フルハイビジョンカメラということでレンズ口径が従来のハイブリッドモデル(DZ-HS503)よりもひとまわり大きくなった(フィルター径37mm→43mm)。それに伴って本体サイズは幅、高さ、奥行きが80(+9)×87(-5)×165(+29)mm(DZ-HS503との増減)となり、厚みと長さは増しているが、高さは逆に低くなり、レンズからリアに向かうラインが強調されたデザインに生まれ変わった。液晶パネル周辺の形状が大幅に変更され、BDを連想させるブルーをアクセントにしたラインが加わったこともあり、シルエットは非常にスマートである。

撮影時重量は705g(+75)gとハイビジョンカメラとしては標準的な水準。筆者の手には大きすぎず小さすぎず、しっかりホールドできる手頃なサイズである。あまりにボディが小さいと手持ち撮影時にカメラを安定させるのが難しくなってしまうし、情報量が多いハイビジョンでは僅かな傾きやぶれが大画面で目立つ傾向が強い。安定した撮影のためにはもっと大きく、重くてもいいと思うぐらいだが、ファミリーユースのハイビジョンモデルとしてはこのバランスが適当だろう。

「DZ-BD7H」。BD/DVDドライブとHDDをコンパクトな筐体に凝縮した サイドにはBlu-ray Discのロゴマークと、ディスクをイメージした青い円があしらわれている
グリップ側には「BD HDD」の文字。HDDが外側に収納されているが、出っ張りは少なく、持ちやすく工夫されている 電源スイッチなどボタンの配置も自然に操作ができるよう工夫されている。左側には、「秒撮」「ディスクナビゲーション」「ダビング」のダイレクトボタンも備える

基本操作ボタンはわかりやすい位置に配置され、液晶パネル左側に新設されたジョイスティックの操作感も確実だ。撮影時に頻繁に使用する「逆光補正」や「露出」ボタンが位置、サイズともにわかりやすいことと、「ダビング」ボタンが独立している点にも好感を持った。用途の異なる操作ボタンを独立させるなど、使い勝手の配慮が行き届いているのは、多機能なハイブリッドモデルを作り慣れている強みだろう。「カイケツガイド」は操作に迷ったときのヘルプとして便利な機能だ。

液晶パネルの左側にジョイスティックを新設。操作性を高めた 液晶パネルを開けたところに、カイケツガイドや逆行補正、露出、フォーカスなどの各ボタンを備える

カイケツガイドのメニュー画面。撮影時のスイッチ選択、ディスクの選択方法、テレビとの接続の3点についてわかりやすくガイドしてくれる

ディスク選択を選んだところ。写真のような質問にいくつか答えると、最適なディスクを教えてくれる 推奨したディスクに関する説明も読むことができる

液晶パネルに表示されるGUIは配色やレイアウトがハイビジョンモデルらしく洗練されて見やすくなったし、階層が深すぎないのでわかりやすい点もよい。ダビングモードは従来通り「はじめて」、「ひにちで」、「まるごと」、「えらんで」の4種類。「えらんで」では残したいシーンを選んでHDDからBDに約2倍速のダビングができる(複数選択可)。カメラ1台で簡単にダビングできる便利さはまさにハイブリッド機ならではのもの。

ディスクナビゲーション画面。撮影画像がサムネイルで表示される メニュー画面。様々な設定を行うことができる 撮影時の画質はHX/HF/HSの3モードから選択が可能だ
ダビングボタンを押すと立ち上がるメニュー。写真の4つからダビング方法を選択できる 初めてダビングを選択したところ。写真のように、必要な設定を1つずつ選択できる。失敗をしないための工夫だ ダビング中画面。HDDからBDへのダビングの場合、約2倍で行うことができる

ダビング時にはACアダプターが必要だが、バッテリー、ACアダプターともにDVDモデルと同一仕様でコンパクトだから持ち運びは苦にならないだろう。HDDに保存し、外出先でもBDにデータをコピーできるという安心感は、本機を選ぶ大きな理由になりそうだ。なお、ダビング終了時にHDDのデータを消去することもできるので、効率よく撮影済みデータを管理したい用途にも向く。残念ながら撮影時の約2倍の時間がかかるが、HDDからDVDへのダビングも本体だけで行えるので、再生環境に応じて適切なメディアに記録して渡せるというメリットもある。

約1秒で起動する「秒撮モード」は本機も継承。「秒撮モード」以外の通常モードでの電池駆動時間はDVDモデルに比べて大きく短縮されていないので、HDD記録でビューファインダーを併用すれば十分に実用レベルである。旅行など長時間撮影が想定される場合は予備バッテリーや長時間バッテリーで十分に対応可能だろう。ハイビジョンカメラだからといって本機は特別に消費電力が大きいわけではなく、従来機とそれほど変わらない感覚で使えるのがありがたい。

総画素約530万CMOS撮像素子
静止画は400万画素を超える本格的な撮影ができるが、それ以外に撮影済みの動画から約207万画素で任意のシーンを切り出せる機能が重宝する。画角を重視する場合はワイド側で34.5mm(35mm換算、4:3モード)と余裕のある静止画撮影モードを利用し、表情を吟味する場合は動画からの切り出し機能を利用するという具合に、目的に応じて使い分けるといいだろう。