PR脱ビギナーに推したい、ワンランク上のモデル
オーディオテクニカのプレーヤーで充実のアナログオーディオライフを。「AT-LP8X」の魅力を紐解く
■実体感を伴うレコード再生を実現。ジャンルを選ばないポテンシャルの高さ
この度はプリメインアンプにデノン「PMA-1700NE」、スピーカーとして米ポーク・オーディオのブックシェルフ型2ウェイ機「ReserveR200」を用意した。独自のコーン形状を持つウーファーと、特許取得のユニークなバスレフポートを背面に備えた実力機である。
今回はアンプとスピーカーを個別に用意したが、あるいはオーディオテクニカから発表されたばかりのパワードスピーカー「AT-SP3X」を組み合せてもいいかもしれない。アンプ内蔵なので、別途それを用意する必要がなく、AT-LP8XとAT-SP3Xで完結した省スペース・システムができあがる(但しフォノイコライザーが別途必要)。
AT-LP8Xの本体は、プレーンでシックなブラック一色仕上げ。余計な装飾を廃したスマートな外観ということもあり、見た目からも剛性は高そうだ。実際に触れてみても、ボタン操作によるトーンアームの昇降が実に便利で、これならば扱いに不慣れな人でもおっかなびっくりということはないだろう。プラッターのスタート/ストップも思いのほか早い。クイックだ。
試聴盤には、私がリファレンスとしている4枚をチョイス。まず、メル・トゥーメとジョージ・シアリングのライヴ盤『アン・イブニング・ウィズ・ジョージ・シアリング・アンド・メル・トゥーメ』再生してみると、滑らかで柔らかなトゥーメの声がしっとりとした質感で再現された。その音像定位はくっきりとしており、ピントもシャープ。ピアノの響きは瑞々しく、ヴォーカルにそっと寄り添うかのよう。ライヴ会場の穏やかな雰囲気が再生音から感じ取れた。
フリューゲル・ホーン奏者ショーティー・ロジャースがスモール・コンボを率いた『リ・エントリー』では、ソロとアンサンブルの距離感/立体感がストレートに現われた。ソロ楽器の細やかなニュアンス描写が生々しく、そこにオブリガードをつけていくバックの管楽器群の厚みもいい。リズムセクションが繰り出すビートにもがっちりとした骨格と芯を感じる。
スティーリー・ダンの『Aja』から「PEG」を再生してみると、ドラムスのB.パーディーの叩くビートが克明かつタイト。左チャンネルから聴こえてくる軽快なリズムギターにも実体感がある。もちろんヴォーカルの張り出しと定位の確かさも申し分ない。この辺りには、付属カートリッジAT-VM95Eの中音域のパワフルさが奏効していそうだ。中間部のJ.グレイドンによるギターソロも、ディストーションの具合が実に渋くてカッコいい。
最後に聴いたクラシックは、ショルティ指揮/シカゴ響の「バルトーク:管弦楽のための協奏曲」の第5楽章。冒頭のホルンの勇ましいメロディーがたいへん力強く響く。徐々にクレッシェンドしていくアンサンブルも、重厚感とスケール感が申し分なく、打楽器のパワーにもまったく崩れる素振りはなかった。
一通りの試聴を終え、AT-LP8Xが脱ビギナー派にとって充分なポテンシャルとパフォーマンスを備えていることが確かに実感できた。もちろん本機からアナログを始めてもまったく安全・安心で、操作性も含め、楽しく充実したアナログオーディオライフをスタートすることができることだろう。
(提供:オーディオテクニカ)