もっとも顕著な効果を発揮 − 全体の定位感がさらに向上
部屋のコーナーについても、音質に大きな影響を及ぼすことはわかっていましたが、オーディオルームに関する雑誌の記事などを読みますと「吸音しなさい」と書いてあります。そこで部屋のコーナーに関しては、吸音材をさんざんテストしたのですが、いずれも奥行きや広がりが狭まって、音がセンターにかたまってしまうのです。それが嫌なので外すのですが、そうすると定在波がたまってしまいます。
そこで一次反射面で効果を発揮したアンクをコーナーに使ったら、必ずプラスの効果があるはずだと思いました。実際に図面を描いてコーナー専用を作ってもらい、設置してみたら非常に当たりました。前後左右がスーッと広がり、かといってセンターが薄くなるわけではありません。全体の定位感もさらに良くなり、びっくりするほどの効果を発揮しました。このコーナー専用アンクは特に効果があるので、ぜひとも皆さんに試していただきたい製品です。
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部屋の前方両隅にコーナー型ANKHも導入。コーナーの適切な拡散による音響効果は予想以上に大きいことを実感 |
アンクは部屋の前後や一次反射面、コーナー等に適材適所で設置することをお薦めします。
今後は、後面のコーナーにもAGSまたはアンクを設置したいですね。ここまで対策したら、部屋の全面にAGSを配置している日東紡音響さんの千葉の試聴ルームほど完璧ではないにしても、事実上、十分なルームチューニング効果が得られるのではと思います。
現状のリスニングポイントにおける伝送周波数特性データでも、50Hz〜5kHzまでほぼフラットに近づいてきました。「部屋の特性はフラットがいいとは限らない」と言う方もいるようですが、ぜひとも一度フラットな状態の部屋で音楽を聴いていただきたいと思います。
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惣野邸での最新の測定データ(現状のリスニングポイントにおける伝送周波数特性)。50Hz〜5kHzまでほぼフラットに近づいた様子がうかがえる |
オーディオの雑誌によっては部屋のチューニングは何もしないのがいちばんいいと言っている評論家がいますが、それは全くの嘘だと思います。日東紡音響さんのようにしっかりしたコンサルティングをしているメーカさんにお願いした上でルームチューニングをすれば、普通の部屋よりはずっと良くなることは断言できます。特にミュージックラバーの方にはぜひともお薦めしたいですね。 |