ゲーマーだけが楽しむのはもったいない
XROUNDの“オンリーワン”完全ワイヤレス「AERO Wireless」レビュー。低遅延もサラウンドもこれ一台でOK!
■ほかにはないサラウンド感を低遅延サウンドで実現
それではAERO Wirelessの音質をiPhoneと組み合わせてチェックしていこう。
イヤーピースは、まずは標準のAERO遮音イヤーピースを装着。YOASOBIの「夜に駆ける」から聞いてみると、歌声のメロディをハッキリ聴かせるサウンドバランスだ。特にサビ部分の、声の重なりを意識させるような微細な歌声のニュアンスを届けてくれる。適度に空間に響くようなピアノはダイナミック。思い切り良くズンズンとリズムを刻む重低音とのバランスは、聞き慣れた曲の新しい一面を垣間見せた。Official髭男dism「Pretender」は音の定位がよく、バンドとボーカルのバランスを保つ。重低音も空気感を伴いパワフルに再現する。
イヤーピースをSpinfit可動式コンフォートイヤーピースに変えてみると、音の純度が一気に向上し、サウンドは音楽リスニング志向にシフト。「夜に駆ける」では価格帯を越えたクリアでハキハキとしたボーカルを聴かせるし、ピアノの音色もエレキギターの音もボディのある表現。ベースのメロディもグイグイとしたグルーヴ感で迫りくる。躍動感ある鳴りは、音楽リスニング体験として気持ちいい。「Pretender」では予想以上に音楽空間が作り込まれ、浮かび上がる男性ボーカルと、立体的な定位で移動するエレキギターで、曲の世界をライブに再現するようになる。
ただし、ここまでの音質レビューはあくまでデフォルト状態の話。XROUND LiteTMでは6種類のプリセット設定と、カスタムで7軸のイコライジングが可能だ。
例えば「ボーカル」の設定では歌声のクリアさと浮遊感が出るし、「低音ブースト」ではクラブのようなディープな重低音、「マイルド」では聴き疲れしないトーンに調整可能。また、「XROUND Lite サラウンド」をLevel1、Level2と有効にしていくと、音楽の鳴っている位置がリフトアップされ、サウンドバランスとしても中高域も持ち上がる。こうしたカスタマイズも含めたトータルの音楽体験こそが、AERO Wirelessの魅力だ。
スマホ版のNetflixで『呪術廻戦』を視聴すると、XROUND LiteTMの効果をさらに実感。デフォルトの状態でも台詞のクリアさ、効果音のキレはあるのだが、XROUND LiteTMをオンにすると、特に緊迫感を高めるようなBGMや効果音が、耳元から横の空間にまで一気に拡大。それでいて声のクリアさも保たれるところがよく出来ているし、重低音や爆裂音のパワーの臨場感も増す。映像観賞用途では、XROUND LiteTMは積極的にオンにしたい。
スマホのアクションRPG『原神』のプレイでは、「音楽モード」だとキャラの攻撃モーションに対して効果音の遅れがハッキリ分かったのに対して、低遅延の「ゲーミングモード」では若干の遅れ程度にとどまる。快適なゲームプレイにはオンが必須だろう。またゲームの音響用としてもXROUND LiteTMの出来がとてもよく、BGMの音空間の広がり、環境音の臨場感、バトルの効果音も際立たせてくれる。
■オプションアイテムとの組み合わせで活躍の場が広がる
AERO Wirelessのラインナップとしては、別売オプションとして用意される低遅延Bluetoothトランスミッター「XT01」も重要な存在だ。XT01はUSB type-C(USB-Aへの変換も可能)で接続するBluetoothトランスミッターで、PlayStation 5やNintendo Switch、PCなどとの組み合わせを想定している。XROUND Low LatencyTM技術により、スマホだけでなくこれらのハードとも低遅延接続を実現してくれる。
実際にPS5とXT01をUSB type-C接続してみると、自動的にUSBヘッドセットとして認識。XT01とAERO Wirelessのペアリングさえ済ませておけば、接続するだけでゲーム音声が即座に流れ出すので、思いのほか使い勝手がいい。
PS5で人気FPSの最新作『Call of Duty: Black Ops - Cold War』をプレイしてみると、XROUND LiteTMがとても効果的に働き、イヤホンでゲームプレイをしているとは思えないほどフィールドの広がりが感じられる。臨場感も高まり、ヘリや銃声の移動感も現れる。遅延もFPSのゲームプレイに支障ないレベルに抑えられていることを確認できた。
XROUNDの完全ワイヤレスイヤホン「AERO Wireless」は、ただの完全ワイヤレスイヤホンの域を遥かに越えた要素を多数備えたモデルだ。まず完全ワイヤレスイヤホン単体としての操作性や音質も優秀だし、ゲーミング向けの低遅延、サラウンドは映像鑑賞でも活躍してくれる。そして低遅延Bluetoothトランスミッター「XT01」も買い揃えれば、ゲーム機と接続する活用法まで見えてくる。
すでに十分過ぎるほど魅力的なAERO Wirelessだが、2021年6月にはアプリ更新も予定しており、今後のアップグレードにも期待できる。完全ワイヤレスでここまで出来るとは、ゲーマーだけのものにさせておいてはもったいないと言いたくなるほど高い完成度を誇り、それに加えて発展性も備えたモデルだ。