8月中旬の真夏の陽射しのなか、本機を携えて都内で撮影を行った。屋外の温度はどんどん上がっていくが、本機のサイズは持ち歩きが苦にならず、撮影がはかどるのがありがたい。最高画質でHDDにたっぷり約4時間撮影できるので、メディア交換を気にかける必要がない点にも、いまさらながら感心する。この手軽さは荷物がかさむ海外旅行などで特に実感できるに違いない。

コントラストの強い屋外での撮影では白の再現性が気になるものだが、現場で再生して画像を確認してみると、そうした環境下での撮影にも関わらず、ハイライトの白飛びがほとんど気にならない。NDフィルターを使用したような自然なコントラスト感があり、フルハイビジョンならではの立体感に富む映像である。

【クリックでDZ-BD7Hの実写キャプチャー(BMPファイル)を表示】陽射しの強い日だったにもかかわらず、白飛びがほとんどなく、自然なコントラスト感が表現できている(最終調整前のサンプル機で撮影)

帰宅後にフルハイビジョンのモニターにHDMIケーブルで直接つなぎ、映像をもう一度確認する。特に、三脚を使用して撮影したシーンは素直なディテール再現が際立ち、手前から遠景に向かってなめらかな遠近感が浮かび上がってきた。

レンズの解像力はフルハイビジョンにふさわしい性能をそなえており、樹々の葉や枝を精密に映し出している。明暗の対比はやはり非常に素直で、白側のレンジにゆとりがあり、晴天の雲の立体感やコントラストの強い建築の外壁などを自然に引き出している。木陰など暗部がつぶれることもなく、ノイズもよく抑えているので、空気感や温度感までも伝わってくる。この映像の雰囲気はSDフォーマットではさすがに太刀打ちできないもので、同じハイビジョンカメラでも1,920×1,080画素ならではの情報量のゆとりも見せ付けた。
フルハイビジョン信号を余さず記録する大型レンズを備える 底部には三脚用のネジ穴とSDメモリーカードスロットを備える

適度な鮮やかさを引き出しつつ緑が派手な色調に偏ることがない点も本機の映像の大きな特徴である。その自然な緑と、誇張のないナチュラルな肌色が両立し、美しい対照を見せる。肌の質感はきめの細かさだけを強調するのではなく、なめらかな柔らかさの表現が得意だ。動き予測技術をはじめとする「Picture Master Full HD」は主に広角側の映像で効果が認められた。レンズ性能とも関連があると思うが、細部のコントラストをしっかり確保しているので、ワイド端でとらえた風景が立体感を失わない点にも感心した。

特別な照明を使用せずに室内で撮影した映像は、露出を過剰に明るく演出することがなく、ほぼ目で見た通りの明るさと色で撮影することができた。マニュアルの明るさ調整も用意されているが、ダウンライトの照明下では「オート」ポジションの設定を大きく変更する必要はなかった。照度が落ちるとさすがに発色に力強さが失われてくるが、その許容範囲が広いことは特筆しておきたい。

以上は本機で再生した映像の印象だが、撮影済み映像を前述の手順で8cmのBD-REにダビングし、市販のBDレコーダーでも再生を試みる。メニュー画面が表示されず、いきなり最初の撮影シーンが出てくる点はともかく、画質はカメラ再生時と基本的に同等で、操作に対するレスポンスも良好だ。再生対応機器はいずれメーカーから発表されるはずなので、そちらを参照していただきたい。

本機にはWindows VistaまたはWindows XP Home Edition SP2/Professional SP2上で動作するピクセラ製の映像ソフト「ImageMixer 3 HD Edition for BDカム」が付属し、カメラ本体またはBD-R/REからの映像・音声データの取り込みと簡易編集が行える。取り込んだ映像・音声を削除、結合したり、シーンごとに不要な部分を削除する機能が簡単な操作で実行できるほか、シンプルな機能ながらDVDやBDを作成することもできるので、編集後に再びディスク化する用途にも便利に使えそうだ。

「ImageMixer 3 HD Edition for BDカム」の操作画面。写真はファイル一覧を表示したところ

動画編集時の画面。映像や音声の削除・結合など簡易編集が行える 編集はPCだけでなく本体のみでも行える。画面のように、削除・分割・結合・フェード・プレイリスト作成の各操作が可能

同ソフトの動作環境は当然ながらSD版に比べると要求が高いが、飛び抜けたスペックを必要とするわけではないので、比較的最近のパソコンであれば問題なく利用できる。

ハイビジョンカメラが身近な存在になってきたが、現時点では多様なメディアと記録方式があり、それぞれ一長一短がある。一方、パッケージソフトの世界でハイビジョンの本命とみなされるBDは、カメラの分野でも高いポテンシャルを有している。本機が牽引役となって、BDおよびフルハイビジョンの市場を広げていくことを大いに期待したいものである。