PR「Quintet」「Quartet」をクオリティレビュー
新鋭にして正統派、Kiwi Earsの最新モデルは挑戦に満ちたマニア必聴のイヤホンだ
■聴き心地のよさと煌びやかさを両立
果たして、実際のサウンドはというと、確かに自信に裏付けされたかなりの良質さ、表現力の高さを持ち合わせていた。端的にいえば、とてもオーディオ的な表現、ウェルバランスなサウンドで、煌びやかさと聴き心地のよさが巧みに両立された高域と、フォーカスのよい低域、フラットな帯域バランスなど、さまざまな面で優秀なサウンドに仕立てられていた。おかげで、宇多田ヒカルは演奏がリアル、かつ味のある歌声を楽しめた。
低域のフォーカスがよいため、リズムパートがグルーヴのよい演奏を奏でてくれる。安月名莉子は、複雑な音場をそのまま違和感なく再現、広がり感も定位も素晴らしかった。何より、彼女ならではの声の魅力がしっかりと感じ取れた。特に上田麗奈との相性がぴったりで、彼女ならではの声の多彩さがしっかりと表現され、まるでミュージカルを見ている(聴いている)かのようだった。
とはいえ、抜群の相性だったのがクラシック系だ。オーケストラは音場の広がりをしっかりと再現しつつ、それぞれの楽器のディテールを細かく拾い上げることができた。ピアノも煌びやかな音色が魅力的だった。音に加えて、装着性もよく、上質な筐体デザイン、意外と手頃な価格を踏まえると、なかなかに魅力的な製品だと思う。
■Quartetはパワフルさと質感を備えた低域を追求
続いて、Quartetを紹介しよう。こちら、低域に特殊なダイナミック型、中高域と高域にオリジナルカスタムされたBA型を各1基ずつ搭載したハイブリッド構成のドライバーシステムを持つ製品。なかでも特徴的なのが低域を担当する「アイソバリック・ダブル・ダイナミック・ドライバー・サブウーファー」だ。
こちら、「2つの10mm径チタン振動板ドライバーを採用しそれぞれがデュアル磁気回路によって独立して駆動されている」という話だが、要するに2つのダイナミック型ドライバーを一体化したユニットで、この頃、いくつかのイヤホンブランドで採用されているものと形式は同じだ。とはいえ、ここから先がKiwi Earsらしさが垣間見られるところ。
「スタジオ・モニターのような中音域のニュートラルさや正確な音色と中低域にはほのかな暖かみが感じられる音」をコンセプトに、サウンドチューニングを実践。低域はパワフルであることと同時に質感のよさも追求され、中高域に濁りなどの悪影響を与えないようクロスオーバー数値や組み合わせるBA型を徹底検証したという。結果として、ダイナミック型はパッシブネットワークにより350Hz以下を担当させ、BA型が主に担当する中高域、なかでも350〜10,000Hzに関しては完全にフラットになるようにチューニングしたという。
加えて、Quartetには特定の周波数帯の出力を上下させる物理スイッチが搭載されている。左側のスイッチ1をオフにすると低域と中域を減衰させ、右側のスイッチ2をオフにすると高域を減衰させることができるようだが、こちらを調整することで好みのサウンドに変更することができるとのこと。こちらも活用しつつ、実際のサウンドを聴いてみた。