新製品批評
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映画ならではの音場を見事に再現
シャープな低音を再現するサブウーファー「316SW」

映画のサラウンドは、ダビングステージでのいわば作られた音。だがそこには作品のそのシーンに相応しい素材音や音楽、効果音が盛り込まれいるはずだ。まず一聴してわかるのがセリフのリアルさだろう。妙に太くならず、だがしっかりと声の襞をとらえて微妙な感情表現を伝えてくる。ささやくようなセリフまわしなど、微弱音再現を得意とするTDスピーカーの面目躍如たるところだ。LFEはズシンという重量感こそサイズなりのところもあるが、それをカバーして余りある低音域の解像力やシャープさを有する。このLFEを含めたエフェクト音が実にキメが細かく、的確な描写力をもつのだ。例えばスリラー系の映画など、不気味なエフェクトがそっと背後から忍び込んだり点から点へとシャープに移動する。映像とみごとにシンクロしており、この精密な空間表現もさすがである。


分解能の高さが映画体験をさらに盛り上げる

「ロード・トゥ・パーディション」は、雨を効果的に使ったギャング映画の傑作だが、シーンごとの雨音の違い、雨粒の数さえ見えるほどの分解能には驚かされる。「雨の中の別れ」のシーンでは意図的にマシンガンの銃音が消され、ゆったりとピアノが奏でられる。弦の効果音が重々しく響く。ギャングたちのシルエットとの対比は絶妙だ。ピアノといえば「戦場のピアニスト」で流れるショパンのエチュードやノクターンは、繊細だが凛としたタッチが心に染みた。遠くで響くパンパンという乾いた銃音や着弾音が緊張感を高めており、実にリアルだ。「めぐりあう時間たち」でも不吉な感じのするストリングスのメロディーとともに、何気ない生活音がLuletの点音源効果で一層生々しい雰囲気を醸し出している。分解能や移動のシャープさは、「ヒーロー」や「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」の数千本の矢が降り注ぐ場面の凄さひとつとっても明らかだろう。金属質な衝撃音や爆発音なら「ターミネーター3」や「トゥームレイダー2」といった具合で、それぞれのソフトがもつ音響効果の魅力をたっぷりと味わえたのである。サラウンドの質の高さ、とりわけ空間表現はこの手の5.1パッケージでは出色のものといっていい。