3/26よりクラファン開始
「きのこの山 ワイヤレスイヤホン」の音質は? オーディオ系メディア記者(たけのこ派)が辛口レビュー
明治の人気商品「きのこの山」を模した完全ワイヤレスイヤホンが、3月26日よりMakuakeにて販売される。
元々は架空の商品として、半ばネタ的にXに投稿されたものだったが、大反響を受けてまさかの製品化が決定。それも、“言葉の山を越える”というコンセプトのもと、144言語対応の同時翻訳機能まで搭載する力の入れようだ。
確かに「きのこの山」のフォルムはスティック型完全ワイヤレスに非常に似ているし、何より日本人にとって、とても馴染みの深いお菓子のひとつだ。そういう意味で、本製品に期待していた方も多いだろう。
しかし今の時代、消費者の耳目も肥えており、プロダクトとしての中身が伴っていなければユーザーの心を掴むことはできない。しかも税込29,800円と決して安くはないのだから尚更だ。
我々もオーディオ専門メディアとして、真剣に向き合う必要があると考えた。3月25日に実施された製品発表会で、短時間ながら実機を試すことができたので、忖度のない評価を行いたい。なお、本記事の内容には一切関係のない情報だが、記者はたけのこ派だ。
まずは見た目の部分だが、これは文句のつけようがないほどに完成度が高い。明治も徹底的にこだわったと言っている通り、サイズ感やチョコのボリューム感、チョコとクッキー部のバランス感など、並べてみると見事なまでに再現されていることがわかる。
もっとも、クッキー部の焦げやクッキー素材由来のパウダー感がなかったり、そもそも裏返せばイヤホンの機構が丸出しだったりするため、どこからどう見ても瓜二つ、というわけではないが、おそらくこれは、誤飲防止の目的などもあるのだろう。イヤホンとして安心して使えるラインを見極めつつ、ギリギリまで攻めた絶妙な再現性だ。
装着感も決して悪くはなく、耳の奥までしっかり押し込めばフィットしてくれる。とはいえ、やや圧迫感があるうえ、オーディオビジュアル機器メーカーのイヤホンのように人間工学に基づいて作っているわけではなさそうなので、ベストポジションにハマるまで試行錯誤が必要なのはネックと言える。
その一方で、思っていた以上に装着した姿に違和感はない。変に出っ張ったりすることもなく「私はイヤホンです」といった面持ちで耳の中に収まってくれるので、買ったはいいが恥ずかしくて使えない、ということはなさそうだ。たけのこ派からあえて言うなら、たけのこの里は弾丸のようなスマートなフォルムなので、耳から飛び出しててもマジンガーZのように超クールだったように思うが…。
続いて性能を見ていこう。スペックを見てみると、完全ワイヤレスとしては大口径の部類に入る10mmダイナミックドライバーを搭載していたり、Qualcomm製SoC「QCC3040」を採用してBluetooth Ver.5.3やaptXコーデックに対応していたりと、結構しっかりしている印象だ。何より周波数帯域などオーディオ的なスペックを載せているあたりに本気を感じさせる。
そして肝心の音質は、中域と低域が非常にボリューミーな、どっしりとしたバランス感。あくまで推測だが、同時翻訳機能を搭載するにあたって声を聞こえやすくすることを第一義にしつつ、音楽リスニングでボーカルしか聴こえないような事態にならないよう低域も持ち上げた、という印象を受けた。
なのでボーカルソース、とりわけハスキー系な甘い声の歌手とは相性が良さそうに思う。低域は緩めで曲によってはボワつきを感じさせ、ともすれば高域側をマスクしてしまうきらいがある。ただ、高域は相対的にボリューム薄めながら分離感があり、繊細な上物は埋もれやすいものの、アコギの煌びやかなアタック感などは味わうことができた。
目玉である同時翻訳機能も音声が聞き取りやすく、発話から3-4秒程度で翻訳してくれるので、ちょうど人間の通訳を挟んだ時と同じくらいのテンポ感で会話ができた。残念ながら記者の言語能力では英語でしか検証できなかったものの、他言語でも同じだけの精度の翻訳ができるのであれば、旅行やビジネスにおいてかなり心強い相棒となってくれるのではないだろうか。
◇
音質の好みや相性はあるものの、ワイヤレスイヤホン&翻訳機であることを総合的に考えると、一定以上の実力を備えているように思えた。それだけに残念なのが、「きのこの山」しかラインナップされていないことだ。
人類はきのこ派とたけのこ派に二分される。いくらきのこの山ワイヤレスイヤホンが実用的であっても、たけのこ派は信仰上の問題から使うことを諦めるか、信仰に背いて使うかの二択を強いられることになる。
仮にビデオミーティングで使った日には「あっ、この人はきのこ派なんだな」と思われるだろう。思われるだけならまだいい、先方がたけのこ派だった場合、「この人はきのこ派なんだな。ではこの話は無かったことに…」となりかねない。
新製品発表会で、ゲストとして登壇した森崎ウィン氏(たけのこ派)は「たけのこの里ヘッドホン」を熱望していた。グローバルな企業として、明治さんには是非とも正しい選択をしていただきたい。
元々は架空の商品として、半ばネタ的にXに投稿されたものだったが、大反響を受けてまさかの製品化が決定。それも、“言葉の山を越える”というコンセプトのもと、144言語対応の同時翻訳機能まで搭載する力の入れようだ。
確かに「きのこの山」のフォルムはスティック型完全ワイヤレスに非常に似ているし、何より日本人にとって、とても馴染みの深いお菓子のひとつだ。そういう意味で、本製品に期待していた方も多いだろう。
しかし今の時代、消費者の耳目も肥えており、プロダクトとしての中身が伴っていなければユーザーの心を掴むことはできない。しかも税込29,800円と決して安くはないのだから尚更だ。
我々もオーディオ専門メディアとして、真剣に向き合う必要があると考えた。3月25日に実施された製品発表会で、短時間ながら実機を試すことができたので、忖度のない評価を行いたい。なお、本記事の内容には一切関係のない情報だが、記者はたけのこ派だ。
■見た目の完成度は文句なし。使用感も意外と悪くない
まずは見た目の部分だが、これは文句のつけようがないほどに完成度が高い。明治も徹底的にこだわったと言っている通り、サイズ感やチョコのボリューム感、チョコとクッキー部のバランス感など、並べてみると見事なまでに再現されていることがわかる。
もっとも、クッキー部の焦げやクッキー素材由来のパウダー感がなかったり、そもそも裏返せばイヤホンの機構が丸出しだったりするため、どこからどう見ても瓜二つ、というわけではないが、おそらくこれは、誤飲防止の目的などもあるのだろう。イヤホンとして安心して使えるラインを見極めつつ、ギリギリまで攻めた絶妙な再現性だ。
装着感も決して悪くはなく、耳の奥までしっかり押し込めばフィットしてくれる。とはいえ、やや圧迫感があるうえ、オーディオビジュアル機器メーカーのイヤホンのように人間工学に基づいて作っているわけではなさそうなので、ベストポジションにハマるまで試行錯誤が必要なのはネックと言える。
その一方で、思っていた以上に装着した姿に違和感はない。変に出っ張ったりすることもなく「私はイヤホンです」といった面持ちで耳の中に収まってくれるので、買ったはいいが恥ずかしくて使えない、ということはなさそうだ。たけのこ派からあえて言うなら、たけのこの里は弾丸のようなスマートなフォルムなので、耳から飛び出しててもマジンガーZのように超クールだったように思うが…。
■音質や翻訳機能の使い心地は?
続いて性能を見ていこう。スペックを見てみると、完全ワイヤレスとしては大口径の部類に入る10mmダイナミックドライバーを搭載していたり、Qualcomm製SoC「QCC3040」を採用してBluetooth Ver.5.3やaptXコーデックに対応していたりと、結構しっかりしている印象だ。何より周波数帯域などオーディオ的なスペックを載せているあたりに本気を感じさせる。
そして肝心の音質は、中域と低域が非常にボリューミーな、どっしりとしたバランス感。あくまで推測だが、同時翻訳機能を搭載するにあたって声を聞こえやすくすることを第一義にしつつ、音楽リスニングでボーカルしか聴こえないような事態にならないよう低域も持ち上げた、という印象を受けた。
なのでボーカルソース、とりわけハスキー系な甘い声の歌手とは相性が良さそうに思う。低域は緩めで曲によってはボワつきを感じさせ、ともすれば高域側をマスクしてしまうきらいがある。ただ、高域は相対的にボリューム薄めながら分離感があり、繊細な上物は埋もれやすいものの、アコギの煌びやかなアタック感などは味わうことができた。
目玉である同時翻訳機能も音声が聞き取りやすく、発話から3-4秒程度で翻訳してくれるので、ちょうど人間の通訳を挟んだ時と同じくらいのテンポ感で会話ができた。残念ながら記者の言語能力では英語でしか検証できなかったものの、他言語でも同じだけの精度の翻訳ができるのであれば、旅行やビジネスにおいてかなり心強い相棒となってくれるのではないだろうか。
音質の好みや相性はあるものの、ワイヤレスイヤホン&翻訳機であることを総合的に考えると、一定以上の実力を備えているように思えた。それだけに残念なのが、「きのこの山」しかラインナップされていないことだ。
人類はきのこ派とたけのこ派に二分される。いくらきのこの山ワイヤレスイヤホンが実用的であっても、たけのこ派は信仰上の問題から使うことを諦めるか、信仰に背いて使うかの二択を強いられることになる。
仮にビデオミーティングで使った日には「あっ、この人はきのこ派なんだな」と思われるだろう。思われるだけならまだいい、先方がたけのこ派だった場合、「この人はきのこ派なんだな。ではこの話は無かったことに…」となりかねない。
新製品発表会で、ゲストとして登壇した森崎ウィン氏(たけのこ派)は「たけのこの里ヘッドホン」を熱望していた。グローバルな企業として、明治さんには是非とも正しい選択をしていただきたい。