建築家・角田充氏が説く
リビングシアターの理想
近頃書店に行くと、住宅関係の書籍が目につき、テレビや雑誌などのメディアの扱いを見ても、住空間に対する関心が非常に高まっています。「家族」というフレームが揺らいで、確かな像を結べない状況ですので当然のことかもしれませんが、今「住宅」に大きな視線が注がれています。
人は誰でも美しい空間に住み、快適な環境を手に入れたいと願います。しかし、いざ自分で「理想の住宅像」はこれ、と言い切るのは、ことのほか難しいことです。なぜなら、社会環境の変化や各種携帯機器の発達、個室の充実化などにより、家族相互の関係が変化してきており、今までの家族像・住宅像が当てはまらない場合が増えているからです。
例えば、n-LDK的発想で設けられたリビングルームに、皆が集合すると言う風景は、どことなく違和感を感じる方も少なくないと思います。そのような状況で、もうリビングは不要ではないか、個室に直接玄関を設け、それらが集合していれば住宅は成立すると言った主張も多くなされました。
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