HOME > レビュー > 好きな映像への没入感が圧倒的!大画面・4K有機ELテレビのハイエンド・LG「OLED G4」徹底レビュー

PRスタンダード65型と大画面85型をチェック

好きな映像への没入感が圧倒的!大画面・4K有機ELテレビのハイエンド・LG「OLED G4」徹底レビュー

公開日 2024/09/06 06:30 大橋伸太郎
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
放送番組やBDなどのパッケージメディアから動画配信サービスへと視聴ソースが広がり、スマホやタブレットでVODコンテンツを視聴するスタイルが主流となった現代においても、やはりテレビはホームエンターテイメントの花形である。

なかでも有機ELディスプレイを採用した4Kテレビは、暗部表現や色彩の忠実度と豊かさ、応答性の速さといった画質面においてひと際優れている。そして55型や65型をはじめ、それ以上の大画面サイズの4K有機ELテレビでは、高画質と相まって大画面がもたらす臨場感と没入感を体験することができる。

4K有機ELテレビを市場に打ち出しているブランドとして有機ELディスプレイを進化させ続け、近年では革新的なパネルを開発し、新時代の扉を開いたのがLGエレクトロニクスだ。2024年モデルもさらなる進化を果たし、その最上位に位置するのが “OLED G4シリーズ” である。

本稿では、4K有機ELテレビのリーディングブランドが送り出した、最前線のフラグシップモデルであるOLED G4シリーズのクオリティを徹底的に解明していこう。

4K有機ELテレビのフラグシップモデル「OLED G4シリーズ」のクオリティをチェック

■最新世代「OLED evo」でブランド史上最高輝度を達成


OLED G4シリーズは、4K有機ELテレビとしてスタンダードサイズの55型/65型、そして77型/83型/97型の超大画面サイズを用意しており、サイズラインナップの幅広さはテレビブランド随一だ。

65型「OLED65G4PJB」、テレビスタンドを付属

83型「OLED83G4PJA」、壁掛け設置を想定したスタイルを採用



LGエレクトロニクスは、スマートテレビや8K有機ELテレビ、曲率調整が可能なモデル、4K/120Hzワイヤレスモデルなど、国内に世界初の革新的アイテムを展開してきた。だが、大画面・4K有機ELテレビを国内に初導入し、その魅力を長年ユーザーに届け続けている功績は偉大だ。

液晶テレビと比較して “暗い” と言われ続けていた有機ELパネルの弱点を克服し、オーディオビジュアルファンに感銘を与えた「マイクロレンズアレイパネル」をはじめ、「METAテクノロジー2.0」を採用した最新世代「OLED evo」を投入したことで、同社史上最高輝度を実現したのがOLED G4シリーズだ。

「マイクロレンズアレイパネル」は明るさを逃さずパワーアップする光学素子を搭載しているが、今期はリアルタイムAIプロセッサー「α11 AI Processor 4K」を導入したことによって、より進化した画質解析機能など活用できることで、飛躍的に画質が向上させてことが多き特長で。

最新世代「OLED evo」は、「マイクロレンズアレイパネル」を採用することで高輝度を誇る

■「α11 AI Processor 4K」で画も音も高次元で最適化


先述した通り、デバイスの進化と歩調を合わせ、最新世代のリアルタイムAIプロセッサー「α11 AI Processor 4K」を搭載したことは非常に大きなトピックであり、ディープラーニングアルゴリズムがいっそう強化された。

「AIスーパーアップスケーリング」では、ピクセル単位でより繊細な処理を施す「AI超解像」や人の顔の領域に自然な別処理を行う「ナチュラル表情エンハンサー」を実装。映像の立体感を高める「オブジェクト型リアルタイム映像処理」では注目する対象をAIが判別する処理や、配色理論に基づきながら製作者の意図や感性を組んだ色調整を行う「AIディレクター処理」といった高画質機能が搭載可能となった。

リアルタイムAIプロセッサー「α11 AI Processor 4K」を搭載


「AIスーパーアップスケーリング」では、ブラッシュアップされたAI超解像や表情の自然な処理を実現

「AIディレクター処理」はOLED G4シリーズのみ採用されている

高音質技術に対しても「α11 AI Processor 4K」の恩恵が大きく、11.1.2chサウンドによって豊かな立体音響を叶えるほか、人の声を明瞭化して聞き取りやすくする「AIボイスリマスタリング」、映像ジャンルを判別してサウンドを最適化する「アダプティブサウンドコントロール」といった機能などで効果を発揮し、サウンド面も至れり尽くせりである。

人の声を聴きとりやすくする「AIボイスリマスタリング」もOLED G4シリーズのみに機能

また、ユーザーの好みの画質をAIが判断して、最適な画質設定を行ってくれる「パーソナル・ピクチャー・ウィザード」や視聴環境に合わせて明るさを自動調整する「AI輝度」も備え、制作者の意図通りの原画質をそのまま再現するモード「FILMMAKER MODE」を搭載する点も見逃せない。

ユーザー好みの映像調整を手軽に実現する「パーソナル・ピクチャー・ウィザード」を前モデルから継承

■暗部表現だけでなく暗部階調も正確に描写する


早速、65型「OLED65G4PJB」を視聴してみる。『ローズマリーの赤ちゃん』では、主人公ローズマリーが夜更けに目を覚まし、死産と聞いていた赤ん坊の泣き声に気付いて、クローゼットの奥から隣家に侵入するラストシーンを、映像モードの「シネマ」と「FIMMALER MODE」の両方でチェック。

65型モデルのOLEDG65G4PJBから画質・音質をチェックした



隣家への通路は悪魔が支配する領域へ通じ、その闇は光の死に絶えた暗黒であるはず。有機ELパネルは元来黒の再現性に優れるが、暗部階調が正しく出ないために黒を早めに引き込んで潰す4Kテレビもある。ここでは光の絶えた “暗黒” をローズマリーが独り進んでいく。すると通路の向こうにカギ孔がぽつんと現れ、その光でミア・ファーローの大きく見開かれた瞳と蒼白な表情がくっきりと浮かび上がるのだが、OLED65G4PJBの真暗からの転換は見事である。

本シーンは、よほど条件の良い映画館でないと暗部効果や映像効果が出ないのだが、公開から56年経ってポランスキーの演出と撮影監督の狙いが、OLED G4シリーズによって初めて完全なかたちで表れたわけだ。

映像モードは「シネマ」と「FILMMAKER MODE」の両方で視聴を実施した

■濃密でしたたるような色彩表現に陶然とさせられる


『チャイナタウン』を観てみると、OLED65G4PJBのフィルムの地肌への肉迫ぶりは圧巻で、重厚な階調ときめ細かいフィルムグレイン、濃密でしたたるような色彩表現にしばし陶然とさせられる。

メニューの「機器設定」にある「AIサービス」からAI機能の詳細を設定できる

映画の舞台は1930年代のロサンゼルスだが、室内シーンの主調色は “茶色”。リッチな成熟社会のシックな象徴色であると同時に、荒野の上に建設された人工都市の隠蔽された地肌の色であることを、OLED65G4PJBは持ち前の広色域と正確な色彩再現力で教えてくれる。

もう一つの重要な象徴色が “黒” である。それが一様でなく質感とニュアンスに富み、見る者に情報を伝えてくる。フィルムノワールのアイデンティティー、都会の退廃と悪の象徴、そして黒衣の女として現れるエブリンの喪服の色など、作品の鍵となる表現にすべて “黒” が繋がっている。

視聴環境の明暗に合わせて映像の明るさを自動で最適化する「AI輝度設定」も「AIサービス」の項目に含まれる

特に表現力の高さが必要になるのが、エブリンの喪服。彼女は殺害された夫の喪に服しているのではない。ほかならぬ実父によって奪われ踏みにじられた自身の青春に対して喪に服しているのである。その黒は哀しみ、憎しみ……ひとりの女の中に渦まく多様な感情のカクテルの色である。黒表現に優れるOLED65G4PJBだから表現できる暗部の違いに圧巻だ。


次ページ83型「OLED83G4JPA」の画質もチェック

1 2 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: