PD-42DT3ではこの後に、DSD(デジタルスーパーディテール)処理を施してエッジ成分を制御する。そして映像の輪郭や色補正をハイビジョンの精細度で行なう。これによって単にくっきりしているだけでなく、自然で精密な輪郭補正が可能となっている。
IP変換に付き物のプログレッシブ回路では、過去・現在・未来の3次元で信号補間を行なう際の検出精度を従来の20ポイントから38ポイントに増やしている。プログレッシブの泣き所は動画と静止画のバランスにあったわけだが、着目点を増やすことで滑らかな動きを獲得したのが新世代のナチュラルプログレッシブ回路である。
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上は動画をより自然、かつ明瞭に再現する「3次元補間処理」の概念図。3次元の信号補間処理における検出精度をポイントアップさせることで、より正確なIP変換を実現した |
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プラズマ「EXE」とDDシアターシステムを組み合わせた視聴テストは東京のビクタービルにて行った。映画『U-571』はBSデジタル放送をD-VHSテープに録画したソースを用いて試聴した |
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こうして実現されたPD−42DT3の映像は、現在のプラズマの最先端であるばかりでなく、直視型ディスプレイから最大限の画質を引き出したものといって過言ではない。
例えばBSデジタルから録画された『U−571』の映像は、DVDで見たそれよりもはるかに精細度を上げているのが一目でわかる。
潜水艦が舞台のこの映画では当然海のシーンが出てくるが、波の白い泡や飛沫のきめが断然違うのだ。ごく細かいところまで再現されて、しかも不自然な強調感がない。ハイビジョンとはこうあるべきという印象の再現である。また人の毛髪や着ているものの布目など、実にくっきりと鮮やかに描き出す。シュートのない映像は輪郭に影が乗らず、肉眼で見る景色がそうであるのと同じようにナイーブな色の交錯だけで作られている。だからどんなに鮮明でも無理がないのである。
もうひとつ特徴的なのは、映像に透明感が高いことだ。色の乗りは厚いといっていい。映画では特にそうだ。ところがべったりと色を塗った感触とは違って、この映像には濁りがない。どんなに色の濃い部分でもさらりとニュートラルな質感が強い。
ちょうど強い太陽光の下で物を見ているような自然な力強さがある。絵の具の色というより光の色を感じさせる表現である。そして諧調の細かさと解像力の高さが同じように見える部分でも精密に色の違いを描き分け、それがいっそう透明感を際立たせているといえる。
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