BD-HDW700/70の大きな特徴として、AQUOSブルーレイ初のBlu-ray 3D再生が挙げられるが、それにあわせてユニークな機能が搭載された。本体内蔵のヘッドホン端子で、バーチャルサラウンド機能が利用できるのだ。

 
レコーダーと同時に、シャープブランドのヘッドホン2機種が発売された。左はオープン型の「VR-HSA100」、右は密閉型の「VR-HSB10」

ヘッドホンのバーチャルサラウンド化には、立体効果に定評のあるドルビーヘッドホン技術が搭載されている。映像の3D化に呼応し、「音の3D化」を図ったユニークな機能で、スピーカーから大きな音を出しにくい深夜でも、本体にヘッドホンを接続するだけという手軽さで、サラウンドサウンドが楽しめるのは嬉しい。またヘッドホン出力は、ドルビーヘッドホン効果をオフにする事も可能となっている。

今回は、BD-HDW700/70と同時にシャープからリリースされ、両機に音質を最適化したステレオヘッドホン「VR-HSA100」を試聴する機会を得た。

「VR-HSA100」の音質や装着感をチェック。3D映像とヘッドホンでのバーチャルサラウンド再生の相性は良い、と鴻池氏も高く評価

まず装着感が良い。長時間の映画視聴では、本体の軽さや装着時の快適さが求められるが、頭頂部のヘッドバンドがヘッドホンを支える構造で、イヤーパッドの圧迫感も少なく、映像と音に集中する事ができた。

また音質についても、軽量ながら豊かな低音が印象的で、3D映像の中に広がる空間の広さを、空気感で表現できる能力がある。

さらにケーブルは6mと、大画面に必要な視聴距離に対し、充分な長さが用意されている。3D映像にバーチャルヘッドホンの組み合わせは実用性が高く、Blu-ray 3D再生対応機のスタンダードになるかもしれない。

 

BD-HDW700/70には、フラグシップモデルにふさわしい数々の高画質、高音質を実現する機能や配慮が盛り込まれている。

HDMI出力端子は、メインとサブの2系統が設けられ、メインは一般的なテレビへの接続を目的として、映像と音声が出力される。一方、サブはAVアンプなどへの接続を想定して、音声出力のみに限定されている。周波数の高い映像信号を一切カットし、音声信号のみに徹する事で、よりピュアな音質を望むハイエンドユーザーに応える仕様となっている。

 

もちろん、AV品質の向上は、機能面だけでなく、細部のパーツにも配慮が行き届いている。オーディオ回路と電源回路には、オーディオグレードの電解コンデンサーを使用。映像や音声の入出力端子は全て金メッキ仕様となっている。他にも、接点を金メッキ処理したHDMIケーブルが付属するなど抜かりがない。

シャーシ構造やインシュレーターなど、クオリティを高めるディテールをチェック

面白い所では、アース付三極電源コードが挙げられる。高度にデジタル化したAV機器では、内部で発生する電気的なノイズが映像や音声に与える悪影響が少なくなく、そのノイズを逃がすのは有効な手立てだ。アース付三極電源コードを利用すれば、より確実にノイズを逃がす事ができ、画質や音質の向上に寄与する。また、ケーブルは脱着可能なので、こだわりに応じて、好みの電源ケーブルと交換するのも面白いだろう。

さらに、AV品質へのこだわりは、外装にも及んでいる。キャビネットは、制震鋼板を使用し、不要な振動な鳴りを抑えている。その効果は実際の画質や音質で確認して欲しいが、もし店頭で本機を見かけたら、天板を叩いてみて欲しい。一瞬で一般的な製品との差に気が付くはずだ。

そして、BD-HDW700とBD-HDW70の、HDD容量以外のもう一つの違いが、本体を支えるインシュレーターの有無である。このインシュレーターには、画質や音質を向上させるねらいはもちろん、デザイン面での差別化といった意味合いもあるだろう。ハイエンド機器と組み合わせるならBD-HDW700がマッチするはずだ。

デジタル機器でありながら、アナログ的手法がふんだんに盛り込まれ、アナログ音声出力、アナログ映像出力のクオリティアップにまで配慮されているのが非常に印象的だった。フラッグシップモデルにふさわしいこだわりと言えるだろう。