【特別企画】タイムロードの自社ブランド・アーキテクチューラ
一聴して実感、スパコンの内部配線材から生まれたスピーカーケーブルは“ハイスピード”の格が違う
タイムロードのオリジナルブランドであるArchitectura(アーキテクチューラ)より新たなスピーカーケーブルが登場した。その名は「K2」。2019 年に、スーパーコンピューター京(ケイ)の内部配線材からアイデアを得て誕生した「KEI」。その上位モデルにあたる製品である。ケーブルスタビライザー「S-Cast」とともに、その実力を検証しよう。
あのスーパーコンピューター「京」の内部配線材をオーディオに利用したスピーカーケーブルがある。注目ブラント、アーキテクチューラの「KEI」だ。美しい細身の撚り構造、その音質も評価が高い。ここへきて認知度も上がり、オーディオ愛好家に広がりつつある中で待望の新製品が登場した。
「KEI」の上位クラスとなる「K2」である。そこで今回は新製品の「K2」を中心にレポートしつつ、もうひとつのアイテム「S-Cast」という新発想のケーブルスタビライザーもレビューしよう。
アーキテクチューラは、イギリス・コード製品などの輸入代理店を手掛ける(株)タイムロードが立ち上げたオリジナルブランドだ。代表の平野至洋氏に伺うと「様式美」の意味で、リビングオーディオ等にもマッチして手軽に使えるアクセサリーを開発、販売していくそうだ。
まずスピーカーケーブルの「KEI」と「K2」を見比べながら解説したい。基本は極細(0.08mm)の銅線に銀コートしたものを50本撚ったものだ。PVCのコートの中にジュンフロンで固めたケーブルを捩ってプラス/マイナスとする。シンプルなつくりである。
これがエントリーの「KEI」で、一方の「K2」は同じ素材と基本構造のまま物量を倍にした兄貴格だ。見ての通りパラっているのが特徴。ハンダを使わず先端から終端までは全部銀で通しており、途中で他の金属が入って音が引っ張られることもない。メッシュのスリーブと、新規に開発したスプリッターにはカーボンが使われ、高級感がある。
ジュンフロンは潤工社のテフロンだが、理化学研究所と富士通がスーパーコンピューターの「京」を開発する際、潤工社のケーブルのみが彼らの要望をクリアできたそうだ。すごい技術力である。「データを素早く瞬時に送る」という目標で作られているため、スピーカーケーブルとしても世界最高水準だろう。光のように超ハイスピード、超高解像度な音楽伝送が可能かもしれない。
なお、今回開発したバナナプラグも銀メッキ仕様のものだ。特にバナナプラグは差しやすくて抜けにくい高精度な仕上がりで、銀メッキの部分がしっかりとフィット。アンプからスピーカーまで統一した銀コート伝送を実現できる点も大きなメリットとなる。
こんな背景を持つオーディオケーブルは例がない。それがどう音にあらわれるのか。拙宅のスピーカー、Persona Bで試聴してみた。まず従来モデル「KEI」から試聴すると、一聴して高速レスポンスだ。かつ高鮮度で極めて高S/Nだ。次から次に音が見え出すようで、情報量は2〜3倍増な感触である。
ベリリウム振動板(Persona B)の能力を引き出すハイスピード、ハイトランジェントな表現を得意とするケーブルのようで、ちょっと高域が勝るようなイメージもあるが、これが上位モデルの「K2」だとうまくバランスが整う。さらに豊かさやサウンドステージも違う感じだ。
手持ちの極太ケーブルと何度かつけかえてみたが、細さを思わせない。圧倒的に充実したエネルギーの通り方であり、そこに解像度力や透き通るようなトランスペアレンシー(透明さ)が加わるから鬼に金棒といえる。エージングが進むとさらにほぐれ、柔らかな緻密さが生まれてきた。
ベールを何枚も剥いだような高解像度系ケーブルでありながら、少しも刺激やきつさがないのがすばらしい。声や楽器の質感がもう1ランク、2ランク生々しく確かな実在感を生む。ステージのすみずみまでライブの熱量や余韻が届く。この感じはそう味わえるものではない。加えてしっかりとダンピングの効いた低域表現の豊かさ、ジャズベースの深みも上位の風格が感じられると聴いた。ふと気がつくと空間表現がたっぷりとした、さらにハイグレードなサウンドになっていた。
スーパーコンピューターというと最先端デジタルに思えるが、この音はアナログ的な肌合いがあり、実にナチュラルで居心地のよいものだった。価格設定も非常に好ましいと思う。
「K2」や「KEI」ともセットで使用したいのがケーブルスタビライザーの「S-Cast」である。直径4cmの円筒形。本体はスチール、心棒はステンレス製で、600gの重さがある。通常のケーブルスタビライザーはケーブルを載せるだけのものが多いが、これはV字型の切り込みがあり、ケーブルを上下で挟んでダンプをかける方式だ。
そのサジ加減が実に絶妙で、上流のCDプレーヤーの電源ケーブル等に使うと再生音全体が高S/Nになる。溌剌とクオリティアップする印象だ。スピーカーや信号ケーブルもそれぞれに効果が実感できた。音質だけでなく美しく設置できる、まさにアーキテクチューラ的なアイテムである。
KEIもK2も基本は非常にキメが細かくてクリアな音が特徴です。K2の方はこれに加え、情報量と密度感、音の濃淡がくっきりと出てきますね。非常に自然で倍音も本当に気持ち良く出てくるスピーカーケーブルです。スペック重視の音というよりは、音楽的な再現力にスポットを当てているという意図がよく出ていて、ヴォーカルをかけた時の質感表現なども非常に魅力的です。
(提供:タイムロード)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.189』からの転載です
データを素早く瞬時に送る、世界最高水準の素材を投入
あのスーパーコンピューター「京」の内部配線材をオーディオに利用したスピーカーケーブルがある。注目ブラント、アーキテクチューラの「KEI」だ。美しい細身の撚り構造、その音質も評価が高い。ここへきて認知度も上がり、オーディオ愛好家に広がりつつある中で待望の新製品が登場した。
「KEI」の上位クラスとなる「K2」である。そこで今回は新製品の「K2」を中心にレポートしつつ、もうひとつのアイテム「S-Cast」という新発想のケーブルスタビライザーもレビューしよう。
アーキテクチューラは、イギリス・コード製品などの輸入代理店を手掛ける(株)タイムロードが立ち上げたオリジナルブランドだ。代表の平野至洋氏に伺うと「様式美」の意味で、リビングオーディオ等にもマッチして手軽に使えるアクセサリーを開発、販売していくそうだ。
まずスピーカーケーブルの「KEI」と「K2」を見比べながら解説したい。基本は極細(0.08mm)の銅線に銀コートしたものを50本撚ったものだ。PVCのコートの中にジュンフロンで固めたケーブルを捩ってプラス/マイナスとする。シンプルなつくりである。
これがエントリーの「KEI」で、一方の「K2」は同じ素材と基本構造のまま物量を倍にした兄貴格だ。見ての通りパラっているのが特徴。ハンダを使わず先端から終端までは全部銀で通しており、途中で他の金属が入って音が引っ張られることもない。メッシュのスリーブと、新規に開発したスプリッターにはカーボンが使われ、高級感がある。
ジュンフロンは潤工社のテフロンだが、理化学研究所と富士通がスーパーコンピューターの「京」を開発する際、潤工社のケーブルのみが彼らの要望をクリアできたそうだ。すごい技術力である。「データを素早く瞬時に送る」という目標で作られているため、スピーカーケーブルとしても世界最高水準だろう。光のように超ハイスピード、超高解像度な音楽伝送が可能かもしれない。
なお、今回開発したバナナプラグも銀メッキ仕様のものだ。特にバナナプラグは差しやすくて抜けにくい高精度な仕上がりで、銀メッキの部分がしっかりとフィット。アンプからスピーカーまで統一した銀コート伝送を実現できる点も大きなメリットとなる。
Persona Bの能力を引き出すハイスピードな表現。K2ではさらにエネルギーが加わる
こんな背景を持つオーディオケーブルは例がない。それがどう音にあらわれるのか。拙宅のスピーカー、Persona Bで試聴してみた。まず従来モデル「KEI」から試聴すると、一聴して高速レスポンスだ。かつ高鮮度で極めて高S/Nだ。次から次に音が見え出すようで、情報量は2〜3倍増な感触である。
ベリリウム振動板(Persona B)の能力を引き出すハイスピード、ハイトランジェントな表現を得意とするケーブルのようで、ちょっと高域が勝るようなイメージもあるが、これが上位モデルの「K2」だとうまくバランスが整う。さらに豊かさやサウンドステージも違う感じだ。
手持ちの極太ケーブルと何度かつけかえてみたが、細さを思わせない。圧倒的に充実したエネルギーの通り方であり、そこに解像度力や透き通るようなトランスペアレンシー(透明さ)が加わるから鬼に金棒といえる。エージングが進むとさらにほぐれ、柔らかな緻密さが生まれてきた。
ベールを何枚も剥いだような高解像度系ケーブルでありながら、少しも刺激やきつさがないのがすばらしい。声や楽器の質感がもう1ランク、2ランク生々しく確かな実在感を生む。ステージのすみずみまでライブの熱量や余韻が届く。この感じはそう味わえるものではない。加えてしっかりとダンピングの効いた低域表現の豊かさ、ジャズベースの深みも上位の風格が感じられると聴いた。ふと気がつくと空間表現がたっぷりとした、さらにハイグレードなサウンドになっていた。
スーパーコンピューターというと最先端デジタルに思えるが、この音はアナログ的な肌合いがあり、実にナチュラルで居心地のよいものだった。価格設定も非常に好ましいと思う。
「S-Cast」は、再生音全体が高S/Nで溌剌としたサウンドに
「K2」や「KEI」ともセットで使用したいのがケーブルスタビライザーの「S-Cast」である。直径4cmの円筒形。本体はスチール、心棒はステンレス製で、600gの重さがある。通常のケーブルスタビライザーはケーブルを載せるだけのものが多いが、これはV字型の切り込みがあり、ケーブルを上下で挟んでダンプをかける方式だ。
そのサジ加減が実に絶妙で、上流のCDプレーヤーの電源ケーブル等に使うと再生音全体が高S/Nになる。溌剌とクオリティアップする印象だ。スピーカーや信号ケーブルもそれぞれに効果が実感できた。音質だけでなく美しく設置できる、まさにアーキテクチューラ的なアイテムである。
「質感表現も非常に魅力的」オーディオユニオンの松浦氏も推薦
KEIもK2も基本は非常にキメが細かくてクリアな音が特徴です。K2の方はこれに加え、情報量と密度感、音の濃淡がくっきりと出てきますね。非常に自然で倍音も本当に気持ち良く出てくるスピーカーケーブルです。スペック重視の音というよりは、音楽的な再現力にスポットを当てているという意図がよく出ていて、ヴォーカルをかけた時の質感表現なども非常に魅力的です。
(提供:タイムロード)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.189』からの転載です