「DC8 T」の下側のウーファーは250Hzを、「DC10 T」は200Hz以下がそれぞれプラスされ、そのフィルターはラミネートコア型のインダクターが使われている。同軸ユニットのクロスオーバー1.5kHzないしは1.4kHzで、高域側は6dB/oct、低域側は12dB/octのフィルター特性を持たせている。
|
|
|
トールボーイの2機種にはウーファーを追加。「DC8 T」(左)には250Hzが、「DC10 T」(右)は200Hz以下がプラスされている |
そしてこれらのネットワークの構成はボード上にまとめられ、各部品間を直結するハードワイヤリングされている。ここで興味深いのは、ネットワーク回路部分がマイナス190度で冷却処理され、一定の時間管理の下で常温に戻されるディープ・クライオジェニック処理という技術が用いられていることで、キャパシターやインダクターなどのパーツ内部ストレスを、恒久的に減少させるための処理である。
エンクロージャーはバッフルから後方に向けて絞り込まれ、曲線を描くラウンド型である。このカーブは放物線の形状で外観的な美しさにも大きく貢献しているが、内部でも定在波をはじめとする内部反射を効果的に抑える役割を果たす。
エンクロージャーの素材はバーチ(樺材)、しかも寒冷地で育った年輪密度の高いロシア産を積層合板とし、板厚は18mmだが、「DC10 T」のバッフルは21mmとより強化されている。放物線の形状は加熱処理されているが、木工や塗装仕上げも含め、全てヨーロッパで行われているという。
|
美しいシェイプが印象的なバーチ材のラウンドエンクロージャーは響きの美しいプレミアム・グレードの木材だけを厳選して使用している |
表面は天然木仕上げで、3機種ともブラック、チェリー、ダークウォルナットの3色から選択できる。いずれもピアノ塗装と呼ばれる光沢のある美しい仕上げで、まさに塗っては磨きを繰り返し、しかもクリア層を厚くして深みを出している。
Prestigeシリーズを家具調度品と表現したが、こちらはブラックがまさにピアノそのもので、チェリーはリュートなどのような美しい木目と輝きがある。ダークウォルナットも落ち着き感のある深い色合いで、まさに一級品である。
またユニットの取りつけネジなどを見せないよう、金属のトリムプレートが使われ、塗装にマッチして質感を高め、フロントネットもマグネットキャッチで突起物や穴などを持たない。隅々までこだわりを感じさせる。
|
本シリーズはユニットのねじ留めが見えないようにデザインされているが、背面にあるダクト部にも同じ処理がされている。普段目に見えない部分にもデザインが施されているのには驚かされる。また、バイワイヤリング接続可能なドイツWBT製のスピーカー端子を採用し、独自のアース端子も装備している。接続しやすいように考えられた端子配列も新しい工夫である |
|