【特別企画】オーディオ銘機賞2024<銅賞>受賞モデル
“プラスオン”でテレビが高音質に!マランツのHDMI搭載の多機能プレーヤー「CD 50n」とプリメインアンプ「MODEL 50」
マランツの新世代を告げる「30」シリーズ登場以来、テレビとの親和性を高めるHDMI搭載モデルのラインアップが充実している。いずれもアンプに装備されていたが、今回登場した「CD 50n」はネットワーク対応のCDプレーヤーにHDMIの搭載が実現した。また、その多機能なCD 50nにもベストマッチな、プリメインアンプ「MODEL 50」も登場。その2モデルを、オーディオ銘機賞の審査員を務める生形三郎氏がレビューする。
新筐体デザインを順次投入するとともに、ネットワーク再生機能の充実化やハイファイオーディオ・ラインアップへの高度なオーディオビジュアル連携機能投入を進めるマランツから、新たな一手となる50シリーズが登場した。
同シリーズは、HDMI入力搭載のネットワークCDプレーヤー「CD 50n」と、純粋なアナログアンプとしての性能に特化したプリメインアンプ「MODEL 50」のペアで構成。しかしながら両機は、組み合わせての使用は勿論のこと、それぞれを多様なシステムに組み込んでの使用も見据えたコンポーネントとなる。
それだけに、機能だけでなく、普遍性ある高いサウンドクオリティを有しているが、この度の銘機賞銅賞受賞も、そういったオーディオコンポーネントとしての根本的な魅力が評価されてこそのものであると言えるだろう。
まずは両機の概要を見ていこう。ネットワークCDプレーヤー「CD 50n」は、なんといっても単体のプレーヤーコンポーネントとしてHDMI ARCを搭載していることが最大の特徴だ。
これによって、すでにリビングにアンプやスピーカーといったシステムが置いてある場合に、その資産をそのまま活用しつつ、テレビからの音声出力を高音質化することができるのである。これまで同社ではアンプ(レシーバー)にHDMI端子を備えていたが、プレーヤーである本機の登場によって、ハイファイとオーディオビジュアルとのより高度で多彩な連携が可能となる。
搭載技術面では、CD専用メカによるディスク再生を要として、HEOSによるネットワークオーディオ機能を搭載して、HDMI ARCを含む多様なデジタルソースに対応する。
DAC部は、新世代の32bit 2ch DAコンバーターと同社ディスクリートDACにも採用のオリジナルフィルターを組み合わせたものとなっており、フィルターは本機のために改良が施されている。また、新生マランツデザインのトリプルレイヤーシャーシキャビネットや、大型トロイダルコアトランス、専用設計大容量ブロックコンデンサーによる電源回路、そしてマランツ伝統のHDAM回路搭載のボリューム機能を有するなど、上位機となる「SACD 30n」から多くの要素を受け継いでいる。
加えて、先述の改良されたフィルター回路もそうだが、ネットワーク再生にしてもHDMI ARCにしても、同社がこれまで培ってきたノウハウが活かされた最新モデルとなっていることも本機の注目ポイントと言えるであろう。
なお、HDMI入力時には、内蔵ボリュームを用いてテレビとボリューム連動しつつ出力をプリメインアンプのパワーアンプ・ダイレクトインに接続することで、リビングシステムのコアとしての使用が可能となっている。ちなみに、リモートコントロール端子も搭載するので、マランツ機器間での電源連動も可能だ。
プリメインアンプの「MODEL 50」は、ピュアアナログアンプとして設計されたもので、それだけにデジタル入力を持たず、そして、同社がこれまで築き上げたアンプ技術を駆使した純然たるAB級アナログアンプである。
上位機MODEL 40nでも採用のクラス最大級と言えるPM8006との重量比約15%アップのトロイダルコアトランスと専用開発ブロックコンデンサーを搭載するとともに、新たにカッパー・バスバーを搭載して設計を改良。またプリアンプ部もMODEL 40nと同じHDAM-SA3電流帰還型プリアンプと可変ゲイン型ボリューム回路を搭載し、HDAM部も低歪み型へと改良。さらに、瞬間電源供給能力66Aの電流帰還型パラレルプッシュプル・パワーアンプ部はMODEL 40nと同じ構成を採用する。
つまるところ、キャビネットの天板こそ3ピースでなく1ピーストップカバーではあるものの、MODEL 40nからHDMI入力及びネットワーク回路をなくし、電源部やプリアンプ部に改良が加えられた、アンプとしての純度を一層高めたものになっているのである。
なかでも素晴らしいと感じたのはヴォーカル表現である。特にロックやポップス音源では、歌声がフォーカス良く滑らかな質感で、実にプレゼンス高く再現され、聴くものを夢中にさせる力がある。また、オーケストラとコーラスによるミサ曲を聴いてみると、ホールのステージに浮遊する歌声や楽器の姿が実に繊細に描き出され、まるで漆黒の夜空に静かに輝く宝石の数々が散りばめられたかのような、情報量の多い美しい眺望に驚く。
続いて、ネットワーク再生にて、先に試聴したCD音源のハイレゾ版タイトルを試聴してみると、先述のようにネットワーク再生も実に完成度が高い。ハイレゾらしいディテール感や立体感が十全に表出されながらも、決して音楽全体のエネルギーや存在感が薄まったり、音像の線が細くなったりすることがない。
当然といえば本来的には当然なのだが、逆にハイレゾファイル再生のほうが密度の濃さがしっかり再現され、肉付きの良くクリーンなサウンドが描き出され、音源の情報がしっかりと再現されていることがよく分かる。この辺りの、メディアごとの魅力を入念に描き分ける再現の巧みさが、まさに同社ならではと感じる。
ストリーミング再生として試聴したAmazon Musicも同様に、人気プレイリストに挙がっているロッシー音源であっても、同サービスらしい幾分派手やかな質感とともに、旨味やプレゼンスが豊かで没入感の高いサウンドを聴かせてくれることが確認できた。オーディオファイルが唸るようなソースを上質に聴かせるのは当然のこと、こういった一般的なソースを楽しく聴かせてくれるポテンシャルに、やはり本機の完成度の高さを伺い知ることが出来る。
以上、「CD50n」は、ディスク再生、ネットワーク再生ともに安定感のある良質なサウンドを楽しませてくれるとともに、「MODEL 50」は、ピュアなアナログアンプとして、様々なシステムでその十全なポテンシャルを発揮してくれる存在だといえるだろう。両機ともに、リビングは勿論、あらゆるリスニング空間に、至上の喜びをもたらしてくれる素敵なプロダクトである。
(提供:ディーアンドエムホールディングス)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.191』からの転載です
機能だけなく普遍性ある高いサウンドクオリティ
新筐体デザインを順次投入するとともに、ネットワーク再生機能の充実化やハイファイオーディオ・ラインアップへの高度なオーディオビジュアル連携機能投入を進めるマランツから、新たな一手となる50シリーズが登場した。
同シリーズは、HDMI入力搭載のネットワークCDプレーヤー「CD 50n」と、純粋なアナログアンプとしての性能に特化したプリメインアンプ「MODEL 50」のペアで構成。しかしながら両機は、組み合わせての使用は勿論のこと、それぞれを多様なシステムに組み込んでの使用も見据えたコンポーネントとなる。
それだけに、機能だけでなく、普遍性ある高いサウンドクオリティを有しているが、この度の銘機賞銅賞受賞も、そういったオーディオコンポーネントとしての根本的な魅力が評価されてこそのものであると言えるだろう。
テレビからの音声を高音質化したネットワーク搭載のCD 50n
まずは両機の概要を見ていこう。ネットワークCDプレーヤー「CD 50n」は、なんといっても単体のプレーヤーコンポーネントとしてHDMI ARCを搭載していることが最大の特徴だ。
これによって、すでにリビングにアンプやスピーカーといったシステムが置いてある場合に、その資産をそのまま活用しつつ、テレビからの音声出力を高音質化することができるのである。これまで同社ではアンプ(レシーバー)にHDMI端子を備えていたが、プレーヤーである本機の登場によって、ハイファイとオーディオビジュアルとのより高度で多彩な連携が可能となる。
搭載技術面では、CD専用メカによるディスク再生を要として、HEOSによるネットワークオーディオ機能を搭載して、HDMI ARCを含む多様なデジタルソースに対応する。
DAC部は、新世代の32bit 2ch DAコンバーターと同社ディスクリートDACにも採用のオリジナルフィルターを組み合わせたものとなっており、フィルターは本機のために改良が施されている。また、新生マランツデザインのトリプルレイヤーシャーシキャビネットや、大型トロイダルコアトランス、専用設計大容量ブロックコンデンサーによる電源回路、そしてマランツ伝統のHDAM回路搭載のボリューム機能を有するなど、上位機となる「SACD 30n」から多くの要素を受け継いでいる。
加えて、先述の改良されたフィルター回路もそうだが、ネットワーク再生にしてもHDMI ARCにしても、同社がこれまで培ってきたノウハウが活かされた最新モデルとなっていることも本機の注目ポイントと言えるであろう。
なお、HDMI入力時には、内蔵ボリュームを用いてテレビとボリューム連動しつつ出力をプリメインアンプのパワーアンプ・ダイレクトインに接続することで、リビングシステムのコアとしての使用が可能となっている。ちなみに、リモートコントロール端子も搭載するので、マランツ機器間での電源連動も可能だ。
上位モデルに肉薄する実力のAB級アンプMODEL 50
プリメインアンプの「MODEL 50」は、ピュアアナログアンプとして設計されたもので、それだけにデジタル入力を持たず、そして、同社がこれまで築き上げたアンプ技術を駆使した純然たるAB級アナログアンプである。
上位機MODEL 40nでも採用のクラス最大級と言えるPM8006との重量比約15%アップのトロイダルコアトランスと専用開発ブロックコンデンサーを搭載するとともに、新たにカッパー・バスバーを搭載して設計を改良。またプリアンプ部もMODEL 40nと同じHDAM-SA3電流帰還型プリアンプと可変ゲイン型ボリューム回路を搭載し、HDAM部も低歪み型へと改良。さらに、瞬間電源供給能力66Aの電流帰還型パラレルプッシュプル・パワーアンプ部はMODEL 40nと同じ構成を採用する。
つまるところ、キャビネットの天板こそ3ピースでなく1ピーストップカバーではあるものの、MODEL 40nからHDMI入力及びネットワーク回路をなくし、電源部やプリアンプ部に改良が加えられた、アンプとしての純度を一層高めたものになっているのである。
多彩なメディアごとの魅力を入念に描き分ける巧みな再現
なかでも素晴らしいと感じたのはヴォーカル表現である。特にロックやポップス音源では、歌声がフォーカス良く滑らかな質感で、実にプレゼンス高く再現され、聴くものを夢中にさせる力がある。また、オーケストラとコーラスによるミサ曲を聴いてみると、ホールのステージに浮遊する歌声や楽器の姿が実に繊細に描き出され、まるで漆黒の夜空に静かに輝く宝石の数々が散りばめられたかのような、情報量の多い美しい眺望に驚く。
続いて、ネットワーク再生にて、先に試聴したCD音源のハイレゾ版タイトルを試聴してみると、先述のようにネットワーク再生も実に完成度が高い。ハイレゾらしいディテール感や立体感が十全に表出されながらも、決して音楽全体のエネルギーや存在感が薄まったり、音像の線が細くなったりすることがない。
当然といえば本来的には当然なのだが、逆にハイレゾファイル再生のほうが密度の濃さがしっかり再現され、肉付きの良くクリーンなサウンドが描き出され、音源の情報がしっかりと再現されていることがよく分かる。この辺りの、メディアごとの魅力を入念に描き分ける再現の巧みさが、まさに同社ならではと感じる。
ストリーミング再生として試聴したAmazon Musicも同様に、人気プレイリストに挙がっているロッシー音源であっても、同サービスらしい幾分派手やかな質感とともに、旨味やプレゼンスが豊かで没入感の高いサウンドを聴かせてくれることが確認できた。オーディオファイルが唸るようなソースを上質に聴かせるのは当然のこと、こういった一般的なソースを楽しく聴かせてくれるポテンシャルに、やはり本機の完成度の高さを伺い知ることが出来る。
以上、「CD50n」は、ディスク再生、ネットワーク再生ともに安定感のある良質なサウンドを楽しませてくれるとともに、「MODEL 50」は、ピュアなアナログアンプとして、様々なシステムでその十全なポテンシャルを発揮してくれる存在だといえるだろう。両機ともに、リビングは勿論、あらゆるリスニング空間に、至上の喜びをもたらしてくれる素敵なプロダクトである。
(提供:ディーアンドエムホールディングス)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.191』からの転載です