ジャズではベースの肉厚でダンピングを効かせたエネルギーもいい。トロンボーンはいつもよりいっそう抜けきりがよく、響きは活き活きとしてリアルだ。コントラストのある躍動的なリズム感、音像の厚み、陰影がはっきりしているところなどが魅力である。
声楽は澄み切ったしっかりした存在感。弦楽器はS/Nの高い色彩感で音色が美しく、艶やかな旋律で活き活きと流れる。ヘンリー・マンシーニの1曲目「ピンクパンサーのテーマ」は、ビッグバンドの編成を、明瞭にしてダイナミックかつ克明に描写。混濁が極めて少なく、表情が明確だ。ダンピングを効かせる低音、重低音へ伸ばし、音程の分解力も優れている。レスポンス抜群である。静かで純粋な音質のXUXU(シュシュ)は4人の女声によるアカペラで空間の広さとボーカルのニュアンス、定位感が見事に再現されている。ポリーニのピアノ曲の美しさも響きのきれいな立ち上がりと冴えた余韻の美しさで表情を見事に楽しませる。
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