9月9日に発表、即日発売された新iPod nano。iPodの中でも屈指の人気モデルだ
毎年この次期の恒例となっているiPod新製品の発表が、今年も9月9日に行われた。iPod Classicは容量を160GBにまで回復。iPod touchは処理速度の向上が主なトピック。そしてiPod nanoには噂通りにカメラが搭載された。堅実な基本性能の底上げに加え、動画撮影という新提案を行ってきたあたりは、さすがアップルである。

いまやiPodの魅力の一翼を担っていると言えるのが、サードパーティによる豊富なアクセサリー。特に、ポータブルプレーヤーであるiPodをホームオーディオに展開してくれるiPod対応スピーカーはその花形だ。老舗オーディオブランドからPC周辺機器メーカーまで、数多くのメーカーから個性豊かな製品が登場している。製品数が膨大であるため、個性のない製品は埋没してしまい、印象に残らないほどだ。iPod対応スピーカーはそれほどの激戦区なのである。

 

その激戦区にマクセルが新たに投入したのが本機「MXSP-3000」である。当然ながら他製品との明確な差別化が行われており、本機ならではの大きな特長を備えている。それは幅430mm×高さ90mm×奥行き200mmというサイズ設定。さらに、形状に凹凸もなく、寸法そのままのフラットなデザインを採用している。iPod対応スピーカーとしてはあまり見たことのないタイプだ。

MXSP-3000を正面から見たところ。一般的なAVコンポーネントとほぼ同じサイズのため、AVラックなどにスマートに設置できる。iPodを使用しない場合はドックを収納することも可能だ

このサイズと形状は、iPod対応スピーカーとしては異例だが、決して奇をてらったわけではない。実はAVコンポーネントとして見たときはごく標準のものであり、DVDプレーヤー、ブルーレイレコーダー、AVアンプなどとほぼ同じサイズになっているのだ。マクセルは「デッキスピーカー」と本機を位置づけ、薄型テレビの下のAVラックにきれいに収められる利点を訴求している。

 

では、AVラックに収められるとどのようなメリットがあるのだろう。まず、ラックの空きスペースを利用できるため、省スペース設置が可能なことが挙げられる。もう一つ、ラックに本機を収納することで、iPodに入れてある動画ファイルを、テレビの大画面+本機の高音質で再生できることも大きな利点だ。本機には映像出力も用意されているので、それを使用すればよい。

本機の背面端子部。音声の外部入出力端子やビデオ出力端子などを備える

iPod内の動画をテレビで表示するのは非常に簡単だ。あらかじめ本機とテレビを接続しておけば、あとは本機のドックにiPodを差すだけで準備完了。再生のたびにiPodとテレビを映像・音声ケーブルで接続する手間が必要ないのは利便性が高い。また冒頭で触れたように、新iPod nanoには動画撮影機能が用意されている。新iPod nanoは動画を手軽に撮影できるように設計されているが、いざその動画を薄型テレビで見ようとすると、通常ならば動画をPCに取り込んで、それをDVDに焼いたり、ネットワーク経由で再生したりなどといった煩雑な操作が必要になる。本機ならば新iPod nanoをドック部分に挿すだけで薄型テレビで表示する準備が整う。

加えて本機には外部音声入力も用意されているので、活用範囲はiPod対応スピーカーのみにとどまらない。テレビやBDレコーダーなどと本機を接続すれば、例えば映画の音場をグッとグレードアップできるのだ。ちょっとしたAVシステムの出来上がりである。もちろん薄型で奥行も短いので、ラックに限らず他の場所、例えば本棚などに設置するにしても置きやすい。とにかく取り回しのよいスピーカーシステムなのだ。

 
MXSP-3000の設置イメージ。左写真のようにリビングのAVラックにスマートに設置することはもちろん、右写真のようにブックシェルフなどに置くこともできる
 

本機の細かな仕様も確認していこう。まずはiPodを接続するドック部分。AVラックへの収納を想定している本機では、本体をラックに入れている状態でも、快適にiPodの接続と操作を行えることが重要だ。そこでドックはフロントパネル中央に収納し、それを前方に引き出して利用するスタイルを採っている。こうすることで、本体をラックに収めたときに、ドック部分だけがラックの前にせり出すような格好になる。この仕組みのおかげでiPodの接続・操作がスムーズに行える。もちろんiPodの基本的な操作はリモコンからも可能。好みや場面に応じて使い分ければよい。

木製で適度な重量感がある筐体のフロントには、直径50mmのフロントスピーカー2機が搭載されている。そして、設置した状態ではその存在は見て取れないが、実は底面に直径100mmのサブウーファーも装備している。ラックに収めることを考えるとフロントスピーカーの口径はそれほど大きくはできない。ならば底面を活用して、低域を強化するサブウーファーを用意しようという発想だろう。合理的な設計である。

これらのユニットを駆動するのは合計20Wのデジタルアンプだ。フロント左右が各5W+サブウーファーが10Wである。ユニットに対して必要十分な出力を備えていると言える。