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シェルリード線の音はサブゼロ処理(EXC)でどう変わる?評論家 福田雅光氏が比較試聴
3種類のシェルリード線を“福田屋”福田雅光氏が比較試聴
KS-Remastaから発売されているシェルリード線「KS-LW9500EVO.II」にサブゼロ処理を施す特別商品がファイルウェブ・ドットショップで受注限定で発売されている。今回はそのEXC処理の変化について試聴した。
筆者試聴室に、デノンのMC型カートリッジ「DL-103」と、3種類のシェルリード線を装着したサンプルが届いた。これは同じカートリッジをオーディオテクニカのシェル「LT-13a」に固定して、シェルリード線を交換した比較試聴用に用意したものだ。そして、最終的にはサブゼロ処理(EXC)を加えたリード線にして効果を調べる、興味深いプログラムとなる。
試聴した順番は以下のとおり。
1) オーディオテクニカのシェル付属ワイヤーに接続したもの
2) シェルリード線をKS-Remasta「KS-LW9500EVO.II」にしたもの
3) サブゼロ(超低温)処理を施した「HST-KS-LW-9500EVO.II(EXC)」を装着したもの
ところで、シェルリード線の「KS-LW9500EVO.II」とはどのような導体なのだろう。これは現在、高級オーディオケーブルで最も多く採用されているPC-Triple C導体に5N純度の銀コートを加え、0.3mm径の導体7本を合わせている。チップ(端子部)はリン青銅に金メッキで処理。これを試聴するのは今回初めてとなるが、おそらく解像度が高くレスポンスに優れたものだろう。
筆者の使う、試聴レコードは1984年発売の優秀録音盤の中から、笠井紀美子『ニュー・パステル』のトラックA-1と、ウィンダム・ヒル・レコードのアンディ・ナレル(Andy Narell)『スローモーション』トラックA-2である。「DL-103」の針圧を2.5gでこれを再生した。
聴き比べを進めるごとに解像度の変化がわかる
1) オーディオテクニカのシェル付属ワイヤー
まず、シェル付属ワイヤーを採用したDL-103は安定したバランスをみせるが、切れ味があまく、中高域の表現力が十分とはいえない印象だ。したがって、中低域の傾向も量感が主体で、ダンピングや分解力はとぼしく感じる。
2) シェルリード線をKS-Remasta「KS-LW9500EVO.II」にしたもの
今度は「KS-LW9500EVO.II」のオリジナルタイプである。これは俄然、解像度を高め大きな変化が出てきた。 オリジナルのシェルリード線より格段に強化される。低音から中間帯域での分解力は高くコントラストがはっきりして、中高音の切れ味がよくなる。低音は締まりを効かせ、量感だけでなく起伏がはっきりしている。
3) サブゼロ(超低温)処理を施した「HST-KS-LW-9500EVO.II(EXC)」
さあ、いよいよ超低温処理を施した「HST-KS-LW-9500EVO.II(EXC)」の出番である。これは、さらに全体の透明感を高める。また、質感が厚くトーンバランスがより整い安定する。低音から高音まで歪感が少なく充実した音質で一定する。濃密さがあり中低域のエネルギー密度を高く、高域はきめ細かくニュアンスが細やかである。
KS-Remastaのオリジナルはアリ。さらにEXC処理は異世界にいざなう
EXC処理はずいぶんと変化するものだ。オーソドックスな音質で安定して、「DL-103」の特徴はこんな感じであるようだ。しかし、これはリード線「KS-LW9500EVO.II」のオリジナルが進化したというより、別のキャラクターに変化して新しい表現力を誕生させた、といった考えが生まれた。
というのも、オリジナルのリード線は高解像度タイプで、この性格は素晴らしい性能であり、好みのひとつである。KS-Remastaのオリジナルは「あり」なのである。しかし、サブゼロによる変化はオリジナルをベースに、異なる世界に変化させる新しいリード線でもある。その後レコードを何枚か聴いていると、やはりこれが「DL-103」らしい音を出しているような感じがする。
(使用プレーヤー、エクスクルーシブP3a)