【特別企画】撮影データのポテンシャルを最大に引き出す表示環境
最高のクリエイティブ・パートナー!BenQの本格派PCモニター「SW321C」レビュー
写真編集用という面では、Adobe RGB、ハードウェアキャリブレーションへの対応といった基本性能ももちろんだが、それ以上に重要なのが、忠実な色再現性、画面内での明るさや色ムラの排除など、メーカーが独自の解釈で絵を作るのではなく、あくまでもデータを忠実に再現するものでなくてはならない。
また近年は、高精細な4Kへの対応に加え、各種HDR規格をカバーする幅広い輝度再現への対応なども必須条件となりつつある。その全ての要素を高いレベルで満たし、BenQ自らが “プロフェッショナル向け” と謳う自信作が、この「SW321C」である。
現在、筆者が使用しているモニターは、一昔前のCCFLバックライト式LCDモニターだ。もちろん、色域はAdobe RGBをカバーし、ハードウェアキャリブレーションにも対応。ムラ補正回路も入っている製品だ。
しかし残念なことに、30型ながらも解像度はWQXGA(2560×1600)と4K非対応。また、輝度域もHDR表現には対応しておらず、そろそろ限界を感じている。そういった個人的な事情も大いにあり、本機のことは発売以来とても気になっていた。
■USB Type-Cポートを搭載し、PCとの接続はケーブル1本!
お借りしたデモ機は仕事場に設置した。仕事場にはデスクトップPCもあるが、日常的な作業はノートPCがメインとなるため、本機はその外部モニターとして使いたい。本格的なカラーマネジメントモニターといえど、同様の用途で使いたい人は多いだろう。
そんな時に便利なのが、60W給電に対応したUSB Type-Cポートだ。通常、モニターとPCの接続はHDMI接続が一般的だが、本機はUSB Type-Cポートの搭載により、モニターへの映像、音声出力はもちろん、接続してPCへの給電もケーブル1本で実現しており、実に便利。まさに夢のようなシンプルさだ。
また、見逃せないのが、BenQ独自の外付けOSDコントローラー「ホットキーパックG2」だ。これを使えば、モニターの入力切り替えを手元で行うことができる。さらにボタンひとつで表示する色域(カラースペース)を切り替えることも可能だ。
筆者の場合、ウェブ関係の作業が多く、SNSで作品を公開する時など、当然のことながら作業する色域は「sRGB」になる。だが、色にこだわりたい時には「Adobe RGB」での作業が必要となり、そのような場合、ノートPCの液晶画面では色域の関係で作業ができず、外部ディスプレイをつなぐことになる。
しかしそのような場合も、この「ホットキーパックG2」があれば、ボタンを押すだけで、モニターの色域を「sRGBモード」から「Adobe RGBモード」へと、サクッと切り替えることができる。今回はデモ機なので我慢したが、もし私物なら、ボタンに「sRGB」、「Adobe RGB」と書いたステッカーを貼って使いたいところだ。
ほかに画面表示をモノクロ表示に切り替えられる「モノクロモード」も搭載しているので、作品をモノクロで仕上げた時のイメージをつかみやすい。これも本機ならではのメリットといえるだろう。
次ページ箱から出してPCと接続した瞬間から、きっちり忠実な再現