PRさらなる上位機「Pi8」とどちらを選ぶ?
すべてが変わったBowers & Wilkinsの完全ワイヤレスイヤホン。ハイエンドモデル「Pi6」の実力をチェック!
「Pi5」「Pi7」から始まり、「Pi5 S2」「Pi7 S2」へのアップデートでその評価を不動のものとしたBowers & Wilkins(B&W)の完全ワイヤレスイヤホン。英国名門ブランドならではのサウンドとファッション性はハイエンド帯においても際立ち、Pi7 S2に至っては競合製品も皆無なほどのプレミアムハイエンド価格でありながら、それでもなお選ばれるアイテムとなっているほどだ。
そのラインナップが遂に全くの新世代へと刷新される。Pi7 S2のポジションを引き継ぐ新たなハイエンド「Pi6」。そしてそのさらに上位のポジションに君臨する最新フラグシップ「Pi8」の登場だ。先立ってワイヤレスヘッドホンの「Px7 S2e」「Px8」によって示された “ハイエンド” と “そのさらに上位のフラグシップ” という構成が、イヤホンにおいても採用される形になる。
ハイエンドとフラグシップで共通の基本設計を採用し、ハイエンドの時点で十分すぎるパフォーマンスを備えていることも、ヘッドホンのラインナップと同様だ。であるから一般的な選択としてはまずPi6から検討すればよいだろう。本稿でもPi6の魅力と実力からお伝えしていく。
最初に一目でわかるのは、イヤホン本体もケースもデザインが完全に刷新されていることだ。Pi5/Pi7は、ブランド初の完全ワイヤレスということもあってか、主張強めなデザインを採用していた。しかし、いまやこのジャンルにおいてもB&Wブランドは定着。わざわざアピールは必要ない。それを受けた次のステップが、オーソドックスなフォルムと細部まで上質な仕上げを組み合わせた、この新デザインなのだろう。
多くの人の耳へのフィットしやすさ、イヤホンのケースへの出し入れのしやすさ、ケース自体のカバンやポケットへの収まりの良さといった、オーソドックスなフォルムならではの長所を得つつ、B&Wらしいシックな雰囲気も醸し出されている。
細かなところでは、イヤーピースを装着するステム部分が細めに変更されたのもポイント。耳に入れるイヤーピースの固い芯となる部分を細くすることで、装着感をよりソフトにしてある。
サウンドに関わる部分ではドライバー構成の変更が大きい。Pi7はダイナミック型とBA型のハイブリッド。対してPi6はダイナミック型シングルだ。ヘッドホンPx7 S2eの技術を継承した大口径12mmバイオセルロース・ドライブユニットによって、ハイブリッド構成に頼る必要なく単体で、広範な周波数帯域での良好な特性を得ることが可能になったおかげだという。
アクティブノイズキャンセリング(ANC)についても、従来通りサウンドに悪影響をおよぼさない範囲で堅実に強化し、現行製品として平均的な性能は確保。例えば屋内リスニングにおいては空調稼働音をしっかり抑え込み、自慢のサウンドを際立たせてくれる。
またPi7 S2はハイブリッド構成に合わせてバイアンプ方式を採用していたが、Pi6ではそれも不要に。そこでの消費電力削減も効いたのか、イヤホン単体での連続再生時間も、Pi7 S2が “ANCオフ” で約5時間だったところ、Pi6は “ANCオン” で約8時間にまで伸びている。
ほかスペックや機能では、aptX Adaptiveはこれまでの48KHz/24bit対応から96kHz/24bit対応へ、アプリは低域と高域のイコライザーが用意されるなど強化が果たされている。
B&W製品のサウンドは、ブランドらしさを表す中立的な再現性や空間描写という大枠の中で、それぞれ異なる個性を持たされている。本機の個性はというと、いかにもハイエンドらしい鋭さや緻密さにはあえて寄せず、やや大柄な音像で描写にも余裕を残し、ウォームさやリラクゼーションも感じさせてくれる音調だ。
ネオソウルシーンの重要ミュージシャン、アイザイア・シャーキーの楽曲「Special Lady」は、おおまかに言えばメロウなR&Bサウンド。こういった楽曲とPi6の個性との相性は抜群だ。ミュートしてモコッとさせた音色によるベースの、フレーズ内の休符、スタッカートの箇所で音をただビシッと止めるのではなく、止めたところからの音の膨らみや余韻も聴かせる絶妙な演奏ニュアンス。Pi6はその膨らみや余韻を少し盛って表現することで、楽曲のグルーヴをより明快に届けてくれる印象だ。
ギターのカッティングも音色を少し柔らかめに整え、フレーズ全体の感触もしなやかに。楽曲全体を、まるで上等なソファに体を預けているかのように、心地よくしっくりとくるサウンドにまとめ上げてくれる。
少ない音数での豊かに表現が特徴的なビリー・アイリッシュの楽曲にも、大柄で存在感のある音像を描き出す本機のサウンドがフィット。「CHIHIRO」では、囁くような歌い方に多く含まれる、吐息成分の温度感や湿度感も本機はたっぷりと感じさせてくれる。ウェットなボーカル表現の楽曲全般との相性も期待できそうだ。
意外性のあるところでは、羊文学「Burning」のような、激しいバンドサウンドとのマッチングも良好だった。ドラムスの大柄な響きの迫力の再現は当然、歪んだギターの荒々しい倍音成分をジューシーに絞り出してくれるのが美味しい。ほぼモノラルに近いほどに中央に寄せられた音像配置の中でそのさらに中心、心の中に響くように頭の中心に浮かび上がるボーカル定位も決まっている。
様々な楽曲を聴いてみると、Pi6のこのサウンド傾向はヘッドホンPx7 S2eのそれに通じるということにも気付かされた。ということはもしかしてPi8の方は……。
そのラインナップが遂に全くの新世代へと刷新される。Pi7 S2のポジションを引き継ぐ新たなハイエンド「Pi6」。そしてそのさらに上位のポジションに君臨する最新フラグシップ「Pi8」の登場だ。先立ってワイヤレスヘッドホンの「Px7 S2e」「Px8」によって示された “ハイエンド” と “そのさらに上位のフラグシップ” という構成が、イヤホンにおいても採用される形になる。
ハイエンドとフラグシップで共通の基本設計を採用し、ハイエンドの時点で十分すぎるパフォーマンスを備えていることも、ヘッドホンのラインナップと同様だ。であるから一般的な選択としてはまずPi6から検討すればよいだろう。本稿でもPi6の魅力と実力からお伝えしていく。
■形状を完全刷新したB&Wの新TWS。ハイエンドモデル「Pi6」の特徴とは
最初に一目でわかるのは、イヤホン本体もケースもデザインが完全に刷新されていることだ。Pi5/Pi7は、ブランド初の完全ワイヤレスということもあってか、主張強めなデザインを採用していた。しかし、いまやこのジャンルにおいてもB&Wブランドは定着。わざわざアピールは必要ない。それを受けた次のステップが、オーソドックスなフォルムと細部まで上質な仕上げを組み合わせた、この新デザインなのだろう。
多くの人の耳へのフィットしやすさ、イヤホンのケースへの出し入れのしやすさ、ケース自体のカバンやポケットへの収まりの良さといった、オーソドックスなフォルムならではの長所を得つつ、B&Wらしいシックな雰囲気も醸し出されている。
細かなところでは、イヤーピースを装着するステム部分が細めに変更されたのもポイント。耳に入れるイヤーピースの固い芯となる部分を細くすることで、装着感をよりソフトにしてある。
サウンドに関わる部分ではドライバー構成の変更が大きい。Pi7はダイナミック型とBA型のハイブリッド。対してPi6はダイナミック型シングルだ。ヘッドホンPx7 S2eの技術を継承した大口径12mmバイオセルロース・ドライブユニットによって、ハイブリッド構成に頼る必要なく単体で、広範な周波数帯域での良好な特性を得ることが可能になったおかげだという。
アクティブノイズキャンセリング(ANC)についても、従来通りサウンドに悪影響をおよぼさない範囲で堅実に強化し、現行製品として平均的な性能は確保。例えば屋内リスニングにおいては空調稼働音をしっかり抑え込み、自慢のサウンドを際立たせてくれる。
またPi7 S2はハイブリッド構成に合わせてバイアンプ方式を採用していたが、Pi6ではそれも不要に。そこでの消費電力削減も効いたのか、イヤホン単体での連続再生時間も、Pi7 S2が “ANCオフ” で約5時間だったところ、Pi6は “ANCオン” で約8時間にまで伸びている。
ほかスペックや機能では、aptX Adaptiveはこれまでの48KHz/24bit対応から96kHz/24bit対応へ、アプリは低域と高域のイコライザーが用意されるなど強化が果たされている。
■Pi6試聴インプレ:存在感ある音像描写に秀でたサウンドを楽しませてくれる
B&W製品のサウンドは、ブランドらしさを表す中立的な再現性や空間描写という大枠の中で、それぞれ異なる個性を持たされている。本機の個性はというと、いかにもハイエンドらしい鋭さや緻密さにはあえて寄せず、やや大柄な音像で描写にも余裕を残し、ウォームさやリラクゼーションも感じさせてくれる音調だ。
ネオソウルシーンの重要ミュージシャン、アイザイア・シャーキーの楽曲「Special Lady」は、おおまかに言えばメロウなR&Bサウンド。こういった楽曲とPi6の個性との相性は抜群だ。ミュートしてモコッとさせた音色によるベースの、フレーズ内の休符、スタッカートの箇所で音をただビシッと止めるのではなく、止めたところからの音の膨らみや余韻も聴かせる絶妙な演奏ニュアンス。Pi6はその膨らみや余韻を少し盛って表現することで、楽曲のグルーヴをより明快に届けてくれる印象だ。
ギターのカッティングも音色を少し柔らかめに整え、フレーズ全体の感触もしなやかに。楽曲全体を、まるで上等なソファに体を預けているかのように、心地よくしっくりとくるサウンドにまとめ上げてくれる。
少ない音数での豊かに表現が特徴的なビリー・アイリッシュの楽曲にも、大柄で存在感のある音像を描き出す本機のサウンドがフィット。「CHIHIRO」では、囁くような歌い方に多く含まれる、吐息成分の温度感や湿度感も本機はたっぷりと感じさせてくれる。ウェットなボーカル表現の楽曲全般との相性も期待できそうだ。
意外性のあるところでは、羊文学「Burning」のような、激しいバンドサウンドとのマッチングも良好だった。ドラムスの大柄な響きの迫力の再現は当然、歪んだギターの荒々しい倍音成分をジューシーに絞り出してくれるのが美味しい。ほぼモノラルに近いほどに中央に寄せられた音像配置の中でそのさらに中心、心の中に響くように頭の中心に浮かび上がるボーカル定位も決まっている。
様々な楽曲を聴いてみると、Pi6のこのサウンド傾向はヘッドホンPx7 S2eのそれに通じるということにも気付かされた。ということはもしかしてPi8の方は……。
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