PRプロの領域でも認められるクオリティ
AIRPULSE 本格モニタースピーカー『SM 200』徹底レビュー! オーディオファイルに寄り添うサウンドに迫る
また、部屋の音響特性や設置環境に合わせて音質を最適化するための、SHELFフィルターのノブも搭載。250Hz以下の低域の「LF SHELVING」、4.5kHz以上の高域の「HF SHELVING」を調整でき、どちらも±3dBの調整幅を設けている。スピーカーを壁から近い場所にしか設置できない、また吸音性が高く高域成分が減衰しやすい試聴環境などで、高い効果を発揮する。
さらにハイパス・フィルターの調整も採用している。開始周波数は20〜100Hzから、またスロープカーブを6〜24dBで調整できる。部屋の大きさなども考慮した、より再生環境にマッチしたサウンドに追い込むことができる。
アンプ内蔵だが、185W×319H×318Dmmのサイズで、一般的なブックシェルフ型スピーカーのサイズ感に近く、また同社のハイエンドモデルと比較しても横幅はスリム。質量は8.4kgと重め。マット・ブラックを纏ったキャビネットデザインは、プロっぽく質実剛健な印象を後押しする。
■フラットな帯域バランスと音楽的な楽しさを両立
今回の試聴は、プレーヤーソフト「AUDIRVĀNA STUDIO」をインストールした「MacBook Pro」(チップ:M1 Pro/メモリ:16GB)をトランスポートとして、EARMENから新登場したフルバランス設計のDAC内蔵プリアンプ/ヘッドホンアンプの「ANGEL」をプリアンプとして組み合わせた。ANGELからSM 200への接続には、モガミの線材を使用した4.4mmバランス→XLR(Y分岐)の変換ケーブルを使用した。
SM 200の基本的な音の傾向は、フラットな帯域バランスで、これぞモニタースピーカーといったサウンド。それに加え、リボン・トゥイーターのアドバンテージである色艶のよい高音域が加味されるのが嬉しい。ただフラットでつまらない音ではなく、音楽的な楽しさもあり絶妙のバランスを築いている。
小口径なウーファーとは裏腹に、ローレンジには伸びがあり、迫力も持ち合わせている。また、ボリュームを絞っても低域が痩せず、適切な帯域バランスとサウンドステージを維持してくれる。これは住環境の都合などで、小音量再生がメインのオーディオファイルには嬉しいポイントだ。
グラミー賞も受賞したSam Smith/Kim Petrasの『Unholy』は、イントロのコーラスが左右に広く分解能も高く、サム・スミスのボーカルはセンターにしっかりと表現され、ソースに対して忠実なステレオイメージで聴かせる。
YOASOBI『祝福』は、連続する重低音のベース表現が難しく音がダンゴになりやすい楽曲なのだが、重量感とリアリティを高いレベルで表現できている。ikuraのボーカルの声質にクセがなく、至極真っ当で精密に描き出す。