【特別企画】ケーブルごとにベストな組成で構成
「バイワイヤリング」に適したケーブルとは? ゾノトーンのGransterシリーズで検証!
ケーブル設計がオーディオシステムの再生音に与える影響力を長年研究してきたケーブルの匠、ゾノトーン。例えばスピーカーケーブルでは、シングル接続とバイワイヤ接続の違いでも、繋ぐ機器に応じた最適な設計が突き詰められている。ここでは、主力ラインナップである「Gransterシリーズ」3モデルによるシングルとバイワイヤの聴き比べを実施。ケーブルに込められた微細な設計の違いによる、表現力の差を顕わにしてみよう。
今回のテーマはバイワイヤリングである。ゾノトーンの中核クラスGranster。そのエントリーモデルである2芯構成の「6NSP-Granster 2200α」と、上級の4芯モデル「6NSP-Granster 5500α」と「6NSP-Granster 7700α」の3モデルを活用し、バイワイヤリングでの変化を探ってみようというものである。
6NSP-Granster 2200αは、6NCuやHiFC、PCUHDなど4種ハイブリッドによる2芯タイプ。これに対して、ひとつ上級の6NSP-Granster 5500αは同じ線材の4芯タイプだが、4本の芯線は組成が違うという。つまり2本ずつ素材構成比を変えて、よりバイワイヤに合うように設計されているのだそうだ。
そこで2200α2本によるバイワイヤと5500αとを聴き比べて、その違いを確かめてみることにしたい。
まず2200αシングルの状態だが、これはまさしくコストパフォーマンスの高さを感じさせる鳴り方だ。レンジが広くレスポンスが伸び伸びとして音調がしなやか。ベーシックな存在だが、密度の高い質感に特に基本性能の高さが現れている。
バロックでは弦楽アンサンブルの瑞々しさと独奏オーボエのバランスが非常によく整い、表情が意外なほど色濃く表現に深みがある。ピアノは透明でシャープでありながら、刺々しさや耳障りな粗さの感じられないのが質の高さを証明している。低音部もにじみがない。
室内楽も表面がきれいで艶が良く、楽器同士のアンサンブルやハーモニーがいつも澄んでいるのは、歪みがないからである。オーケストラは空間の透明度が高く、金管楽器に少しもうるさく感じさせるものがない。トゥッティでは堂々とした響きが壮麗に引き出されて瞬発力も十分だ。
2200αを2本でバイワイヤにすると、情報量が増えて余裕が生まれるのが分かる。ただ相対的に高域の音数が減るのか、表情が浅くなる面もあるようだ。
バロックでは独奏オーボエがやや霞んで存在感が薄く、弦楽アンサンブルは緻密さが増してくるが、期待したほどの効果は出てこない。ピアノは中・低域の厚みが加わり、響きの厚い鳴り方になる。表情のスケールが増し、タッチの瞬発力も高まっているのが印象的だ。
室内楽も瞬発的な力感が高まり、密度の高さが際立つ。ただし低音弦の量感が増えるため、ややバランスとしては崩れる傾向もある。オーケストラは彫りが深まり、表情はいっそう濃くなる。エネルギーが倍加することでいい面が出てくるが、さらにバランスを整えたいという印象も残るのである。
そこで5500αによるバイワイヤである。やはりピントがいい。バロックは独奏オーボエがくっきりした存在感を持ち、レスポンスがどこも明瞭でエネルギーにも富み充実感が高い。ピアノは求心力が高く、弱音部でも表情が緻密で説得力が増している。エッジがにじまず特に低域の底の方でも濁りがないため、音楽全体が澄み切ってストレートに感じられる。
室内楽はピントの良さが最大限に発揮されて、目の前に見るような実在感が明確だ。大雑把な粗さが消えて表現に深みとスケールが増している。オーケストラは一音一音の彫りが深く、微小レベルのエネルギーが増したのを感じる。人工的な感覚がなくなって演奏そのものに近づいてゆく印象だ。起伏が大きく聴き応えが強い。
この違いは、バイワイヤということを意識して作られているかどうかという点にある。同じケーブルを2本使えばいいという単純なものでないことは確かで、それはピントの明確さに端的に現れていたように思う。
それではシリーズ最上位の「6NSP-Granster 7700α」はどうだろうか。これもバイワイヤで聴いてみると、なんともグレードの違いを実感させる鳴り方で、バロックの奥行きの出方にもそれがよく示されている。オーボエの表情もずっときめ細かく微小な起伏に富んで多彩だ。弦楽器もそれぞれが独立した存在感を持ち、音楽の綾がずっと多彩なものになる。
ピアノでは表現の起伏が増し、ひっそりした弱音部と強靭なフォルテのコントラストが強い。室内楽はアンサンブルの実体感がますます高まり、距離感も含めて空間的な存在感がたいへんリアルだ。
オーケストラも音数が違う印象で、一音一音の響きの厚みが出てくる。平板なところがまるでなくなって、これが演奏の本当の姿というのが分かるのである。
バイワイヤリングは有用な接続法だが、それに適したケーブルを選ぶことで一層効果が増す。その事実を強く確信したのである。
(提供:前園サウンドラボ)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.185』からの転載です
中核クラスのGransterシリーズ、「2200α」と「5500α」の音質をチェック
今回のテーマはバイワイヤリングである。ゾノトーンの中核クラスGranster。そのエントリーモデルである2芯構成の「6NSP-Granster 2200α」と、上級の4芯モデル「6NSP-Granster 5500α」と「6NSP-Granster 7700α」の3モデルを活用し、バイワイヤリングでの変化を探ってみようというものである。
6NSP-Granster 2200αは、6NCuやHiFC、PCUHDなど4種ハイブリッドによる2芯タイプ。これに対して、ひとつ上級の6NSP-Granster 5500αは同じ線材の4芯タイプだが、4本の芯線は組成が違うという。つまり2本ずつ素材構成比を変えて、よりバイワイヤに合うように設計されているのだそうだ。
そこで2200α2本によるバイワイヤと5500αとを聴き比べて、その違いを確かめてみることにしたい。
まず2200αシングルの状態だが、これはまさしくコストパフォーマンスの高さを感じさせる鳴り方だ。レンジが広くレスポンスが伸び伸びとして音調がしなやか。ベーシックな存在だが、密度の高い質感に特に基本性能の高さが現れている。
バロックでは弦楽アンサンブルの瑞々しさと独奏オーボエのバランスが非常によく整い、表情が意外なほど色濃く表現に深みがある。ピアノは透明でシャープでありながら、刺々しさや耳障りな粗さの感じられないのが質の高さを証明している。低音部もにじみがない。
室内楽も表面がきれいで艶が良く、楽器同士のアンサンブルやハーモニーがいつも澄んでいるのは、歪みがないからである。オーケストラは空間の透明度が高く、金管楽器に少しもうるさく感じさせるものがない。トゥッティでは堂々とした響きが壮麗に引き出されて瞬発力も十分だ。
2200α×2本と、5500α×1本、バイワイヤ接続による聴き比べ
2200αを2本でバイワイヤにすると、情報量が増えて余裕が生まれるのが分かる。ただ相対的に高域の音数が減るのか、表情が浅くなる面もあるようだ。
バロックでは独奏オーボエがやや霞んで存在感が薄く、弦楽アンサンブルは緻密さが増してくるが、期待したほどの効果は出てこない。ピアノは中・低域の厚みが加わり、響きの厚い鳴り方になる。表情のスケールが増し、タッチの瞬発力も高まっているのが印象的だ。
室内楽も瞬発的な力感が高まり、密度の高さが際立つ。ただし低音弦の量感が増えるため、ややバランスとしては崩れる傾向もある。オーケストラは彫りが深まり、表情はいっそう濃くなる。エネルギーが倍加することでいい面が出てくるが、さらにバランスを整えたいという印象も残るのである。
そこで5500αによるバイワイヤである。やはりピントがいい。バロックは独奏オーボエがくっきりした存在感を持ち、レスポンスがどこも明瞭でエネルギーにも富み充実感が高い。ピアノは求心力が高く、弱音部でも表情が緻密で説得力が増している。エッジがにじまず特に低域の底の方でも濁りがないため、音楽全体が澄み切ってストレートに感じられる。
室内楽はピントの良さが最大限に発揮されて、目の前に見るような実在感が明確だ。大雑把な粗さが消えて表現に深みとスケールが増している。オーケストラは一音一音の彫りが深く、微小レベルのエネルギーが増したのを感じる。人工的な感覚がなくなって演奏そのものに近づいてゆく印象だ。起伏が大きく聴き応えが強い。
この違いは、バイワイヤということを意識して作られているかどうかという点にある。同じケーブルを2本使えばいいという単純なものでないことは確かで、それはピントの明確さに端的に現れていたように思う。
最上位モデル「7700α」では音楽の綾がずっと多彩に
それではシリーズ最上位の「6NSP-Granster 7700α」はどうだろうか。これもバイワイヤで聴いてみると、なんともグレードの違いを実感させる鳴り方で、バロックの奥行きの出方にもそれがよく示されている。オーボエの表情もずっときめ細かく微小な起伏に富んで多彩だ。弦楽器もそれぞれが独立した存在感を持ち、音楽の綾がずっと多彩なものになる。
ピアノでは表現の起伏が増し、ひっそりした弱音部と強靭なフォルテのコントラストが強い。室内楽はアンサンブルの実体感がますます高まり、距離感も含めて空間的な存在感がたいへんリアルだ。
オーケストラも音数が違う印象で、一音一音の響きの厚みが出てくる。平板なところがまるでなくなって、これが演奏の本当の姿というのが分かるのである。
バイワイヤリングは有用な接続法だが、それに適したケーブルを選ぶことで一層効果が増す。その事実を強く確信したのである。
(提供:前園サウンドラボ)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.185』からの転載です