PRマルチBA+静電と1DD、際立つキャラの違いをチェック
無差別級トップクラスの実力!qdc最新IEMのサウンドは「見事」のひと言
qdcは、中国で軍や警察の通信機器の開発を行う企業を親会社とするイヤホンブランド。そこで培った音響技術を土台にカスタムイヤーモニターに参入、中国プロオーディオ市場で大きなシェアを獲得し、その好評を受けてコンシューマー分野にも参入したという経緯を持つ。その出自からか、堅実なイヤモニスタイルのBAドライバー搭載モデルの完成度は特に光る。
一方で、ネットワーク回路切替によるチューニング変更機能をいち早く提案したり、「Dmagic 3D」ではダイナミック型3基という衝撃的なドライバー構成を採用するなど、堅実さとは真逆の挑戦的な姿勢も併せ持っているのだから、その懐は深い。
そんなqdcから登場した最新モデルが、「TIGER」と「Dmagic Solo」だ。前者は静電型ドライバーを搭載する挑戦的ハイエンドの最新作、後者は名前の通りダイナミック型シングル構成のブランドエントリーモデルとなる。それぞれ詳しい仕様とサウンドインプレッションを紹介しよう。
「TIGER」は、そのモデル名と透かし彫り的な手法によるタイガーストライプの採用は、今年が寅年であることに由来するという。日本人としても親しみを持てるところだ。
ドライバーは低域BA×2/中域BA×2/高域BA×2と、超高域に静電型×2という合計8ドライバーを搭載。BAマルチ構成を土台に静電型スーパートゥイーターを上乗せした4wayハイブリッド構成は、同社トップエンドモデル「Anole V14」と同様だ。Anole V14の低域BA4基/中域BA2基/高域BA4基/超高域静電型4基という超大規模構成をより整理したモデルがTIGERとの解釈もできる。
シェルは、前述の透かし彫りタイガーストライプに加えて、チタン材の採用も特徴。地肌を見せてチタンを強調するのではなく、精悍なダークガンメタルに仕上げてあるのも心憎い。そして当然、金属シェルになっても、qdcクオリティのフィット感は健在。おかげでパッシブの遮音性も十分に確保されている。
このほか、付属ケーブルにはプラグ交換機構も採用しており、3.5mmシングルエンド、4.4mm/2.5mmバランス駆動に対応。3.5mmから6.3mmの変換プラグも付属する。
それではサウンドをチェックしていこう。今回はDAPにAstell&Kern「KANN MAX」を組み合わせ、シングルエンドとバランスの両方で試聴した。
まず前提として、TIGERの持つ再生力は、帯域のバランス、音像の存在感と空間の広がりのバランスなど、様々な面でほぼ完璧だ。なので曲との相性の悪さがほとんど出ない。この曲のベースは膨らみすぎとか、この曲だと音像が大きすぎで空間が窮屈に感じるとか、そういうことは起きないわけだ。BAマルチとしての完成度が高い。
そこに加わるのが、静電型スーパートゥイーターによる質感表現や空間のつなぎの素晴らしさ。それがこのモデルに、BAマルチの枠を超えた “イヤホン無差別級トップクラス” の輝きを与えてくれている。
宇多田ヒカル「BADモード」やRobert Glasper Experiment「Human」を聴くと、ベースやドラムスは必要十分のふくよかさで響き、そこからスパッとキレよく収まる。リズムのタイトさが生かされる感触だ。鈴木大介「Over The Rainbow」では、ナイロン弦ギターの音色の弾け方も素直。このあたりは上質なBAマルチ的な音作りの巧さと感じる。
「BADモード」の展開部では、声にかけられるエコーなど楽曲のエレクトリックな成分の表現において、静電型スーパートゥイーターの活躍を強く感じられる。アナログ・エレクトリック的なニュアンスが引き出され、全体にメロウな印象が生まれてくるのだ。その心地よさが、正確な再現性というだけではない、音楽的な魅力をこのモデルに与えてくれている。
星街すいせい「Stellar Stellar」やYOASOBI「祝福」では、その持ち味がさらにわかりやすい。エレクトリックなエッジ感を損なうことなく、スムースでメロウな感触と両立。「Stellar Stellar」の凝りに凝ったドラムスなどの情報量も余さず届けつつ、しかし細かな音を不自然に明確にしすぎることもない。バーチャル空間的な超解像感と現実的なナチュラルさを同時に表現してくれる。ヒラリー・ハーン「バッハ:ヴァイオリン協奏曲」などクラシックのオーケストラ楽曲でも、その表現力が遺憾なく発揮される。
バランス駆動では、空間表現よりも、音像の力感やクッキリ感が大きく向上するように感じる。例えばバスドラムの踏み込み、バランス駆動ではもう一押しの力強さが加わる印象だ。シンセベースや5弦ベースによる超低音域の明瞭度も高められている。
一方で、ネットワーク回路切替によるチューニング変更機能をいち早く提案したり、「Dmagic 3D」ではダイナミック型3基という衝撃的なドライバー構成を採用するなど、堅実さとは真逆の挑戦的な姿勢も併せ持っているのだから、その懐は深い。
そんなqdcから登場した最新モデルが、「TIGER」と「Dmagic Solo」だ。前者は静電型ドライバーを搭載する挑戦的ハイエンドの最新作、後者は名前の通りダイナミック型シングル構成のブランドエントリーモデルとなる。それぞれ詳しい仕様とサウンドインプレッションを紹介しよう。
“寅年” 由来のデザインも特徴。TIGERのサウンドは「無差別級トップクラス」だ
「TIGER」は、そのモデル名と透かし彫り的な手法によるタイガーストライプの採用は、今年が寅年であることに由来するという。日本人としても親しみを持てるところだ。
ドライバーは低域BA×2/中域BA×2/高域BA×2と、超高域に静電型×2という合計8ドライバーを搭載。BAマルチ構成を土台に静電型スーパートゥイーターを上乗せした4wayハイブリッド構成は、同社トップエンドモデル「Anole V14」と同様だ。Anole V14の低域BA4基/中域BA2基/高域BA4基/超高域静電型4基という超大規模構成をより整理したモデルがTIGERとの解釈もできる。
シェルは、前述の透かし彫りタイガーストライプに加えて、チタン材の採用も特徴。地肌を見せてチタンを強調するのではなく、精悍なダークガンメタルに仕上げてあるのも心憎い。そして当然、金属シェルになっても、qdcクオリティのフィット感は健在。おかげでパッシブの遮音性も十分に確保されている。
このほか、付属ケーブルにはプラグ交換機構も採用しており、3.5mmシングルエンド、4.4mm/2.5mmバランス駆動に対応。3.5mmから6.3mmの変換プラグも付属する。
それではサウンドをチェックしていこう。今回はDAPにAstell&Kern「KANN MAX」を組み合わせ、シングルエンドとバランスの両方で試聴した。
まず前提として、TIGERの持つ再生力は、帯域のバランス、音像の存在感と空間の広がりのバランスなど、様々な面でほぼ完璧だ。なので曲との相性の悪さがほとんど出ない。この曲のベースは膨らみすぎとか、この曲だと音像が大きすぎで空間が窮屈に感じるとか、そういうことは起きないわけだ。BAマルチとしての完成度が高い。
そこに加わるのが、静電型スーパートゥイーターによる質感表現や空間のつなぎの素晴らしさ。それがこのモデルに、BAマルチの枠を超えた “イヤホン無差別級トップクラス” の輝きを与えてくれている。
宇多田ヒカル「BADモード」やRobert Glasper Experiment「Human」を聴くと、ベースやドラムスは必要十分のふくよかさで響き、そこからスパッとキレよく収まる。リズムのタイトさが生かされる感触だ。鈴木大介「Over The Rainbow」では、ナイロン弦ギターの音色の弾け方も素直。このあたりは上質なBAマルチ的な音作りの巧さと感じる。
「BADモード」の展開部では、声にかけられるエコーなど楽曲のエレクトリックな成分の表現において、静電型スーパートゥイーターの活躍を強く感じられる。アナログ・エレクトリック的なニュアンスが引き出され、全体にメロウな印象が生まれてくるのだ。その心地よさが、正確な再現性というだけではない、音楽的な魅力をこのモデルに与えてくれている。
星街すいせい「Stellar Stellar」やYOASOBI「祝福」では、その持ち味がさらにわかりやすい。エレクトリックなエッジ感を損なうことなく、スムースでメロウな感触と両立。「Stellar Stellar」の凝りに凝ったドラムスなどの情報量も余さず届けつつ、しかし細かな音を不自然に明確にしすぎることもない。バーチャル空間的な超解像感と現実的なナチュラルさを同時に表現してくれる。ヒラリー・ハーン「バッハ:ヴァイオリン協奏曲」などクラシックのオーケストラ楽曲でも、その表現力が遺憾なく発揮される。
バランス駆動では、空間表現よりも、音像の力感やクッキリ感が大きく向上するように感じる。例えばバスドラムの踏み込み、バランス駆動ではもう一押しの力強さが加わる印象だ。シンセベースや5弦ベースによる超低音域の明瞭度も高められている。
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