機能の分だけベーシックなDRV-650よりも高価となるが、個人的にはW650の方をお勧めしたい。
また、今回の検証で気付いたのは運転支援機能の精度が高くなっていたことだ。これまでの「DRV-630」「DRV-W630」にもこの機能は搭載されていたが、キャリブレーションを指定通り行っても思うような精度は得られず、結果として目安程度にしかならなかった。ところがW650でそれを試してみたところ、特に車線逸脱警告や前方衝突警告の精度がかなり正確に行われるようになっていたのだ。ケンウッドによれば認識アルゴリズムを改善したとのことだが、ようやく運転支援機能として実用領域にまで達することができたと言っていいだろう。
ケンウッドによれば、近年は「2カメラ型」市場が拡大し、ドライブレコーダー全体の半数を超えるようになったという。とはいえ、「1カメラ型」の販売台数そのものは縮小しているものの、平均単価は変わらず15,000円前後で推移しているのも紛れもない事実。ドライブレコーダーの普及初期には単に安いモデルを求めるユーザーも少なからず存在したが、様々なアクシデントが報道される中で、製品に対する信頼性も購入の重要な要素になりつつあることをこのデータは示しているのだ。ケンウッドの650シリーズはそんな高い信頼性に裏付けられて開発されたモデルと言っていいだろう。
夜間での撮影能力を高めたナイトモード搭載のドライブレコーダー「DRV-650」「DRV-W650」(以下:650シリーズ)がケンウッドから展開されている。大ヒットモデル「DRV-630」「DRV-W630」の後継モデルで、ともにソニー製の高感度CMOSセンサー「STARVIS(スタービス)」を新たに搭載したことが大きな特徴となる。ここではWi-Fi機能に対応したDRV-W650のテストレポートをお届けしたい。
最近は何かとリアカメラを組み合わせた「2カメラ型」ばかりが注目されるが、アクシデントは進行方向で発生するのが大半。その意味では前方を捉える能力を高めたドライブレコーダーを選ぶことも大切とも言える。そんな中で650シリーズは、この基本機能を徹底的に高めたドライブレコーダーとして登場した注目の機種でもあるのだ。
では何がそんなに注目なのか。スペック的にはまずセンサーに「STARVIS」を搭載したことが挙げられる。このセンサーは裏面照射型の形態を採るCMOSの一つで、限られた面積で効率よく受光できることを特徴とする。家庭用ビデオカメラやコンパクトデジタルカメラ等、センサーを大きくするのが難しい機種に多く使われてきたセンサー技術だ。この技術を車載用として耐久性を高めて開発されたのがSTARVISで、夜間を撮影する機会が多いドライブレコーダーにとっては、まさに打ってつけのセンサーとなったわけだ。
実は昨年辺りからこのSTARVISをセンサーに採用するドライブレコーダーが相次いでおり、夜間でも鮮明に記録するにはこのセンサーなしには語れない、そんな勢いなのだ。ただ、その映像は全般に輪郭のシャープネスを強めた傾向にあり、「映像」として見るには不自然な印象を受けるのも確かだ。その意味では、映像としての質を求めるというよりも、周囲の状況を鮮明に捉えるドライブレコーダーとしての性格にはマッチしているセンサーとも言えるのだ。
実はテストしたW650の映像も同様の傾向は否めない。映像としての自然さでは従来機の「DRV-630」「DRV-W630」の方が勝っていた。しかし、夜間での撮影能力としての実力差は明らかで、ヘッドライトが当たっていない部分でも鮮明に映し出す。レンズをF値1.8とすることで光学系の明るさも確保し、相対的に白浮きも少なくてノイズもかなり抑えられている。この実力は画質云々を言っている場合じゃない、そんなことを実感させるほどの違いがあるのだ。とはいえ、今後はセンサーを使いこなすことで画質レベルアップを期待したいところではある。
そうした中、650シリーズでは他にも魅力的な機能が数多く搭載されている。その一つが記録する映像のフレームレートを高めることで、映像で発生する被写体ブレを徹底的に抑え込むことに成功している。ドライブレコーダーの映像を見ればすぐにわかるのだが、被写体が手前に近づけば近づくほどレンズで捉えるその相対速度は速くなりブレやすくなる。つまり、本来なら鮮明に映るべき被写体がブレブレで、状況によってはナンバープレートも読み取れないことさえあったのだ。
W650ではフレームレートを55fpsにまで高めたことでこの問題は一気に解決。ギリギリまで近づいた車両のナンバーが鮮明に読み取ることができており、これなら静止画として切り出すにもメリットは大きい。これまでこの機能は一部ドライブレコーダーで採用されていたが、販売台数が多いケンウッドがこれを採用したことにより、STARVISの採用に続くドライブレコーダーの標準スペックとなるかもしれない。ただ、この機能の注意点としては従来の2倍のデータで記録することになり、その分だけメモリー領域を多く使うことは承知しておきたい。
組み合わせたレンズの画角も大きく広がった。水平117度・垂直60度・対角142度の広視野角を実現しており、55fpsの高フレームと合わせ、サイドからの動きも鮮明に捉えられる能力を身につけたのだ。この撮影能力により、本機はケンウッドのドライブレコーダー中、ナンバーワンの位置にあると断言していいと思う。特にW650は無線LANに対応しており、動画をスマートフォンに転送できるといった機能も備える。PCを使わなくても重要なシーンはスマートフォン上に保存できるようになり、SNSでの動画や静止画を共有可能になるメリットは大きい。Wi-Fi機能の分だけベーシックなDRV-650よりも高価となるが、個人的にはW650の方をお勧めしたい。
また、今回の検証で気付いたのは運転支援機能の精度が高くなっていたことだ。これまでの「DRV-630」「DRV-W630」にもこの機能は搭載されていたが、キャリブレーションを指定通り行っても思うような精度は得られず、結果として目安程度にしかならなかった。ところがW650でそれを試してみたところ、特に車線逸脱警告や前方衝突警告の精度がかなり正確に行われるようになっていたのだ。ケンウッドによれば認識アルゴリズムを改善したとのことだが、ようやく運転支援機能として実用領域にまで達することができたと言っていいだろう。
ケンウッドによれば、近年は「2カメラ型」市場が拡大し、ドライブレコーダー全体の半数を超えるようになったという。とはいえ、「1カメラ型」の販売台数そのものは縮小しているものの、平均単価は変わらず15,000円前後で推移しているのも紛れもない事実。ドライブレコーダーの普及初期には単に安いモデルを求めるユーザーも少なからず存在したが、様々なアクシデントが報道される中で、製品に対する信頼性も購入の重要な要素になりつつあることをこのデータは示しているのだ。ケンウッドの650シリーズはそんな高い信頼性に裏付けられて開発されたモデルと言っていいだろう。