ロヴィーサのボーカルは詰まったところのない軽やかさと同時に、タイトでスピード感のあるリズム楽器の存在感に感心した。このアルバムでは、おなじみのボサノバの曲をひとひねり加えたアレンジで演奏しているのだが、そうしたサウンドの特徴が狙い通りに聴き手に伝わってきて気持ちがいい。抜けのいいスピード感のあるサウンドは長く聴いていてもストレスを感じないものだが、本機で聴くボーカルやジャズにはその良さがそなわっている。
SA-15S1のサウンドには聴きやすい柔らかさがあるが、SA-15S2の明快で彫りの深い音を聴いた後では、正直なところ、もう少し積極的に鳴って欲しいと感じる部分がある。この音の違いは、プリメインアンプ2機種の比較試聴で感じた違いと方向性は似ているが、プレーヤーでこれだけ大きな音の進化を引き出すのは簡単ではないはずだ。
ダニエル・ド・ニースが歌うヘンデルでは、楽器の定位と音像の立体感に2機種の違いが現れた。音色の基本的な志向はよく似ているが、SA-15S2には、声のイメージがフォーカスよく定まってふらつきが少ないという特徴がある。今回の試聴はB&Wの800シリーズで聴いたのだが、やはり空間再現の精度が高いスピーカーを組み合わせると、プレーヤーの音場再現力の重要性がよく理解できる。
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今回の試聴ではスピーカーにB&W「800D」を使用した |
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