【特別企画】どんな音楽ジャンルも余裕で再生
憧れのJBLサウンドをお手元に!話題のアクティブスピーカー「4305P」の実力をチェック
JBLから、“パワーアンプが内蔵された”アクティブ・スピーカー「4305P」が登場した。本機はネットワークプレーヤー機能も搭載しており、スマホを活用して手軽にJBLサウンドが楽しめることが魅力となっている。
今回は、単体での試聴に加えて、高い実力を誇るエソテリックのネットワークDAC&プリアンプ「N-05XD」との組み合わせ試聴も行い、本機の実力を徹底検証した。
伝統のJBLスタジオモニターの外観をそのまま継承しつつ、充実したネットワーク再生機能、デジタルクロスオーバー回路、計300Wの大出力パワーアンプを内蔵した注目機である。
コンプレッションドライバー「2410H-2」とHDIホーン、133mm口径のブラックパルプコーン・ウーファー「JW130P-4」の組み合わせは同社のパッシブ仕様の4309に似た構成だが、本機の方が幅、高さともひとまわりコンパクトで、設置スペースに気を遣わずに済む。
Google ChromecastとAirPlay2のほかBluetoothにも対応するが、今回はイーサネット接続で試聴した。左右スピーカー間もWi-Fiは96kHzまでだが有線接続だと192kHzまでサポートする。リモコンはBluetooth接続。アプリはMusicLifeを推奨する。
ハイレゾのストリーミングサービスで聴くセリア・ネルゴールは音像がアグレッシブに前に出て、にぎやかなリズム楽器とも混濁せず、セパレーションの良さが際立つ。ダイアナ・クラールとトニー・ベネットのデュオは一転してウォームで柔らかい声が魅了し、スイング感もフルに引き出す。ツィンマーマンのスプリングソナタは鋭いアタックやアクセントの力強さが前面に出て、この演奏のエネルギッシュな一面を聴き取ることができた。
アナログ入力はRCAではなくXLR端子を採用。モニタースピーカーらしい仕様だが、ESOTERIC「N-05XD」との接続にはかえって好都合だ。グレードの高いネットワークトランスポートをつないだときの音質の向上ぶりは予想をはるかに超えていた。
セリアのヴォーカルはフォーカスがピタリと揃い、ヴィブラフォンやスティールパンのアタックも鮮やかに決まる。この曲はハイレゾ音源でも聴いているのだが、N-05XDだとロスレスでも音の優位性は明らかだ。ベースは一番低い弦まで芯のある引き締まった低音を引き出し、シンバルのにじみのない音にはコンプレッションドライバーならではの鋭い瞬発力がそなわる。
ベートーヴェンのソナタは、ヴァイオリンの弓の勢いと圧力が生む力強いスフォルツァートを忠実に再現し、ピアノの澄んだ低音に磨きがかかった。
ストリーミングの音質も高水準だが、N-05XDでミュージックサーバーから再生したハイレゾ音源のクオリティ感はさらにその上を行く。
特にアコースティックな録音の周波数レンジとダイナミックレンジの広さは従来のアクティブ・スピーカーのイメージを覆す水準に到達していて、ヴォーカルやヴァイオリンは3次元の立体イメージが目の前にリアルに浮かぶ。この立体的な音像の再現は、微小な空間情報を正確に再現していることの証だ。
DSD11.2MHzで収録されたオーケストラでは、手前の弦楽器群からステージの一番奥に並ぶ打楽器まで遠近感をリアルに再現し、そのまわりにゆったり広がるホールトーンの振る舞いまで目に見えるようだ。
4305Pがソース機器のクオリティと音調を忠実に再現するのは、モニタースピーカー本来の資質である。既存のモデルにネットワークプレーヤーとアンプを内蔵しただけではここまでのパフォーマンスは期待できない。完成度の高いサウンドから、多様なソースを用いて入念なチューニングを行ったことがうかがえる。
入出力インターフェースの充実しており、ケーブルが背面にぶら下がることさえ厭わなければ、それこそパーソナルスタジオ的な用途にも活用できそうだ。
前述のアナログXLR入力は6.3mmフォン端子を兼ねていて、それ以外に3.5mmステレオミニ入力までそなわる。USB-B端子にサーバーやパソコンをつなげばさらに用途が広がるし、サブウーファーをつなぐワイドレンジ化も視野に入る。
JBLのコンパクトなモニターは、ジャズやロックなどポピュラー系ソースで真価を発揮するというのが一般的な認識だと思うが、今回の試聴でも明らかになった通り、どんなジャンルの音源を聴いても帯域バランスが安定し、周波数レンジにも余裕が感じられる。
ソロのヴォーカルから大編成のオーケストラまで守備範囲はかなり広く、立体的な空間表現が求められるピアノや声楽曲など、クラシックの音源を聴いても違和感はない。
Specification
SPEC ●ユニット: 25mmリング・コンプレッションドライバー「2410H-2」&HDIホーン、133mmパルプコーン・ウーファー「JW130P-4」●アンプ出力:300W(LF:125W×2/HF:25W×2)●クロスオーバー周波数:1750Hz●再生周波数特性:45Hz〜25kHz(-6dB)●対応ワイヤレス:AirPlay2、Google Chromecast、Roon Ready、Bluetooth(Version5.1)●サイズ:210W×336H×235Dmm(グリル含む)●質量:6.6kg(プライマリースピーカー)/6.4kg(セカンダリースピーカー)●取り扱い:ハーマンインターナショナル株式会社
(協力:ハーマンインターナショナル株式会社)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.186』からの転載です
今回は、単体での試聴に加えて、高い実力を誇るエソテリックのネットワークDAC&プリアンプ「N-05XD」との組み合わせ試聴も行い、本機の実力を徹底検証した。
演奏のエネルギッシュな一面を引き出す
伝統のJBLスタジオモニターの外観をそのまま継承しつつ、充実したネットワーク再生機能、デジタルクロスオーバー回路、計300Wの大出力パワーアンプを内蔵した注目機である。
コンプレッションドライバー「2410H-2」とHDIホーン、133mm口径のブラックパルプコーン・ウーファー「JW130P-4」の組み合わせは同社のパッシブ仕様の4309に似た構成だが、本機の方が幅、高さともひとまわりコンパクトで、設置スペースに気を遣わずに済む。
Google ChromecastとAirPlay2のほかBluetoothにも対応するが、今回はイーサネット接続で試聴した。左右スピーカー間もWi-Fiは96kHzまでだが有線接続だと192kHzまでサポートする。リモコンはBluetooth接続。アプリはMusicLifeを推奨する。
ハイレゾのストリーミングサービスで聴くセリア・ネルゴールは音像がアグレッシブに前に出て、にぎやかなリズム楽器とも混濁せず、セパレーションの良さが際立つ。ダイアナ・クラールとトニー・ベネットのデュオは一転してウォームで柔らかい声が魅了し、スイング感もフルに引き出す。ツィンマーマンのスプリングソナタは鋭いアタックやアクセントの力強さが前面に出て、この演奏のエネルギッシュな一面を聴き取ることができた。
従来のアクティブ・スピーカーのイメージを覆す水準に到達
アナログ入力はRCAではなくXLR端子を採用。モニタースピーカーらしい仕様だが、ESOTERIC「N-05XD」との接続にはかえって好都合だ。グレードの高いネットワークトランスポートをつないだときの音質の向上ぶりは予想をはるかに超えていた。
セリアのヴォーカルはフォーカスがピタリと揃い、ヴィブラフォンやスティールパンのアタックも鮮やかに決まる。この曲はハイレゾ音源でも聴いているのだが、N-05XDだとロスレスでも音の優位性は明らかだ。ベースは一番低い弦まで芯のある引き締まった低音を引き出し、シンバルのにじみのない音にはコンプレッションドライバーならではの鋭い瞬発力がそなわる。
ベートーヴェンのソナタは、ヴァイオリンの弓の勢いと圧力が生む力強いスフォルツァートを忠実に再現し、ピアノの澄んだ低音に磨きがかかった。
ストリーミングの音質も高水準だが、N-05XDでミュージックサーバーから再生したハイレゾ音源のクオリティ感はさらにその上を行く。
特にアコースティックな録音の周波数レンジとダイナミックレンジの広さは従来のアクティブ・スピーカーのイメージを覆す水準に到達していて、ヴォーカルやヴァイオリンは3次元の立体イメージが目の前にリアルに浮かぶ。この立体的な音像の再現は、微小な空間情報を正確に再現していることの証だ。
DSD11.2MHzで収録されたオーケストラでは、手前の弦楽器群からステージの一番奥に並ぶ打楽器まで遠近感をリアルに再現し、そのまわりにゆったり広がるホールトーンの振る舞いまで目に見えるようだ。
4305Pがソース機器のクオリティと音調を忠実に再現するのは、モニタースピーカー本来の資質である。既存のモデルにネットワークプレーヤーとアンプを内蔵しただけではここまでのパフォーマンスは期待できない。完成度の高いサウンドから、多様なソースを用いて入念なチューニングを行ったことがうかがえる。
どんなジャンルの音源を聴いても帯域バランスが安定
入出力インターフェースの充実しており、ケーブルが背面にぶら下がることさえ厭わなければ、それこそパーソナルスタジオ的な用途にも活用できそうだ。
前述のアナログXLR入力は6.3mmフォン端子を兼ねていて、それ以外に3.5mmステレオミニ入力までそなわる。USB-B端子にサーバーやパソコンをつなげばさらに用途が広がるし、サブウーファーをつなぐワイドレンジ化も視野に入る。
JBLのコンパクトなモニターは、ジャズやロックなどポピュラー系ソースで真価を発揮するというのが一般的な認識だと思うが、今回の試聴でも明らかになった通り、どんなジャンルの音源を聴いても帯域バランスが安定し、周波数レンジにも余裕が感じられる。
ソロのヴォーカルから大編成のオーケストラまで守備範囲はかなり広く、立体的な空間表現が求められるピアノや声楽曲など、クラシックの音源を聴いても違和感はない。
Specification
SPEC ●ユニット: 25mmリング・コンプレッションドライバー「2410H-2」&HDIホーン、133mmパルプコーン・ウーファー「JW130P-4」●アンプ出力:300W(LF:125W×2/HF:25W×2)●クロスオーバー周波数:1750Hz●再生周波数特性:45Hz〜25kHz(-6dB)●対応ワイヤレス:AirPlay2、Google Chromecast、Roon Ready、Bluetooth(Version5.1)●サイズ:210W×336H×235Dmm(グリル含む)●質量:6.6kg(プライマリースピーカー)/6.4kg(セカンダリースピーカー)●取り扱い:ハーマンインターナショナル株式会社
(協力:ハーマンインターナショナル株式会社)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.186』からの転載です