今回の試聴はすべてマランツの試聴室で行なった。試聴したのは最も低価格の805 Diamondから最高級機の800 Diamondまでの4機種である。803 Diamondを除いたのは、シリーズ中最も背が高く、日本の家屋事情を考えると適合が難しいと考えたからだ。
前後左右に十分な距離を確保したこの試聴室は理想的に近い音場での再現能力を聴くためには絶好の空間だ。使用した機器はいずれもマランツのハイエンドモデル。SACDプレーヤーはSA-7S1、プリアンプはSC-9S2、パワーアンプはMA-9S2(2基)である。
使用したディスクは下記のものだが、最近の試聴で常時使用しているものだ。
(1) チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲 第2・第3楽章 ヒラリー・ハーン〔ヴァイオリン〕
ワシーリ・ペトレンコ指揮ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽(ユニヴァーサルLCCG1500)
(2) ベートーヴェン/ピアノソナタ『テンペスト』アンドレア・シフ〔ピアノ〕輸入盤(ECM1945/46)
(3) サン=サーンス/交響曲第3番『オルガン』第一楽章パート2。小林研一郎指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(キャニオンクラシックスPCCL60002)
(4) ドヴォルザーク/交響曲第9番『新世界より』第一楽章 ケント・ナガノ指揮ベルリンドイツ交響楽団(エイベックスAVCL25442)
(5) 『エディタ・グルベローヴァ記念コンサート』よりサンサーンス作曲パリサティスよりのヴォーカリーゼ「ナイチンゲールとバラ」(ナイチンゲールNC090560)
(1)では通常のヴァイオリンと弱音器を付けた時の音色差と演奏細部の表現がどこまで緻密に表出されるか、(2)ではピアノのフォルテシモ、Dレンジの広さがどこまで再現できるか、残響の多い音場の雰囲気がどこまで再生できるかをチェックした。
また(3)ではパイプオルガンの響きでローエンドのエネルギーがどこまで表出できるか、弦のハーモニーの美しさがどこまで表現できるかを聴いた。
さらに(4)では低音から高音までのエネルギーバランスが整っているかどうか、オーケストラの全奏時の力感がどこまで表出できるかを聴いている。(5)ではグルベローヴァのソプラノの歌唱がどこまで歪みなくクリアに響くか、ハイエンドへの伸びがどこまで出ているかを聴いている。 |