新製品批評



 新しい風を吹き込んだキャストロンスピーカー

 いま、メキメキ人気をあげている国産のスピーカーブランドがある。キャストロンだ。その「Mk1」というデビュー作の小型2ウエイを初めて目にし、聴いたときの新鮮な感動を私は忘れない。18キロというヘビー級ボディになったのは「ダクタイル鋳鉄」と呼ばれる特殊鋳鉄をエンクロージャーに用いたためで、周囲をぐるりと“継ぎ目なし”で仕上げるというのは前代未聞だ。オーディオ界に前例なし!それでいて、無気質さをを少しも感じさせないしなやかで深く、ニュアンス豊かな響きが聴ける。高級外車のようなメタリック塗装の美しさも逸品級といっていい。
 
 臼井鋳鉄工業の歴史を繙く

 さて、キャストロンはいわゆる企業内プロジェクトである。社名は臼井鋳鉄工業株式会社。北海道は旭川市に拠を構え、創業は1925年(大正14年)。70年以上の伝統ある鋳鉄専門メーカーである。現在は公共事業を主にマンホールの蓋などの製造を行う。鋳物にかけてはプロ中のプロであり、その鋭いノウハウが独自のスピーカーづくりに結実したのはすこぶる興味深い。

鋳鉄技術を駆使した美しいデザインマンホール
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 キャストロンが生まれたのは、4代目社長である臼井憲之氏が無類の音楽好きであることも大きく関係しているのだろう。低周波誘導電気炉を導入し、ダクタイル鋳鉄の本格的な生産を開始。高度な金属組成画像解析装置も導入。「何とかその組成のよさを活かして、オーディオファンの心に訴えかけるサウンドをめざしたい。」と考え、1999年に「CASTRON開発プロジェクト」を誕生させたのだ。

オーディオ製品 デビュー作
「Mk1」
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 すでにNHKや地方のテレビ、あるいは新聞などでも、キャストロンの躍進ぶりが報道されているので、ご存じの方もいることだろう。凄い装置と情熱である。元気のないオーディオ界にこそ、こうした新星が必要なのだ。
 
臼井鋳鉄工業 ホームページ 「キャストロン」 ホームページ
http://www.usui-cast.co.jp/ http://www.usui-cast.co.jp/castron.htm




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