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【特別企画】最新技術を駆使、ブランドの“鍵”となる2モデル

Astell&Kernのポリシーを鳴らす!最新DAP「A&norma SR25 MKII」&初イヤホン「AK ZERO1」同時レビュー

公開日 2021/11/09 06:30 高橋 敦
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“革新的なハイブリッド構成”で豊かな空間表現を実現!「AK ZERO1」

続いては、Astell&Kern初の完全オリジナルIEM「AK ZERO1」を紹介していこう。5.6mmダイナミックドライバー×1/BAドライバー×2(デュアルタイプ×1)/マイクロ・レクタンギュラー・プラナー・ドライバー×1という、革新的なトリプルハイブリッド構成を採用したイヤーモニターだ。

「AK ZERO1」は、Astell&Kernが初めて単独で開発したハイブリッド型インイヤーモニターとなる

「マイクロ・レクタンギュラー・プラナー・ドライバー」という名前を順に直訳していくと「超小型・長方形・平面・駆動装置」になる。つまり、ハイブリッド構成イヤホンに組み込めるほど、超小型化を実現した平面駆動ドライバーということ。BA型のクリスタルクリアさとダイナミック型の臨場感を併せ持つというドライバー、その活用を前提としたハイブリッド構成こそが、AK ZERO1の核だ。

技術的に特に興味深いのは、その超小型平面駆動ドライバーが金属ケースにパッケージングされている点。平面駆動の強力な磁束を封じ込めて、他のドライバーへの干渉を防ぐと共に、同じパッケージであるBAドライバーの扱い方を流用してマルチドライバー構成に組み込むことを可能にした。一石二鳥、秀逸なアイデアだ。

ダイナミックドライバーにBAドライバー、そして独自開発の小型平面駆動ドライバーを組み合わせたトリプルハイブリッド構成

イヤーモニターとしての基本も当然ながら万全。トリプルハイブリッドのポテンシャルは、ネットワーク設計とドライバー配置の最適化という、マルチドライバー機としての基礎的な作り込みによって引き出されている。

ハウジングは、立体的なカットで “AKらしさ” を表現しつつ、耳に当たる側はベーシックなフォルムで装着感や遮音性を確保。製造においても、ダイナミック型ドライバーは完全自動化によるエラーフリー製造としつつ、組み上げは日本国内でのハンドメイドとするなど、工程ごとのベストが追求されている。

ブランドを象徴する立体カットを取り入れつつ、フィット感を損なわないデザイン

そのようにして完成されたAK ZERO1のサウンドにおいて、まず驚かされたのは空間表現だ。そもそも音場が広い上に、フォーカスが決まってコンパクトに結ばれる音像のおかげで、音と音の間の余白も豊かである。

空間を広く使ったマクロな配置が映えるのはもちろん、「ふたつの音がほぼ重ねられているけど、実は僅かにずらされている」といったような、ミクロな配置の正確な再現も完璧にこなす。その僅かなズレの再現によって、それぞれの音の存在感が立ち、それらが重なったコーラスなどの表現も、より効果的となる。

音離れの良さにも驚かされる。例えばギターで、ピックが弦に触れた瞬間から音が立ち上がるまでの速さと、その音の消え際の収まりの素直さ。音がすっと現れてすっと消える、この見事さは、空間表現においてもリズムの再現においても、このイヤホンのアドバンテージの源だ。

なお、帯域バランスは至ってフラット。ローミッド帯域もボリュームを加えられることなくフラットなままなので、前述の音離れの良さと合わせて、ベースやドラムスなどの低音が、ボワンと膨らんでリズムがもたつくといったことも全くない。

その好ましい帯域バランスが、プレーヤー側で音量をかなり上げ下げしてもおおよそキープされるのも嬉しいポイントだ。平面駆動型も含む各ドライバーのバランスを常に保つ、ネットワーク設計の巧みさが光る。


既存モデルをアップデートした堅実なプレーヤーと、新技術を大きく取り入れた挑戦的なイヤホン。それぞれ対照的な手法で、ブランドポリシーを体現している2製品だ


SR25 MKIIは、ポータブルプレーヤー入門機としての標準的な扱いやすさを堅持した上で、最新機能の追加とさらなる高音質の獲得を実現している。AK ZERO1は、演出を廃したストイックさで音楽の魅力を引き出してくれるイヤーモニターだ。

どちらにも、それぞれのジャンル上でのAstell&Kernのポリシーが示されている。現在、そしてこれからのAstell&Kernを知る上で、鍵となるモデルたちだ。ぜひ一度、そのパフォーマンスを体験してみてほしい。


(企画協力:株式会社アユート)

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