オーディオ銘機賞・特別賞受賞 Audio 4 proの高音質DAC「AK4397」の魅力を探る
「AK4397」の音質を探る ESOTERIC「P-05」「D-05」試聴レポート 試聴/文:藤岡誠
極めて高いS/Nと分解能を発揮 D-05は良いDACに巡り合った
デジタルプレーヤーに目新しいDACが採用されていることを知った時、私などは必然的にその特質は何かという興味が湧いてくる。「世界初の採用」「業界の先駆けで使用している」という事になるとなおさらである。 最近でいえばエソテリックのセパレート方式SACD/CDプレイヤー「P-05」+「D-05」のD/Aコンバーター部「D-05」が印象的であった。
「AK4397」を世界初で搭載したESOTERICのDAコンバーター「D-05(¥630,000・税込)
(写真は拡大します)
採用されているDACは旭化成エレクトロニクス社製「AK4397」というPCM/DSD入力対応、32bit処理能力のデバイス。詳細な資料を入手しているが、他社比較された様々な実測データを見れば画期的。浅学なる私としてはそのデータを信じるしかないが、チップの内部レイアウトの写真を見てもあるいはピンレイアウトを見ても、グランド、電源、信号などの各ラインは半導体に詳しくない人にとっても説得力のある、いわばアナログ的思考が成立したデジタルコンセプトの中に組み込まれていて何かホッとさせられるものがある。DACは実はデジタルとアナログが混在するデバイス。アナログ部はやはりアナログフィーリングがなくてはならないと思っているが、AK4397は極めて高度かつ最先端のデジタル処理部とアナログ感覚のアナログ処理部が巧みに融合されており、感心させられるばかりである。コストはいささか高いようだが、こだわりのオーディオの世界ではどうという事はない。おそらく今後、エソテリックのみならず各社の高級機に使われていくのではないかと想像している。
デジタルプレーヤーの音質、音調はDACチップだけで決定づけられるわけはなく、使いこなしも重要だが、「P-05」「D-05」を試聴しCD、SACD(DSD)を聴く限りでは極めて高SN比で高分解能。信号になまりがなく、とてもスルーな印象がある。特にSN比が高いこともあってDレンジの広さも一流。その上でなめらかさがあってステージイメージも良好。
弊社オーディオ試聴室にて「P-05」「D-05」の組み合わせで試聴を行った(写真は拡大します)

ちなみにCD再生における-60dBでのDH変換精度やSN比は文句なし。-80dBも同等である。そして44.1kHz、88.2kHzのデュアル時も繊細かつなめらか。分解能も高度。むろん、DSD(SACD)再生においては音響空間は開放感に満ち、ワイドバンドであることはいうまでもない。繰り返すが、CD、SACD共にSN感は最高水準。ピュアオーディオ用としては高価だが効果対価格比は高い製品である。D-05はいいDACと巡り合ったと思う。
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