PRMini-LED+QLED採用のフラグシップ機の実力に迫る
“観る”から映像作品に“入る”感覚に。超大画面チューナーレス4KテレビTCL「98C955」をプロが体感
筆者は、自身の視聴室に4:3相当で120インチ、16:9相当で100インチのスクリーンを常設しているのだが、それが直視型テレビに変わった98C955を前にすると、98インチというサイズは予想以上に大きい。今回、2.4m程の近接距離で視聴してみたが、映像が視野を覆いつくし、そこには観る者への支配力の存在さえ感じられる。
テレビという日常のツールが、非日常への入り口へ変わる瞬間だ。そこで、今回は異世界への没入をテーマに、4K UHD BDによる各コンテンツを視聴してみた。
■細かな色の違いを忠実に再現して世界観を描き抜く
女性監督の手になる『バービー』は、ドールハウスはじめバービーの暮らす世界を、CGを使わずスタジオにセットを組んで再現しており、主調色はピンクで、それが一色ではない。大道具と撮影監督が数十種類のピンクの色見本をスタジオに持ち込みセットを構築したもので、色調を変えた無数のピンクが一つの世界を構成しているが、98C955は色域のロスを抑え、変移のない広色域を実現。ピンクのニュアンスの違いを正確に再現し、「バービー」の世界観を大画面に描きだし、観る者をその中に連れ去ってしまう。
ラストシーンのバービーが生みの親と再会するシーンは、デジタルの演色で背景が白から青、ピンクとさまざまな色を帯びるため、色むらが発生すると映像演出の効果が半減してしまうのだが、本モデルは超大画面ながらユニフォーミティの低下と視野角依存性がほとんどみられず、色むらや色落ち、コントラストの低下が発生してクライマックスの映像演出を損なうことがなかった。映画の感動を大切にする大型映像である。
■正確なローカルディミングでバランスも優れる
異次元をテーマにしたもうひとつが『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』。「映画」モードで視聴すると、穏便な目に優しい画質。本作の主役は異星の光と色彩で、もっと異世界の生々しい現実感が描かれてもいい。「標準」モードからローカルコントラスト等を調整していくとバランスのいい画が出た。
第一作の惑星パンドラの森林から海中へと舞台を変えているのだが、98インチを2.4mの至近距離で観ると身体を染め上げる青の洪水である。ナイトシーンは、Mini-LEDのローカルディミングの動作が的確で、夜闇を背景にしたジェイクの息子とナヴィ族の少女との交流の描写が美しい。
Dolby VisionとDoby Atmosを採用した作品『シン・ウルトラマン』も観てみよう。今回は、ドルビービジョン・ダークに相当する「薄暗い映画」モードで視聴すると、映像への没入感はそのままにバランスの良さが得られる。
音質では、ウルトラマンが画面中央から視聴位置の左後方へ飛び去っていくシーンの移動表現を着実に再現できており、迫力のあるサウンドが映像美と相まって、まるでテレビ単体でホームシアターさながらの画音を実感させてくれる。
■作品を“観る”から作品の世界に“入る”感覚を体感できる
今回の視聴で、確固たる画質を持ち合わせているモデルによる超大画面の映像というのは、作品を “観る” という感覚から、作品の世界に “入る” という体感にまでビルドアップしてくれることを改めて実感させられた。またプロジェクターの画とは違う、ディスプレイというジャンルだからこそ没入できる世界が得られる。98C955は確かに高級モデルなのだが、このクオリティであればコストパフォーマンスの高さすら感じられる。一度体感してみると、もう離れることができない映像の世界が待っていることを約束したい。
[SPEC]
TCL 「98C955」
●デジタルチューナー数:非搭載 ●画素数:3840× 2160 ●対応HDR規格:Dolby Vision、HDR10+、HDR10、HLG ●スピーカー:フルレンジ×1、ウーファー×2、イネーブルドスピーカー×2 ●音声出力:10W+10W+10W+10W+10W+10W+ ●主な入出力端子:HDMI入力×4(eARC対応×1)、光デジタル音声出力×1、RCAアナログ音声×1、ステレオミニ出力×1、USB入力×3 他 ●ネットワーク接続:LAN×1、Wi-Fi(2.4GHz、5GHz) ●主な動画配信サービス:YouTube、Amazon Prime Video、Apple TV+、Disney+、Netflix、U-NEXT 他 ●消費電力:560W(待機時約0.5W) ●外形寸法:2178W×1287H×418Dmm(スタンド含む) ●質量:67.5kg(スタンド含む)
(提供:株式会社TCLジャパンエレクトロニクス)