エソテリックはこれまでセパレート型と一体型の両分野でデジタルプレーヤーのハイエンド機を多数手がけてきた。そのなかで、セパレート型のフラグシップラインはコストの制約に縛られない究極の存在、一体型モデルはクオリティと使い勝手を両立させたプレーヤーとして、それぞれのカテゴリにおいて明確な作り分けが行われている。
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K-01とK-03 |
一方、2010年秋に導入する新しいKシリーズではその方針の一部を見直し、一体型プレーヤーのデザインをリニューアルしてセパレート型との一貫性を持たせ、両者の距離を近付ける方向を指向することになった。もちろん、内容面でもセパレート型に迫るこだわりを徹底させ、妥協のないモノ作りの思想を貫いている。K-01の開発に携わった技術者にインタビューし、そのこだわりの中身を聞いてみることにした。
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K-01 |
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開発スタッフ陣 |
まず、XシリーズからKシリーズへの転換の動機だが、それについては開発責任者の加藤氏が語ってくれた。「VRDS-NEOの開発から7年を経て、プレーヤーラインナップの一新を期待する声が社内で高まってきました。デザインだけでなく、音についても新しい方向を目指したいという意見が多かったですね」。
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Kシリーズ開発のリーダーであるティアック(株)コンシューマーオーディオ事業部 商品部 副部長 加藤徹也 氏 |
エソテリックというブランドから私たちが想像するキーワードはハイレゾリューションやハイスピードという概念が中心を占めるが、最近は同社の技術者の指向として、「大人の音」を目指す方向に変化しているのだという。音色と音質の両方で表現力の次元を高め、柔らかさのある「自然な音」を目指すということだ。
「自然な音」の本質に近づくうえでは、業務用アンプの開発経験が役に立ったという。「演奏家やエンジニアを交えて現場の音に接し、ニュートラルで自然な再生音に近付けていく作業を繰り返しました。パーツなどを変えて現場で調整することも多いのですが、その作業の過程で『音が整う』瞬間を逃さないことが大切でした」(加藤氏)。
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主にファームウェアを担当したティアック(株)コンシューマーオーディオ事業部商品部 開発課 中村 素央未 氏 |
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主に電源回りを担当したティアック(株)コンシューマーオーディオ事業部商品部 開発課 仙土和弘 氏 |
新シリーズでは筐体の大きな変更が行われているが、その最大の狙いは剛性の追求にあるという。外装など筐体全般を担当した渡辺氏は、「センターメカを採用し、ネジ止めではなくスポット溶接を導入するなど、剛性を高める工夫を凝らしています。大きなものに固定するというコンセプトも重視しました。また、セパレート型と同様に電源を独立させることは一体型でも音に大きな影響を与えましたね」と振り返る。
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主に外装関連を担当したティアック(株)コンシューマーオーディオ事業部商品部 開発課 渡辺孝雄 氏 |
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