B&Wの高度な音楽再生をリビングルームでハイセンスに楽しむスピーカー“XTシリーズ”が、アルミボディをリファインして帰ってきた。旧XTはアルミポリッシュだったため品質管理が難しかったが、ヘアラインに変えて生産安定を達成したのである。それだけでなく、XT8は使用ユニットと構成が大幅に見直されている。XT8の変更点とシリーズ全体のコンセプトについては前回の記事をお読み頂くことにして、今回の主役はコンパクトブックシェルフのXT2とセンタースピーカーのXTCである。
XT2は、ノーティラスチューブローデッド・アルミドーム・トゥイーターと13cm口径のウォーブン・ケブラーコーン/ミッドウーファーで構成したコンパクトなブックシェルフスピーカーである。使用ユニットは旧モデルから変更はない。バスレフ形式のエンクロージャーはブラッシュドアルミを折り曲げ加工したもので、800シリーズ同様の馬蹄形断面を持つ(バッフルはABS樹脂系素材を使用)。
幅は154mm、奥行きは200mmで、フロア型のXT8と全く同じ。この形状が強度と音の出方の美しさを狙ったことは言うまでもない。MDFなどの木を使ったら同じ強度を得るためにずっと厚くしなければならないが、アルミボディは薄くても強度が確保できる。“オーディオのためのオーディオ”、“高音質のための高音質”を目指すのでなく、リビングルームをB&Wグレードの音楽再生で満たすことを考えた場合、アルミ素材と馬蹄形形状の融合が必須だったのである。
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XT8を上から見たところ。XT2もアルミ素材を用いた馬蹄形形状のエンクロージャーを採用している |
新XTシリーズのスリムなエンクロージャーには二つの目的がある。一つは環境に溶け込み、佇まいに威圧感がないこと。もう一つはバッフル面の回析現象を減らして、音楽の自然で豊かな広がり感でリビングを満たすことである。このあたりに、世界のスピーカー専業メーカーの頂点に立つB&WがXTシリーズに込めた深慮がある。
新XTシリーズは、技術要素の多くを800シリーズから受け継いでおり、ユニットの構成はCMシリーズと重なる部分が多い。価格帯もCMシリーズとオーバーラップする。ちなみにCM5とXT2の価格は160,000円(ペア)と同じである。ユニットもバスの口径は違うが同系列で、ネットワークは別の物である。CMシリーズとは切り口を変えたB&Wの高音質再生の思想がXTで、その核心が音場表現の豊かさなのだ。
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