「307」スピーカー5本とサブウーファー「316SW」の組み合わせが「307TH」。写真は307専用スピーカースタンド「D5」との組み合わせ例。

生活空間に溶け込むスタイリッシュな卵型フォルム、といえばイクリプスTD「Lulet（リュレ）」である。ユニットはわずか6.5センチのフルレンジが1発。このチャームな「307」を5本とサブウーファー「316SW」のパッケージが「307TH」だが、一度このサウンドを聴いてみるとあまりの自然さと絶妙なバランス、とりわけアコースティック楽器の目の前で演奏しているかのような生々しい雰囲気感に驚くはずだ。とてもスピーカーの音とは思えないピュアサウンドである。

TD（タイムドメイン）について少し語ろう。この理論はこれまでの周波数特性一点張りだったスピーカーづくりの概念をみごとに覆すものだ。低音や高音域のノビはどうか？それも確かに必要だろうが、音楽再生では「原波形を忠実に再現する」ことこそ最も重要、とした。レスポンスがすばやく、余計な響きなど一切伴わないことである。エンクロージャーの内外に気流の乱れがあってもいけない。そんな理想の追求から生まれたのが、TDシリーズのコスミックエッグなのだ。

レコーディング現場のプロやミュージシャンが好んで愛用する点でも、TDは群を抜く。ロンドンのメジャースタジオをはじめとする導入例はご存じのとおりだが、チェロの長谷川陽子、ギターの村治香織の師匠である福田進一、GLAYのTAKURO、ALFEEの高見沢俊彦、そしてフォーク・クルセダーズのオノ・セイゲンなど、挙げたらきりがない。

307の背面。金メッキ処理したスピーカー端子を備える

さて、Luletは12センチの「512」、8センチの「508」をさらにコンパクトにした手のひらサイズのスピーカーだ。同じくタイムドメイン理論のハイスピードサブウーファー316SW（16センチユニット＋30W×2アンプ内蔵）と組むことで、手軽に高音質な2.1chステレオや、ピュアマルチの5.1chシステムが手に入るのはユーザー冥利。それぞれ13万円、16万円のプライスだから初心者には特にお勧めだろう。「307」のカラーバリエーションとしてはシルバー、ブラック、ホワイトの3つがある。

ここでは、5.1chのフルセットをわが家に持ち込み試聴してみた。再生ソースは何でも来いだ。普段聴き慣れたミュージックCDやSACDマルチ、DVDオーディオなどの高品位ソースはどう聴こえるのだろう。さらにはドルビーデジタルやDTSなどの映画サラウンドがどこまでのクオリティで再現できるのか、興味深々である。