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デザイン・音響設計を刷新

Bowers & Wilkinsの新たな到達点。フラグシップ完全ワイヤレスイヤホン「Pi8」徹底レビュー

公開日 2024/08/29 06:30 野村ケンジ
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■突き詰められた音響設計。様々なジャンルを「B&Wサウンド」で聴かせてくれる



「Pi8」(ダブ・ホワイト)

B&Wといえば、いちばんのこだわりはそのサウンドだろう。BA型+9.2mmダイナミック型のハイブリッドドライバー構成だったPi7 S2に対して、Pi8では12mm口径のリング型平面振動板を採用するダイナミック型ドライバーへと変更。加えて、振動板には同ブランドのフラグシップヘッドホンPx8と同じカーボン素材が採用されている。

そして、Bluetoothチップとは別の独立したDSPとDAC、アンプユニットを搭載。こちらもPi7 S2の構造を踏襲している形だが、更なるブラッシュアップが行われているとのこと。内部構成が非公開のため詳細は分からないが、ドライバー構成が変更されたこともあって、かなり手が加えられているようだ。

それらの結果か、実際にPi8を試聴してみると、同ブランドの既存TWSに対してサウンドが大きく変化していた。もちろん、B&Wらしさは変わらず、ひとことで表すならば「Px8を彷彿とさせてくれる上質かつバランスに秀でた音」といったところだ。

Pi7 S2では良くも悪くもBAドライバーらしさが窺えるキャラクターが感じられ、好みの分かれるポイントとなっていたが、Pi8ではそういった音色的特徴がなく、全帯域で音色の揃った、とてもニュートラルなサウンドキャラクターに纏まっている。しかも、解像感が高く、ディテールがよく見えるので、ホールの音の広がりなどもしっかり伝わり、よりリアルな演奏に感じられる。どんなジャンルの楽曲でもそつなくこなす、いやそれ以上に魅力的な演奏に感じさせる、なかなかの優等生だ。

それでいて、アコースティック楽器などは瑞々しい音色を聴かせてくれるのもPi8ならではの魅力といっていい。たとえばピアノは、跳ねるような軽快な指運びに感じられ、ひとつひとつの鍵打が印象的なサウンドに生まれ変わってくれる。

イヤーフィン状の形状を取るイヤホン本体外縁部。ラバー素材も使用されており、高い装着感を提供する

ヴォーカルの表現もなかなか。宇多田ヒカルを聴くと、ちょっとだけハスキーな普段よりも大人っぽい印象となるが、基本的にはイメージ通りの、のびのびとした歌声を聴かせてくれる。そして、バックバンド演奏とのバランスがよく(突出して目立つ楽器がなく)、曲としての纏まりも絶妙にいい。

いっぽう、Aimerの歌い方は普段よりも僅かに力強く、感情表現がとてもよく伝わってくるし、それでいて声そのものの魅力、艶やかでしなやかな歌声が耳を存分に楽しませてくれる。女性ヴォーカルだけでなく、男性ヴォーカルも良好だ。女性以上にハスキーな、大人っぽいイメージの声色だが、低域の量感がしっかり確保されていることもあってか、落ち着きのある歌声を披露してくれる。



Pi8の素性を総括すると、基本的にはフラットに近い帯域バランスだが、主に屋外で使用されることを想定してか、唯一低域だけは充分な量感を持ち合わせているといったところだろうか。とはいえ、ローエンドまでしっかり伸び、フォーカスも明瞭。派手な脚色をしていないにも関わらず、ライバルの高級TWSに対してB&Wらしさをしっかりアピールできるサウンドにまとめ上げられている。

そして、B&Wのスピーカー、ワイヤレスヘッドホン同様のビルドクオリティも担保。ハイエンド帯に属するTWSながら、4色のカラーバリエーションを用意するといったデザインコンセプトも大きな特徴。この点もワイヤレスヘッドホンPx8同様のアプローチといえる。

既存モデルから形状や、搭載ドライバーの刷新など大幅なアップデートを経たPi8。そのサウンドはB&Wが提案する完全ワイヤレスの「新たな到達点」といって然るべきクオリティに仕上がっている。手に取ってもらえれば、その完成度の高さに納得頂けるだろう。ぜひ一聴していただきたい。


(提供:ディーアンドエムホールディングス)

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