【特別企画】オーディオ機器としての理想の特性を追求
空間描写性と解像度が一気に向上。ESOTERIC「G-05」は“05シリーズ”のデジタル再生に不可欠なクロックだ
正確なクロックを生成し、デジタルプレーヤーの性能をさらに引き出すクロックジェネレーター。ESOTERICのクロックラインナップに、新たに「G-05」が加わった。完全自社開発の「Master Sound Discrete Clock」搭載モデルのサウンドを探ってみた。
私は今回、バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータを聴いて唖然とした。いつにも増して一音一音に響きの豊かさが増し、重音や弦をスライディングするような演奏のさまがリアルに空間再現された。
ノルウェーのホフ・アンサンブルのピアノトリオを再生すると、録音場所となった大聖堂の残響や空気感を存分にし、そこにフレッシュな響きのピアノ、ベース、ドラムスが丁々発止しながら、躍動感ある演奏を展開した。それは、まさに高解像度な世界だ。しかも、滑らかで、自然な音の立ち上がりを感じてしまった。
これは、世界的にも好評のESOTERICのSACDプレーヤー「K-05XD」に最新の10MHzマスタークロックジェネレーター「G-05」を接続し、愛聴盤を再生した時の素直な感想だ。空間描写性と解像度が一気に向上するだけではなく、ノイズフロアに埋もれそうな微弱音を浮き上げ、その微弱音が楽器や声の倍音を豊かにしている。
それは、ポートレイト写真で見られる明暗の自然な階調のようで、音の自然な階調を鮮明にし、静寂な旋律を引き立てている。こうした音楽を再現するG-05は、N-05XDやK-05XDを導入するか、導入された方にとっては、不可欠とも言える魅力的なコンポーネントとなるだろう。本機の登場により、同社はパワーアンプS-05とともに、世界でも好評を得ている05シリーズを完結したのだ。
その本機の特徴を紹介しよう。デザインは、フロント上部にスラントカーブをつけ、05シリーズと統一性を図り、幅をプレーヤーのフロントパネルのサイズとした。
構造としては、高精度なアルミ切削板と重厚なスチールを組み合わせた筐体。3点支持のスチール削り出しインシュレーターは、本体の自重でボトムプレート側を下から保持するだけのフリー・マウント方式。しかし筐体全体を強固に締め付けず、トッププレートのねじ止めは音質に影響すると考え、適度に浮かせたセミフローティング構造だ。高精度で安定度の高い10MHzクロックを創出するだけに、筐体構造を重視していることが見てとれる。
その内部技術は、一般的なクロック発振器とは異なる。まず注目されるのは、独自の「エソテリック・マニファクチュール・OCXO・クロック・モジュール」を開発したことだ。具体的には、Grandioso G1Xの技術を応用したG-05専用のMaster Sound Discrete Clockだ。
一般的な温度補償型水晶(OCXO)は、水晶メーカー独自のヒーター使用の恒温槽を搭載するが、同社は、それだけではオーディオ機器としての理想の特性と音質にはならないと考えた。そこで理想のカスタム水晶発振子を選び抜き、その最適な温度を保つディスクリート構成の温度制御回路と制御プログラムを開発した。
水晶発振子は、音色が素直で位相雑音が少なく、発振の余裕度が高い音質的に優れた大型素子、「ESOTERIC SXT-03」を開発した。これを基板に取り付け、その両側にヒーター素子を配置し、断熱材使用のステンレスケースに収容。これにより、ディスクリート・オーブン(恒温槽)を構成。試聴を重ね、筐体に完全に固定しない設置方式も採用。最適な温度は85℃。
しかし、個々の発振子には微妙な固有特性があるため、発振子の個別データシートに従って、最適温度がキープできるように、128ステップの多段階制御ヒーター・プログラムが動作する。一般的な温度下降でオン、温度上昇でオフするオーブンとは違い、温度の微妙な変化を計測し、定温度を維持させているのだ。ここで生成された高純度なクロックは独自のHCLDバッファーアンプ基板に伝送され、4系統BNC出力される(50Ω)。
電源部も実に高品位で、大型EI型トランスと高品位コンデンサーが使用され、発振回路、ヒーター・制御回路、バッファーアンプの干渉を避けるために、3系統個別に電源供給している。
その音は冒頭のとおり。N-05XDやK-05XDに接続すれば、さらに素晴らしいハイエンドプレーヤーになる。ぜひ一度G-05を接続した音を体験してみて欲しい。
(提供:エソテリック)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.190』からの転載です。
自然な階調を鮮明にし、静寂な旋律を引き立てる
私は今回、バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータを聴いて唖然とした。いつにも増して一音一音に響きの豊かさが増し、重音や弦をスライディングするような演奏のさまがリアルに空間再現された。
ノルウェーのホフ・アンサンブルのピアノトリオを再生すると、録音場所となった大聖堂の残響や空気感を存分にし、そこにフレッシュな響きのピアノ、ベース、ドラムスが丁々発止しながら、躍動感ある演奏を展開した。それは、まさに高解像度な世界だ。しかも、滑らかで、自然な音の立ち上がりを感じてしまった。
これは、世界的にも好評のESOTERICのSACDプレーヤー「K-05XD」に最新の10MHzマスタークロックジェネレーター「G-05」を接続し、愛聴盤を再生した時の素直な感想だ。空間描写性と解像度が一気に向上するだけではなく、ノイズフロアに埋もれそうな微弱音を浮き上げ、その微弱音が楽器や声の倍音を豊かにしている。
それは、ポートレイト写真で見られる明暗の自然な階調のようで、音の自然な階調を鮮明にし、静寂な旋律を引き立てている。こうした音楽を再現するG-05は、N-05XDやK-05XDを導入するか、導入された方にとっては、不可欠とも言える魅力的なコンポーネントとなるだろう。本機の登場により、同社はパワーアンプS-05とともに、世界でも好評を得ている05シリーズを完結したのだ。
上級機の技術を応用した独自のモジュールを開発
その本機の特徴を紹介しよう。デザインは、フロント上部にスラントカーブをつけ、05シリーズと統一性を図り、幅をプレーヤーのフロントパネルのサイズとした。
構造としては、高精度なアルミ切削板と重厚なスチールを組み合わせた筐体。3点支持のスチール削り出しインシュレーターは、本体の自重でボトムプレート側を下から保持するだけのフリー・マウント方式。しかし筐体全体を強固に締め付けず、トッププレートのねじ止めは音質に影響すると考え、適度に浮かせたセミフローティング構造だ。高精度で安定度の高い10MHzクロックを創出するだけに、筐体構造を重視していることが見てとれる。
その内部技術は、一般的なクロック発振器とは異なる。まず注目されるのは、独自の「エソテリック・マニファクチュール・OCXO・クロック・モジュール」を開発したことだ。具体的には、Grandioso G1Xの技術を応用したG-05専用のMaster Sound Discrete Clockだ。
一般的な温度補償型水晶(OCXO)は、水晶メーカー独自のヒーター使用の恒温槽を搭載するが、同社は、それだけではオーディオ機器としての理想の特性と音質にはならないと考えた。そこで理想のカスタム水晶発振子を選び抜き、その最適な温度を保つディスクリート構成の温度制御回路と制御プログラムを開発した。
水晶発振子は、音色が素直で位相雑音が少なく、発振の余裕度が高い音質的に優れた大型素子、「ESOTERIC SXT-03」を開発した。これを基板に取り付け、その両側にヒーター素子を配置し、断熱材使用のステンレスケースに収容。これにより、ディスクリート・オーブン(恒温槽)を構成。試聴を重ね、筐体に完全に固定しない設置方式も採用。最適な温度は85℃。
しかし、個々の発振子には微妙な固有特性があるため、発振子の個別データシートに従って、最適温度がキープできるように、128ステップの多段階制御ヒーター・プログラムが動作する。一般的な温度下降でオン、温度上昇でオフするオーブンとは違い、温度の微妙な変化を計測し、定温度を維持させているのだ。ここで生成された高純度なクロックは独自のHCLDバッファーアンプ基板に伝送され、4系統BNC出力される(50Ω)。
電源部も実に高品位で、大型EI型トランスと高品位コンデンサーが使用され、発振回路、ヒーター・制御回路、バッファーアンプの干渉を避けるために、3系統個別に電源供給している。
その音は冒頭のとおり。N-05XDやK-05XDに接続すれば、さらに素晴らしいハイエンドプレーヤーになる。ぜひ一度G-05を接続した音を体験してみて欲しい。
(提供:エソテリック)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.190』からの転載です。