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PRクラシック3作品で率直にレビュー!

AVIOT「TE-ZX1」はクラシック音楽をどう表現する? 専門家・飯田 有抄さんが聴き込んだ

公開日 2024/08/22 06:30 飯田 有抄
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AVIOTから今年初めに発売された完全ワイヤレスイヤホン「TE-ZX1」。完全ワイヤレスでありながら、平面磁気駆動型・ダイナミック型・バランスドアーマチュアの計3種/5基のドライバーが詰め込まれた、音質重視を謳うフラグシップモデルだ。

これまでAVIOTが展開してきた “Zシリーズ” が誇る、ノイズキャンセリング機能や積層造形による音響技術、金属製ノズルによる安定した装着感や共振の防止力などはしっかりと受け継ぎつつ、「トライブリッド5ドライバー」が生み出すリッチなサウンドが加わった、パワフルな完全ワイヤレスイヤホンになっている。

「TE-ZX1」(49,500円/税込)

そして本モデルは、国内最大級のオーディオビジュアル機器の総合アワード「VGP2024 SUMMER」にて、見事「イヤホン大賞」を受賞をしている。そんな音質重視設計のTE-ZX1であればこそ、「クラシック音楽の再生にも適しているイヤホンではないか?」と、期待が持てる。

そこで今回は、日頃クラシックの楽曲解説や評論を行っている筆者が、実際にTE-ZX1でクラシック音楽を試聴した感想をお届けする。

クラシック音楽ファシリテーターの飯田 有抄さんが、「TE-ZX1」をクラシック音楽で試聴レビュー!

クラシック音楽のイヤホン再生におけるハードルとは?



試聴レビューに入る前に、まずはクラシック音楽の録音再生ならではの特性を、3つほど挙げてみたい。これらは一般的に、イヤホンでの音源再生においては、少々ハードルの高い要素と言えるかもしれないからだ。

1つ目は、ダイナミックレンジの圧倒的な広さである。巨大編成のオーケストラに加え、合唱も加わるような作品では、演奏者だけで1,000人規模となることもある。ただし、1曲の中でも全員で演奏する場面は限られており、ごく少数の楽器が弱音で緊張感あふれるフレーズを奏でる時もある。そうした超弱音から全奏の最強音までのレンジの豊かさも、クラシック音楽の醍醐味だ。

2つ目は、多様な楽器編成である。クラシック音楽とひと口に言っても、ピアノ独奏もあれば、弦楽四重奏、オーケストラもある。古楽器を用いることもあるし、最新のエレクトロニクスを取り入れた作品もある。人数や楽器、それらの用い方は無限に可能性があり、多様なサウンド構成がありうるのだ。

ピアノ独奏からオーケストラまで、多様な楽器編成がクラシック音楽の特徴(Image : Shutterstock/Igor Bulgarin)

3つ目は、音場感だ。上述の大編成はもちろんだが、2メートルを超えるフルコンサートグランドピアノを1人で演奏した録音であっても、音楽専用ホールで収録されることが多く、ホール全体の残響も楽器の一部として表現に生かされている場合が多い。サウンドステージの広がりや縦方向の伸びやかさなども、音楽表現の一部を担う。

以上挙げた3つの特性は正直なところ、耳の中に装着して音楽を再生するイヤホンで再現するには、中々シビアな特性ではある。逆に言うとこれらの面がクリアされているのであれば、クラシックを聴く上でも満足度の高いイヤホンということになるだろう。

耳の中に装着するイヤホンの特性上、クラシック音楽の再生にはいくつかのハードルがある

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