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「TD510」を試聴中の筆者 |
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最後に「TD510」を5本使ってのマルチチャンネルである。当然ながら精度がすごい。ひとつひとつフォーカスのばっちりあった音像描写と、スムーズにつながるリアルな音場の感触はTDシリーズならではのものだ。
ソースはハイスペックなSACDやDVDオーディオ。そして映画の立体音響である。管弦楽は「新世界」ほかを聴いたが、管、弦、打それぞれの楽器群はスピーカーから離れ、広々としたステージをつくりだしている。遠近の再現が抜群で、はるか奥のところでティンパニーが打ち鳴らされている。ジャズもホットなステージ感とそこに生楽器があるような、リアルな音色に思わずノリだした。
映画のサラウンドもみごとなクオリティだ。試聴盤によく使う「オペラ座の怪人」は、空間の高さの表現に感嘆する。ファントムの歌声が、確かに頭上から聞こえてくるのだ。また「マスカレード(仮面舞踏会)」のシーンは、もみくちゃにされそうにぐるぐるまわる包囲感、「マスター・アンド・コマンダー」は帆船同士の距離感がぴたっと決まり、砲撃音の軌跡も生々しい。まさに制作者の意図どおり、サウンドデザインを忠実に再現している。
さて、これだけの表現力を備える「TD510」と「508II」が、天吊りに対応したのはうれしい。マルチチャンネルがぐっと身近になるのはもちろんだが、今手持ちの2チャンネルスピーカーがあるのなら、メインはメインで置いたまま、セッティングを変えずにマルチとの共存ができるわけだ。その際、3色のバリエーションが用意されているので、部屋のインテリアとのマッチングが図れるのもポイントだ。ぜひ高性能でスタイリッシュなECLIPSE
TDシリーズで、マルチチャンネルオーディオの門を叩いて欲しい。 |