PRエネルギッシュかつ緻密な音像表現
スピーカー自作派に贈るフォステクスの新たな挑戦。最新トゥイーター「T360FD」の魅力を多角的に検証
自宅の3ウェイでもテスト。エネルギーが高くドラムの立ち上がりは絶品
最後に、後日改めて筆者宅のチャンネルデバイダー&マルチアンプによる3Wayスピーカーシステムに組み込んでの試聴も実施してみた。まず、使いこなし的な部分でいうと、能率が高めであるということを改めて実感する。能率の値自体は4Ωで93.5dBと、一般的なドームトゥイーターなどと大きくは変わらないのだが、先述のように周波数特性自体が全域でフラットなこともあってか、エネルギーが高い印象なのである。よって、ほぼ同じ能率表記のドームトゥイーターよりも数dBゲインを下げて合わせることになった。
また、クロスオーバーの設定としても、仕様にあるように2.5kHz以上(12dB/Oct)が推奨されているので、やや高めのクロスで使ってやる必要があることにも留意したい。それもあって、ウーファーとトゥイーター間を1.4kHz(24dB/Oct)の接続で最適化している筆者宅のシステムにはベストな条件で使用できたとはいえないが、やはり、一般的なドーム型トゥイーターと比較すると、スピード感が高く、なおかつ緻密で明解な音像表現を楽しむことができた。
入力ゲインやこの方式が持つ指向性もあってか、音の広がりや奥行き感、音像のディテール表現は幾分控えめに感じるが、緻密な音像が手前に張り出す存在感は格別で、まさにこれでしか味わえないもの。様々なジャンルを鳴らしてみたが、別格なのがドラムのサウンドだ。シンバルやスネアのアタックが驚くべき瞬発力でパンっと立ち上がるさまは絶品で、実にカッコイイ。これだけでも聴く価値はあると筆者は体感した。また、ブリブリと迫るエレクトリックベースの輪郭感も痛快で、ロックサウンドにマッチするユニットだと拝察した。
以上、フォステクス初となる Folded Diaphragm方式を採用した「T360FD」は、設計者の明瞭な意図をしっかりと感じることができるユニットである。先述の能率感やクロス周波数もあり使いどころは少々吟味する必要があるが、それだけに使いこなしが楽しめるとともに、逆にシンプルにフルレンジユニットに組み合わせてその魅力を発揮させるなどの楽しみ方ができるのではないだろうか。
唯一無二のサウンドが楽しめるフォステクス入魂のユニット「T360FD」を、ぜひともお試しいただきたい。
(提供:フォステクス)